ニコニコ動画で人気の「RAB(リアルアキバボーイズ)」は呆れるほどに“ガチヲタ”だった!【前編】

アニメ

更新日:2014/9/22

 2014年9月某日、静寂に包まれた深夜の秋葉原へ5人の男たちが集まった。彼らの名前は「RAB(リアルアキバボーイズ)」。ヲタかつダンサーという顔ぶれのメンバーで構成されたパフォーマンスユニットである。


▲先日ニコニコ動画に投稿された新作動画もあっと言う間に10万再生を突破し、ランキングを賑わせている

 結成は2007年、もともとダンサーとして繋がりのあったメンバーたちが揃って、秋葉原へ買い物しにいったのをきっかけに本格的な活動を開始した。現在は、声優の福原香織と「福原香織とRAB」としての活動や各種イベントへの出演を続け、今夏にはフランスで行われた「JAPAN EXPO 2014」にも登場した。ニコニコ動画の「OPを踊ってみた」シリーズは軒並み高い再生数を誇り、読者の中にはすでにご存じの方も多いだろう。

 多忙を極める彼らだが、今回、単独インタビューをお願いしたところ快く応じてくれた。インタビューの目的、それは、彼らが本当にヲタクなのか?という点である。日頃の活動やダンサーとしての顔は、すでにあらゆる場所で語られているものの、「ヲタク」としての顔はあまり伝わっていない。そこで、ぜひともその一面を垣間見たいと、メンバーそれぞれに自身のヲタ遍歴を時間の許すかぎり、思う存分に語って頂いた。

けいたん


▲『ラブライブ!』への熱い思いを抱くけいたん。

――ご自身の中でハッキリと「ヲタ」に目覚めた瞬間はいつでしたか?

 記憶にある限りでハッキリと覚えているのは、『スレイヤーズ』にハマったときですね。ラノベから入ったんですけど、アニメ『スレイヤーズNEXT』でリナ=インバースに心惹かれたときからですね。よくある話では、ナーガの豊満なボディに目が行きがちなんですが、なぜかリナの貧乳に魅力を感じてしまって(笑)
 それをきっかけに同人誌も買うようになり、今度は、流れるままに『機動戦艦ナデシコ』へ走りました。劇場版『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』が公開されたときは、会場限定でもらえる先着グッズが欲しくて、また、舞台挨拶も先頭で観たいという一心で深夜から、池袋の映画館に並んだのを覚えています。今思えば、あれが初めての徹夜でしたね。

――中学生くらいのときですね。その後はどういった流れでしたか?

 高校生になってからもコミケへ通って同人誌やグッズを手に入れたり、変わらずにアニメが好きだったんです。ちょうどその頃、ダンスもはじめました。たった一人で「RAB」を名乗っていたチャカと知り合って、今のメンバーとも、ダンスバトルで徐々に出会うようになっていったんです。
 そして、ひとり一人と会話する中で、少しずつ「あれ? コイツらもヲタじゃないか?」って気付きはじめたんです。当時は、ダンサーかつヲタクっていう人間があまりいなかったこともあり、ヲタ同士って話せば分かる部分ってあるじゃないですか。そこからみんなで秋葉原へ揃って買い物へ行ったときに、全員「ヲタだ!」っていう確信に変わりましたね。

――現在ハマっている作品は?

 今はもう『ラブライブ!』にゾッコンですね。お気に入りは、「スピリチュアルやね」でおなじみの、のんたんこと東條希ちゃんです。電撃G’s magazineで企画がはじまった当初は、箱推し(※メンバー全員を推すこと)だったんですよ。でも、コンビニと『ラブライブ!』がコラボしたキャンペーンで、そのときたまたま、「のんたんだけが余ってる」という写真入りのツイートを見かけたんです。
 それを見たとき心に「ズキッ!」と来たというか、瞬間的に「もうダメだ。オレが支えなくちゃ!」という衝動に駆られてしまって。助けてあげなきゃというか、弱そうに見えるけど奥底に強さが潜んでいるというキャラクターが好きですね。『のん誕祭』でも、がむしゃらに応援したい一心で、祝いました。

――ちなみに『ラブライブ!』以外にもハマっている作品はありますか?

 最近は本当に『ラブライブ!』一本ですね。以前は、『けいおん!』の“りっちゃん”にハマったり、RABメンバーが揃って京アニ好きというのもあって、「夏といえば『AIR』。『CLANNAD』は人生」みたいな精神も流れています。ただ、過去のどの作品と比べても『ラブライブ!』ほど情熱を注いだ作品は、個人的になかったです。ブルーレイが出れば複数枚を重ね買いしましたし、コミケで大量にグッズや同人誌を買ったりと、ここまで時間や労力を費やしたものはないですね。

マロン


▲マロンがヲタとして歩み始めるきっかけには、同級生の存在が深く関係していたという。

――ご自身の中で「ヲタ」になったルーツはありましたか?

 幼い頃から、絵を描いたりマンガを読むのはもともと好きでした。今でも覚えていますけど、小学校のときに同級生でSくんという友だちがいまして。Sくんは小学生ながら声優さんやアニメの知識が豊富で、その子の家へ行くたびに「椎名へきるさんが好きだ!」とか熱い思いを語られるうちに、自分自身も目覚めていきましたね。
 その流れで出会ったのがゲーム『ときめきメモリアル』でした。最初は正直、みんなの前では「何だこのゲームは?」と斜に構えていたんですけど、内心では興味が捨てきれなかったんですね(笑)
自分でもサターン版を購入して“とことん”やり込み、いつのまにか登場キャラ全員を攻略するようになってから、個人的に『ときメモ』のマンガを描くようになりました。

――その後、中学生となってからはいかがでしたか?

 中学生になってから、今度はSくんのように知識が豊富なMくんと知り合って意気投合したんですよ。Mくんとアニメについての会話をするようになり、いっしょに『逮捕しちゃうぞ the MOVIE』を観に行きました。そのあとはまた、Mくんに誘われた『機動戦艦ナデシコ』に劇場版からハマり、ルリに恋しました。「クソ、何でルリはこの世にいないんだ!」という思いが芽生えて、アニメへの思いもよりいっそう磨きがかかっていきましたね。

――他にハマった作品はありますか?

 その流れで『新世紀エヴァンゲリオン』もハマりましたね。その頃からはもう、歯止めが効かなくなった感じです。当時はアニメが好きというのを人前で言いづらい気持ちもあったんですが、一部の友だちとは互いに情熱を語り合ったりしていました。
 時間は空いてしまうんですけど、RABのメンバーと出会ってから、ようやくおおっぴらに「アニメの話ができる人たちに会ったな」という気持ちになりました。

――ちなみに現在、ハマっている作品は何ですか?

 今は『ばらかもん』が一番ですね。もともと日常を映し出すような作品が好きだったんですけど、アニメの作画のクオリティが高くて、感情移入しやすい物語の設定が最大の理由だと思います。
 日常の流れとして、録画してから日曜日の夜遅くに観るというのが習慣化しているんですよ。そのたびに、「さあ、これで一週間また頑張れるぞ!」というエネルギーにもなっています。
ちなみにロリコンじゃないですからね。

ムラトミ


▲ブームを先読みする力があるというムラトミ。果たしてその力の源泉とはいったい?

――ご自身のルーツはいつ頃だと思いますか?

 小さな頃に、親戚や父親の影響を受けたのがはじめだったと思いますね。親戚がゲームやアニメを好きな人で、父親もよくアニメを観ていたので、それがきっかけだったのかなと思います。当時は、『かぼちゃワイン』や『うる星やつら』、『銀河鉄道999』などの80年代前後の作品を観ていた記憶があります。
 それがあってか、いまだにヒロインが主人公の背中を、後ろからグイグイ押すような作品が好きなんですよ。保育園の頃に「オレってドMだな」と自覚するようになったルーツもそこにあると思います(笑)

――具体的に「ドM」を感じた作品は何かありますか?

 『まじかる☆タルるートくん』で、ライバーが藁人形を使ってタルるーとを呪う話があるんですけど、お腹が痛くなったタルるーとをミモラちゃんが「大丈夫ですか?」みたいなことを言いながらお腹を舐めるシーンがあったんですけど、そういうシーンにグッと来たんですよ。
 また、そのシーンから、アニメの中の「ちょいエロ」が崇高なものだと思っています。『地獄先生ぬ~べ~』のホムンクルスの話だったり、ゲーム『龍虎の拳』で覇王翔吼拳を喰らったユリ・サカザキの衣装が脱げたり、ガッツリじゃなくて、思わぬタイミングでぶっこまれるエロいシーンにグッときますね。

――その後は、どういった作品を観ましたか?

 中学生のときは『新世紀エヴァンゲリオン』にハマりましたね。先ほどのけいたんと同じく、劇場版を観るために深夜から映画館へ並んだり、アニメも繰り返し何度も観たりしていました。おそらく人生で初めて、どハマりした作品ですね。
 その後は大学生になってから、『ひぐらしのなく頃に』や『涼宮ハルヒの憂鬱』を観るようになりました。それまでは作品をただ観るというのが基本的な流れだったんですけど、『CLANNAD』も観るようになってから「あ、秋葉原へ行ってみようかな」と思うようになって、よりいっそうアニメへのめり込むようになっていきましたね。

――ご自身の中で、現在ブームとなっている作品はありますか?

 最近では、何かを食べる作品が好きですね。これってどこまで話していいんですか? 喰えるものなら何でも、それこそ○○○でも…。とにかく「喰う」という設定に強く惹かれています(笑)

――それって究極のあれですよね?

 はい。○○○○もです。また、自分の中で定期的に波というか、何となくブームが変わるんですよ。それがなぜか世間の流れと合致していて、まわりからも「ブームを先読みする力があるんじゃないの?」と言われます。
 例えば、「次はきっと巨人が来る!」と主張していたら『進撃の巨人』が流行ったり、今も、「何かを喰らう」のが自分の中で気になりはじめたら、『東京喰種』がはじまったりしました。

――先を読む上で、心がけていることはあるんですか?

 特に意識しているわけではないんです。ただ、ネットで情報をチェックするときに関連する「タグ」を次から次へと辿るうちに、自然と「あ、これは来る!」って気づく瞬間があるんですよ。
 ちなみに最近は「胎内回帰」が気になってしょうがないです。女性の身体の中に、小さくなって戻るっていうやつですね。のび太くんがスモールライトでしずかちゃんの中に入る、みたいな。これからきっと、波が来ますよ!

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 さて、今回はけいたん、マロン、ムラトミの3名に思いつくままのヲタ遍歴を語って頂いた。しかし、RABには、あつき、ドラゴンというメンバーもおり、彼らの思いがあまりにも熱かったために二回に分けてお届けする予定だ。後編では、残りのメンバーが抱く作品への熱い思いや、ヲタ人生を振り返ると共に、RABの未来や展望についても迫っていく。

<続く>

<RAB(リアルアキバボーイズ)>
◎リアルアキバボーイズ
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◎RAB@リアルアキバボーイズ on Twitter
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◎福原香織とRAB
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取材・文・撮影=カネコシュウヘイ