家入レオ「いつか、ふうちゃんのような、まっすぐな少女に出会えたなら、私はひとりの大人としてその子を守ってあげたいと思うんです」

あの人と本の話 and more

公開日:2014/8/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、新曲「純情」をリリースしたばかりの家入レオさん。今年に入り、灰谷健次郎著『太陽の子』を何度も読み返しているそうで……。

「小学6年生のふうちゃんは、とても強くて純粋。そんなふうちゃんが育ったのは、素敵な人たちがまわりにいるからだと思うんです」
 このふうちゃんが登場するのは、今年に入り、家入さんが何度も読み返しているという灰谷健次郎の『太陽の子』。今作には、彼女の言うとおり、魅力的な登場人物が多く登場する。
「主人公のふうちゃんは、沖縄出身のキヨシ少年、両親が経営する沖縄料理店に来るギッチョンチョン、親身になって話を聞いてくれる担任の先生など、すごく素敵な人たちに囲まれているんです。なかでも母親と上手くコミュニケーションがとれずに非行に走ってしまったキヨシ少年と実のお母さんを仲直りさせようと一歩踏み込む姿に、勇気をもらいました」
 家入さんは曲にこそ自分の感情をぶつけるが、話せば気を遣いすぎるほど、空気を読む女性だということがわかる。
「そう言ってもらえるのは嬉しいんですが、そうするのは自分が傷つきたくないからこその自己防衛なんです。でも、ふうちゃんは自分が嫌われようが、すごく恥ずかしい思いをしようが、相手のために行動ができる子。すごく尊敬できますよね。いつか、ふうちゃんのような、まっすぐな少女に出会えたなら、私はひとりの大人としてその子を守ってあげたいと思うんです」
 そんな彼女の新曲「純情」は、ふうちゃんのように純粋な気持ちを持ち続けていたいと歌う疾走感溢れるロックチューンだ。
「子どもって、純粋でいたいと思いながら無邪気でいるわけじゃないと思うんです。でも、いつしかモノの分別がつき、人からの見られ方を考えるようになる。そのときに、純粋でいたいと思う心を純情というと思うんです。この曲はまさに今の私の決意。これからもこの気持ちを忘れずに歌い続けていきたいですね」

(取材・文=吉田可奈 写真=木村隆宏)

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家入レオ

いえいり・れお●1994年12月13日生まれのシンガーソングライター。青春期ならではの叫び、葛藤を爆発させた「サブリナ」で2012年にメジャーデビュー。いきなりのブレイクを果たす。今年2月に発売された『a boy』は現在もロングヒット中。シングル『純情』と同日にライブ映像作品『a boy〜3rd Live Tour〜』も発売。

 

『太陽の子』書影

紙『太陽の子』

灰谷健次郎 角川文庫 648円(税別)

小学6年生のふうちゃんは神戸生まれの女の子。沖縄生まれの両親は、神戸の下町で料理店を営んでいたが、ある日突然、おとうさんが心の病気にかかってしまう。どうやらその原因は沖縄と戦争にあるらしい。沖縄の戦争はおとうさんの心の中だけで続くのか? 日本人が本当に知らなくてはならないことが詰まった長編。

家入レオさんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ9月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

『純情』家入レオ

ビクターエンタテインメント 初回限定盤A(CD+DVD)1700円(税別)、B(CD)1200円(税別)、通常盤(CD)1200円(税別) 
●人気アニメ『ドラゴンボール改』のために書き下ろしたロックナンバー。疾走感溢れるサウンドに乗る、彼女の力強い決意が描かれた歌詞が心を刺す。1日で10kmを細切れに全力疾走したというPVでは、クールな彼女の表情に引き込まれる。カップリングには、優しいアコースティックギターの音色が心を温めるミディアムバラードを収録。