【のんのんびより】 監督&プロデューサーインタビュー 【エクストラ 1なのん】

アニメ部

2014/7/1

2013年秋に放送され、田舎暮らしの独特な雰囲気を描き人気を博したテレビアニメ『のんのんびより』。本年7月にはOAD付きの単行本が発売、さらに2期の製作も発表され、これからも期待が高まるこの作品のアニメ制作者にインタビューを敢行! 答えてくれたのは監督の川面真也氏、プロデューサーの吉沼忍氏のお二人だ。
 

▲好評発売中の『のんのんびより』 第1巻 [Blu-ray]

全3回に渡るインタビュー、第1回はアニメ1期について――。

■綿密なロケハンによって描かれた田舎暮らし

――1期が終わってから半年ほど経ちました。改めて『のんのんびより』はどんなアニメでしたか?

川面:終わった今だから言えますが、スタッフに恵まれたこともあって、気楽な作品でした。もちろん制作中は大変でしたが、気楽な内容の作品だし、当時はそれほど知名度が高い作品でもなかったので立場的にも気楽だし、自分自身がちょうど気楽になりたいと思っていた時期だったし……色々とタイミングが一致した感じはありましたね。

――スタッフを決められたのはプロデューサーの吉沼さんでしょうか?

吉沼:原作の印象から「シリーズ構成の吉田玲子さんと、背景美術の草薙さんは作品の押さえ所としてください」とお願いしました。原作のキャラクターの良さを、アニメシナリオに変換していただくうまさと、背景の美しさを考えると、そこは外せなかったんです。その他は、スタジオの考えとやりやすさ等、SILVER LINK.金子社長と意見を交換しながら確定していきました。

――監督に川面さんが選ばれましたが、どういった印象でしたか?

吉沼:元々『Phantom ~Requiem for the Phantom~』という作品を担当していた当時、川面監督は演出担当で入っていたので、遠からず知っていました。SILVER LINK.さんから推薦された時も、特にNOとかはありませんでした。

川面:僕はあまりそう思っていませんが、『のんのんびより』って一応、萌え日常系というカテゴリに入っているみたいで。そういったジャンルが僕は苦手なので、「流行りの日常系コメディだと僕にはできないので、ほかの人にしてください」と言った覚えはあります。

吉沼:と仰っていますが、監督は大体何でもできるのであまり気にしていませんでした(笑)。逆にやったことがないからこそ、新しいツボを押してくれるんじゃないか、という期待もありましたし。
 

▲監督の川面真也氏

――アニメ化の話はいつごろにあったのでしょうか?

川面:2012年の夏ごろですね。話を頂いてから原作を読んだのですが、最初は女の子達、特に“れんげ”が可愛いな、くらいに思っていたんです。僕は大阪の吹田市というベッドタウン出身で、田舎というとキャンプで遊びに行ったり、テレビの中で見たりという対象だったのでノスタルジーなどは感じませんでした。ただ読んでいくうちに原作のあっと先生の真骨頂であるシュールなギャグやセリフ回しに、自然と田舎の話が入っていて、「このバランス感覚はいいな」と思い、それを再現するよう努めました。

――ちなみに吉沼さんのご出身は?

吉沼:川崎の工業地帯で、私もまったく田舎じゃないです(笑)

――それでは田舎を舞台にしたアニメを作るのは難しくなかったですか?

川面:それもあって「ロケハンは必ずさせてください」とお願いしました。田舎を舞台にすると言っても田舎を語るアニメではないので少し気軽に考えていましたが、それでも田舎という要素に半歩くらいは踏み込みたいと考えていましたし。

――ロケハンは全国に行かれたそうですね。

川面:冬くらいに、自分やスタッフの縁がある場所に行きました。おそらく視聴者が思っている以上に、ロケハンした場所の要素が入っています。たとえばあるカットでは埼玉の杉の山と千葉の低い山がごちゃ混ぜだったりするのですが、カットを見るとどこ行ったかを思い出せるくらいには、どこも印象深いです。
 

――『のんのんびより』の1期は12話で1年が流れます。もちろん背景も変わると思いますが、ロケハンできなかった時期の景色はどうしたのでしょうか?

川面:想像で補ったり、知り合いに写真を送ってもらったりしました。あと、幸い田舎を知っているスタッフに恵まれたので、僕が表現したいことを伝えれば、意図を汲んでくれました。


■1番の不安だった、2分30秒にわたる1話のアバンパート

――4月に転入生してきた蛍を通じて1年が描かれる、というストーリー展開はどう決まったのでしょうか?

川面:これは吉田さんから提案があって、すんなりと決まりました。

吉沼:始めはサブタイトルに1話は4月、2話は5月、と付けていたのですが、後から「無理があるし、そこまでこだわる必要はないよね」となりましたね。

――印象に残っているエピソードを教えてください。

吉沼:全部ですけど、やはり一番難しかったのは1話のアバンですね。

川面:僕はなんとなく「観ている人がタルいとか退屈と感じても、背景とBGMがいいから破綻はしないだろう」と思っていました。ただ周りの大人の人達が……。

吉沼:不安だった(笑)。あのアバン、コンテだと1分30秒くらいだったのに、実際のアニメに落とすと2分30秒もあったんです。ダビング作業の時も「やっぱ長いな」と思い、音響監督の亀山さんにも「BGMが『ずいずいずっころばし』とか知っている曲なら、視聴者も頭で一緒に歌うからまだ間が持つだろうけど。知っている曲のほうがいいんじゃないの?」と相談しましたが、亀山さんも「これで大丈夫だよ!」と押してきたので2分30秒で行く事になりました(笑)

川面:あの場面は本当に美術監督の大泉さんや、音楽の水谷さんのおかげですね。確かに2分30秒という数字を見ると不安になるかもしれませんが、僕の体内時計的には長くないので、大丈夫だという確信はありました。
 

――1話のアバン以外も、『のんのんびより』は間やテンポがほかのアニメと異質で、よかったです。4話のれんげの顔のアップや、個人的には7話の花火のシーンも大好きでした。

川面:あえて動かさないことで、そこで解釈してほしいなとは思っています。ただ4話はエピソードを詰め込んだので尺がそんなに余裕がなくて。特にほのかがいなくなって、玄関から去ったあとの描写やフェードアウトするまでの間も、もう少し時間が欲しかったです。

今回はここまで。次回はアイキャッチなどアニメ『のんのんびより』に多数見られたギミックと、OADについてお届けいたします。お楽しみに!
 

取材・文=はるのおと、撮影=橋本商店
 

のんのんびより


 
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