【のんのんびより】監督&プロデューサーインタビュー【エクストラ 2なのん】

アニメ

更新日:2014/7/16

田舎に暮らす女の子4人を中心にしたまったりアニメ『のんのんびより』。前回に引き続き、監督の川面真也氏、プロデューサーの吉沼忍氏の二人に話をうかがった。

【第1回】制作の秘密

第2回は『のんのんびより』に多数見られたアイキャッチなどのギミックと、7月23日発売の単行本に付属されるOADについて聞いてみた。
 

■アイキャッチ、CM、予告……さまざまな工夫で作られた没入感

――アニメでは“のんのんびより”という文字がアイキャッチ的に入るのも特徴です。

吉沼:あれは監督のアイデアですね。

川面:原作を読んだ時に、まず『のんのんびより』というタイトルが気に入って。ひらがなだけでかわいく、キャッチーだし、響きもいい。それでエピソードの区切りに、この作品を体現しているタイトルをアイキャッチとして入れるようにしました。視聴者的には「タイトルくらいわかってるよ!」という話かもしれませんけど(笑)

吉沼:でもアイキャッチを出さない話数もありましたよね。

川面:基本的に『のんのんびより』は短編の寄せ集めです。でも10話の初日の出の話は、夜明けまで通常の物語と同じような流れでできているので、切りたくなかったんです。
 

――CMが入る回数も調整されたという話を伺いました。

吉沼:CMを入れるタイミングや回数はテレビ局のフォーマットの都合で出来る時と出来ない時があるんです。今回は予め確認し、こちらの意図を汲み取っていただきました。

川面:つねに同じような構成というのが嫌で、Cパートがあったりなかったりするのが重要なんです。観ている人に“いつものテンポ”がないというか、いつ終わるのかわからないという感じがいい。話が進むテンポ次第でCMを入れるタイミングを決められるよう、調整してもらいました。

――そういったギミックで言えば、毎回エンディングと同時に入る「今回はここまで」と予告後の「また見てね」もありました。

川面:「今回はここまで」とか、2期でどうすればいいのかな、と思いますけどね(笑)。今回はたまたま曲のイントロが合っていたので入れましたけど。

吉沼:次はそういう風に曲を発注して、同じようにやればいいじゃないですか(笑)

――あれをやり続けたことで、最終回のエンディングの入りがグッときました。

川面:賛否両論ありましたけどね。皆で手を振るカットについてウチの奥さんとかは「あんなことやんなきゃいいのに」と言っていましたけど(笑)
 

――最終回だけ「また見てね」ではなく、唯一のCパートとして学校と空だけのカットでした。

吉沼:当時は2期が決まっていないから「また見てね」とはできなかったですし(笑)

川面:あのカットは元々予告の枠だったところで、25秒くらいあります。25秒を風景の2カットだけと考えると「やめたほうがいいんじゃない」と思うかもしれません。でもふたつの意図があって、ひとつは1話冒頭が空から始まるので、その対であること。もうひとつは“この話が続いていく感”を出したかった。特に最終回はあえて何でもない日常というものを押し出しているので、“みんなが遊んでいる間も、何年後も、10年後も存在し続けるもの”として学校を出しました。もちろん、どう感じてもらうかは視聴者次第ですけどね。

吉沼:予告を茶の間のテレビに映すというアイデアも監督のものでしたよね。

川面:『のんのんびより』では、視聴者に少しでも作品に浸ってほしかったんです。予告ってどうしても作られたもので、本編とは別のものになるじゃないですか。ただ『のんのんびより』はわざわざ「来週はこんな話ですよ」と言うほどもない、来週も楽しい日常が続く作品です。そこで普通に予告するよりは、できるだけ長くあの田舎の空気に浸ってもらうためにああいった作りにしました。

吉沼:4話の次回予告(5話)だと、ほのかちゃんに手紙を書いていてれんげの背中が見えていたり、毎回違って面白かった。

川面:その背中のおかげで、テレビが少し見づらいんですけどね(笑)
 

■スタッフ全員で作られた、アニメならではの『のんのんびより』

――原作にないエピソードもいくつかありました。そうしたオリジナル部分を作るのは難しかったですか?

吉沼:オリジナルというより“つなぎ”ですよね。

川面:スムーズに話をつなげるための補完や、サービス的なものが多かったかなと思います。

吉沼:たとえば5話の水着回では、一穂が駅のベンチで寝て電車に乗り遅れたまま、その後どうなったのかが個人的には少し気持ち悪く、単純なギャグアニメならそれでいいのでしょうけど『のんのんびより』は違うと感じたので、原作にはないですが、小鞠の母ちゃんに車で迎えに行かせました。ほかにも原作のあっと先生からのリクエストで、8話でれんげと小鞠が遊んでいるのが、竹とんぼからソフトグライダーになりましたし、色々変更はありましたね。
 

川面:あっと先生もマンガを描いたあとに「こうしたほうがよかったな」とか思うことがあるんでしょう。逆に、11話で雪がドサッと落ちてきてれんげが宇宙人みたいになるという話がありますが、「絵が宇宙人に見えないから変えてほしい」とも仰っていましたけど、僕はあれはあれで面白いと思ったのでスルーさせてもらいました(笑)

――『のんのんびより』ではキャラクターが本当に原作の雰囲気そのままでした。れんげを始め、声優さんの声もハマっていましたね。

川面:キャラクターに関しては、デザインの大塚舞さんがすごく原作の空気を読んでくれるベテランで、ナチュラルに原作らしくなりましたよね。

吉沼:声優に関しては、蛍と夏海はすんなり決まって、れんげが最後に決まったんでしたっけ。

川面:れんげは、オーディションの段階では決してあそこまでれんげっぽくはなかったんです。れんげって、もっと子供っぽくするか、もっと突飛な感じにするか、どちらの方向にもできるキャラじゃないですか。その落とし所としてよさそうなのが小岩井さんだったのでお願いしましたが、そこから彼女がどんどん演技を練って、今のれんげを作り上げてくれました。

■原作7巻の沖縄編の前に見てほしいOAD

――7月23日に発売される原作に付属するOADについて伺います。オリジナルで沖縄編の前日談の話だそうですが、これはどうやって決まりましたか?

吉沼:アニメ2期が決まりそうだったので、原作を消化したくなかった。それでオリジナルになりました。

川面:シリーズ構成の吉田さんが「オリジナルを作りたい」と言っていたのは覚えています。あと、僕自身は「マンガに付くおまけはどうあるべきか」ということで悩んでいました。買った人がアニメを観ているか観ていないか、DVDを持っているか持っていないか……そういったことを考えていると、アニメ本編の続きというのは違うな、と。あと、原作7巻が1冊丸ごと沖縄編であることを考え、そこに関連している話のほうが収まりがいいと考えていました。
 

▲7月23日発売のOADからの1枚


▲同じくOADから。蛍の笑顔がまぶしい

吉沼:この話が出た段階で原作が沖縄編の真っ最中だったので、後日譚はできない。それで前日譚になりました。

川面:ただ前日譚なので、マンガを読むより先に観てほしいです(笑)

今回はここまで。次回はアニメ1期後の展開を振り返り、さらに今後についてのお話を伺います。お楽しみに!

(取材・文=はるのおと)

のんのんびより


・TVアニメ『のんのんびより』公式サイト
http://www.nonnontv.com/

・『のんのんびより』原作情報
http://www.mediafactory.co.jp/comic-alive/non-non-biyori/

・『のんのんびより』アプリ
https://itunes.apple.com/jp/app/nonnonbiyori/id661064020?mt=8

(C)2013 あっと・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/旭丘分校管理組合