コスプレイヤー必見! 衣装販売、盗撮、コスROM…コスプレの違法性を探る【オタクの法律相談所】

アニメ部

2014/5/20

オタク業界で話題になる法律について、エキスパートである弁護士に話を伺う当連載。この連載を読んでいれば、知らない間に犯していた犯罪などを避けて、トラブルに巻き込まれるリスクを減らすことができるでしょう。

今回の相談相手も、秋葉原に事務所を構える神田のカメさん法律事務所の“オタク弁護士“こと太田真也さんです。 
 

▲神田のカメさん法律事務所の太田先生。「最近は『マンガ家さんとアシスタントさんと』が面白くなってきた」とか。

第2回のテーマは、単独イベントだけでなく、アニメ関連イベントの華となりつつあるコスプレに関してです。


――そもそもコスプレという行為は、法律上どのように捉えられますか?

太田:まずコスプレは、二次元の画像にある衣装を三次元化しているので、法律用語では複製ではないものの翻案という行為にあたります。

――翻案とはどういうものでしょう?

太田:たとえば典型的なものでは、英語の文献を日本語に訳すとか。あとはライトノベルやマンガをアニメにするなどもそうですね。かなり範囲の広い行為になります。ただ、この翻案を自由に行なっていいのは、私的使用や教育の場合のみなんです。

――それでは個人でコスプレ衣装を着る場合は合法ですか?

太田:そうですね。一般人のコスプレイヤーが自分で作って自分で着るぶんには特に問題ないです。ただ、個人であれコスプレ衣装や撮影した写真でビジネスを始めると、翻案権を超えた行為となり、著作権を犯しているでしょう。

――たとえばオフィシャル以外のコスプレ衣装を制作し、販売しているのは個人であれ、法人であれ違法だと。

太田:実際問題として、細々と、友達同士などで「この衣装を作って」「わかった」とかやっているぶんには捕まらないでしょうけどね。でも許諾を得ないままネットを使って取り引きなどしていると、じきに著作権者から警告が来るでしょう。

――そうした際の相談は今までもありましたか?

太田:何度かあります。警告が来た時点で販売行為などを止めればそれ以上は何もありませんが、さらに続けると損害賠償請求が来るとか、刑事罰までいくことはあるでしょう。

――ちなみに、そういった店舗や個人からコスプレ衣装を購入するのは罪になりますか?

太田:厳密に言うと犯罪を幇助していることになるのでしょうが、実際にはそこまで罪に問われることはないでしょうね。

――なるほど。また著作権的な意味ではなく、露出過多のコスプレも違法性がありそうです。

太田:公然わいせつ罪になる可能性はあります。ただ、場所によって基準は変わるでしょうけどね。たとえば一般道と、同じような格好をしている人が集まるコスプレ会場では明らかに雰囲気が違いますよね。どちらにせよ公然わいせつ罪で逮捕された場合、6カ月以内の懲役、または30万円以下の罰金などが課せられます。

――どの程度の露出が一般的にわいせつ行為になりますか?

太田:水着レベルを超えた露出をしていると、ひっかかる可能性が高いでしょうね。少し前に秋葉原の歩行者天国で下着を出したアイドルがいましたが、ああいったものはどこであれ、捕まるでしょうね。

――先ほど、コスプレを利用して商行為をすると著作権の侵害という話がありましたが、最近は過激なコスプレ画像を収めたROMも多く販売されています。

太田:これはわいせつ物陳列罪になりますね。この場合は公然わいせつ罪よりも厳しく、2年以下の懲役、または250万円以下の罰金などが課せられます。

――続いてコスプレイヤーについてです。まずコスプレイヤーに肖像権はあるのでしょうか?

太田:一般人だとありませんが、芸能人レベルで有名なコスプレイヤーだと肖像権が発生する可能性はありますね。

――その線引は?

太田:何かあったときに肖像権が認められる人間かどうか立証できるかどうかでしょう。たとえば「こんなにメディアに出ている」とか「こんなにネット上で有名です」といったことを、資料を揃えて証明できるか。またもうひとつの目安として、コスROMで値段が付けられているような、市場価格のあるような人は肖像権を持つと考えられるかもしれません。

――コスプレイヤーを無断で撮影した場合、盗撮となりますか?

太田:肖像権が発生する人であれ、一般人であれ、盗撮です。普通の格好の状態を撮影した場合はマナー違反程度ですが、ローアングルで下着を撮影するとか、ほかにも普段隠れている部分を撮影するような行為は、東京都であれば、迷惑防止条例第5条2号の違反になります。

――似たような条例は、ほかの都道府県でもあるのでしょうか?

太田:ほぼあります。

――撮影したものをカメラマンがネット上にアップ。この行為は違法でしょうか?

太田:これは肖像権があるかどうかでしょうね。極端な話、肖像権のない一般人は、勝手にアップされた写真を見つけても「消してください」と言うのも難しいかもしれません。プライバシー侵害にあたるということで、消してもらえる可能性もありますが……。

――撮影されるという行為は意外にリスクがあるものなんですね。

太田:1回ネットにアップされると、一気に広まる可能性もありますしね。本当に「撮影されてもいい」という時以外は、撮影を断るという心構えのほうが安全かもしれません。

<結論> 
さまざまなアニメ関連イベントでも専門スペースが設けられ、すっかり文化として定着した感のあるコスプレ。しかし、その周辺には多くの違法行為、逆に意外にも違法にならない行為が存在するようです。友達同士、趣味で楽しむ程度なら大丈夫なようですが、営利目的で衣装及びデータ販売などを行っているかたは、ファン活動を越えて、著作権法違反をしている自覚は持つべきでしょう。それはグレーではなく、ブラックです。
また、ローアングルを狙っているカメラマンや露出過多のコスプレイヤーは、逮捕リスクを踏まえた上で、自己の行いを振り返りましょう。

今後も当連載では、オタクに身近な法律問題を取りあげていく予定です。トラブルに巻き込まれないよう、色々な法律を学んでいきましょう。 

少しでも不安に感じたかたは、カメさん法律事務所へ。

<協力> 
神田のカメさん法律事務所 
http://www.kamesan-law.com/ 

太田さん出演のCM 
https://www.youtube.com/watch?v=ZANViY3Q6zY 

取材・文=はるのおと