ガチオタで話題の松澤千晶アナウンサーの生い立ちを探る。どうしてこうなった?【前編】

アニメ部

2014/7/23

「1日1回百合ツイートしないと死ぬのかな、私…」

これはとあるアナウンサーのつぶやきである。

真面目なイメージの強いアナウンサーにも関わらず、TV『有吉反省会』で『ラブライブ!』への想いを熱く語るなど、ガチオタぶりを発揮している松澤千晶氏に度肝を抜かれた人も多いだろう。

ニュースを読み上げるクールな姿と対極のオタ具合は、ギャップ萌えどころのレベルではない。

なぜ彼女は、今まで表に表現していなかった側面を突然見せるようになったのだろうか? 松澤氏の生い立ちを追いながら、その胸中を聞いた。

彼女のオタ歴を探ると、意外にも“あるゲーム”が深く関わっていることが判明した。人生を変えたそのゲームとは?


◇アニメは常に生活の一部でした
 

▲キリリとしたお顔から“BL・百合”と発せられるなんて驚きだ

「今までも隠していたつもりはないのです。でも、昨年からテレビ局系列の所属から離れ、身も心もフリーになったのは事実ですね。
私は小さい頃からアニメに助けられてきたので、これからの人生、アニメに恩返しができたらいいなと思っています」

あっけらかんと述べる松澤氏。その清楚な姿からは想像もできないが、幼い頃からアニメ・ゲームと共に成長してきたという。

「5歳のころから、『魔法使いサリー』をはじめ、『きんぎょ注意報!』『美少女戦士セーラームーン』『ナースエンジェルりりかSOS』などを毎週楽しみに見ていました。
同じころからピアノを習っていたのですが、例えば母から『ここまで弾けたら“りりか”見ようね』などといわれ、それを励みに練習していました。当たり前のようにアニメが組み込まれた生活だったんです」(松澤氏以下同)


◇『ときメモ』と『エヴァ』で覚醒!

そんな彼女に転機が訪れたのが中学に入学後。きっかけは、人気恋愛ゲーム『ときめきメモリアル』だった。

「中学1年のころ、好きな男の子がいたんです。その彼が、『ときメモ』の朝日奈夕子ちゃんが好きで。彼と親しくなりたくて、『ときメモ』を始め、同じく彼が好きだった『新世紀エヴァンゲリオン』を見るうちに、そちらの世界への興味の方が強くなりました。
衝撃を受けましたね。それをきっかけに、『スレイヤーズ』『天地無用!』など当時、放送中のアニメにすごい勢いでハマっていきました」

もともとはライトなアニメ好きだったらしいが、ハマるキッカケが「恋心」とは、なんともピュアでリア充なエピソードだ。

「そんなことないですよ。スクールカーストなんて言葉はそのころはありませんでしたけど、普段はカーテンの影に隠れて、マンガを描いているような子でした。
でも、ピアノを演奏できるという一芸があったので、そこだけで体面をなんとか保っていた……と思いたいです」


◇リアル男子よりも、二次元に夢中

中学生活開始とともに、どっぷりヲタの世界に浸かった松澤氏。意中の彼とはどうなったのだろうか。

「その後、『ときメモ』が好きだった彼と付き合う形になりましたが、その頃には既に『封神演義』の黄天化や、『ファイナルファンタジー7』のクラウドの方がよっぽど好きになっていました。
なので、中学生にありがちな自然消滅で終わりました。だって、アニメの人物の方が魅力的に見えてしまったから。ひとり一人が、エピソードをいっぱい持っているじゃないですか!
思春期の女の子特有の妄想かもしれないのですが、キャラが頭のなかで育つんです。そして勝手にエピソードを想像して楽しくなってしまうんです!」

彼女が頭のなかで育てあげたのは、これだけではない。『シャーマンキング』の麻倉葉。そして『デジモンアドベンチャー』の八神太一など、数え切れないほどの出会いがあったようだ。
 

▲黄天化が死んだときは本当に悲しかった、とのこと

「健康的だけど、悩みがあるっていう雰囲気が好きですね。黄天化もそうです。これがあまりにも無敵・完璧すぎるキャラだと、興味を惹かれないんです。かといって “ミステリアス”キャラもそんなに惹かれないんですよね。私はもっと人間味に溢れるキャラが好きです」


◇今期アニメも人間味のあるキャラに期待

アニメの面白さも、深みのあるキャラにより左右されるという。それでは、今期放送中のアニメではいかがだろうか。

「『ペルソナ』シリーズがすごく好きなので、『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』は、楽しみにしています。
前作のキービジュアルを初めてみたとき、ただのおしゃれアニメのように思っていました。キャラもCGで作られたようで、温かみのないような気がして…。
でも、アニメを見始めてストーリーが進むにつれて、声優さんの演技や音楽、いろんな演出がかかることで、人間味のあるキャラに見えてきて。主人公の鳴上くんのクールだけど、それだけじゃない姿が見えて。あと菜々子ちゃんの存在! 彼女が、“ただの幼女”ではなかったんですよ。
戦闘シーンにこそ絡んでこなかったのですが、この子がいるだけで、こんなに話に深みが出るんだと、驚きました。

一人ひとりが飾りではなくて、全員がストーリーを作り上げる要素なのです。」


人間味といえば、このシリーズも大好きだという。

「<物語>シリーズですね。遂に、神原がきた!って感じです。『花物語』は、ずっと待ち遠しく思っていました。
このシリーズでは、女の子のきれいな部分はもちろん、醜い部分も描かれているんです。
ストーリーをひと言で表すなら、ひとりの主人公を女の子たちが取り囲むようなハーレム設定なのです。でも全員がヒロイン級。嫉妬や独占欲などが渦巻いている姿を、こんなにリアルに描くのかと。
羽川さんの恋心に関しては本当に男性が書いているのかと疑ってしまいます(笑)」


◇百合とBL、どちらが好物?

松澤氏といえば、BLに絡んだ発言や、『マリア様がみてる』が大好きなど、百合好きでも有名だ。BLと百合、どちらが本命なのか?

「思春期のころは、そんな見方をしていたのかもしれませんが、今は違います。
10代の妄想力は半端ないので、頭のなかで勝手にキャラを育てて、行き着くところは、BLだったり百合だったりしました。
でも、BLも百合も入り口は、精神的な繋がりに憧れるからだと思います。付き合ってみれば、男女とも付き合い方は変わらないと、大人になってからは気がつきますけどね」

松澤さんがBL・百合的作品に惹かれるのは、やはり精神的な絆の深さ。さらに、やり残した青春の一コマに憧れる部分もあるという。

「高校では、音楽コースに進学したのでほぼ女子だけでした。でも『マリ見て』とはほど遠い世界でしたね。
お姉様や妹に、ラブレターを差し出すような世界を妄想して、憧れていたんです。それが未だに消化不良を起こしているのでしょうね。
同じような理由で、今月から第2期の放送が始まった『Free!』もまぶしい感じで見ていました。私は陸上クラブだったり、ピアノだったり、常に個人競技だったので、団体で競技をやるのって、いいなって。今期はどう展開するのか楽しみです」
 

▲「ヲタっぽいものは、持ち歩いていないんです」といいつつ、なぜかカバンには『マリ見て』が入っていた

ちなみに、松澤氏の今期推し作品のひとつに『アルドノア・ゼロ』がある。キャラクターデザイン(原案)を、漫画家の志村貴子氏が務めるところに、注目しているという。
志村貴子氏といえば、『青い花』や『放浪息子』が有名だ。このセレクトにも、青春のやり残しが出ているのではなかろうか。


◇薄い本はベートーベンの楽譜に挟んで

黄天化に恋をして、しまいには、彼を祀るお手製の祭壇まで作成したという松澤氏。当然、薄い本も持っていましたよね……?

「今も持っていますよ。ガチホモはさすがにないですけど。この間も、母に『それなに?』って聞かれました。
だから『同人誌だよ。アマチュアの作家さんが描いているの』と教えてあげました。
でも、高校生のころは、さすがに隠していましたね。ベートーベンの分厚い楽譜に挟んでね」

次回、彼女のいう「アニメへの恩返し」とはなにか?さらに彼女を突き動かすアニメへの情熱に迫る。

<後編へ続く>

■ 松澤千晶 (chiakinman) on Twitter
https://twitter.com/chiakinman

取材・文=武藤徉子、撮影=橋本商店