中国でも日本の声優が人気だった! 中国の声優事情とは?

アニメ部

2014/10/28

中国オタク事情を連載している百元です。第5回は中国のオタク界隈における声優関係の事情を紹介させていただきます。

近年の中国において日本のアニメは正規非正規問わず吹き替え版ではなく中国語字幕版がネットを通じて広まるのが主流になっていることから、日本の声優が随分と意識されるようになってきています。そして現在の中国では声優がオタクの知識として重要なものとされ、それと同時に魅力的なコンテンツと受け止められるようになり、日本の声優に興味を持つ層や熱心なファンも出現しています。

そんな中国の声優ファンですが、「熱心なファンは女性の方が多い」という特徴があることから、「中国で人気の高い日本の声優は男性の声優が多い」といった傾向があります。

このような傾向が出ていることに関しては、「中国では基本的に女性のオタクの方が日本語能力が高いので、声優系のコンテンツを楽しめる」、「中国に入るオタク系のコンテンツは女性向けの作品の方が声優を前に出した関連商品が多く、またいわゆるBL系の作品も多いので、そこから声優にハマる人が多くなる」といった説もありますが、理由はさておき声優ファンの活動やイベントの盛り上がりから見ても、中国では声優ファンで熱心なのは女性の方が多いというのは間違いないようです。

もちろん女性声優の中にも中国で人気の高い方は少なくありませんが、女性のオタクの方が熱心な声優ファンが多いということで、現地のイベントでも集客力が高いのは男性声優となっています。

中国にも熱心な日本の声優のファンがいることから、最近は日本の声優を招いてのイベントも頻繁に開催されるようになってきています。中国現地のアニメ、漫画系のイベントにゲストとして招かれるといったものも少なくないですが、ここ数年活発なのは現地ファン向けの声優イベントですね。

中国のオタク業界におけるこの流れは2009年に北京で行われた山口勝平さんと成田剣さんのイベントから始まったとされているそうです。イベントの内容は声優さんによるトークショーといった形のもので、お招きした声優さんの掛け合いや、声優さんへの質問、現地のファンのリクエストによる名セリフの実演、ショートドラマの実演等が行われています。

また現地のファンのイメージではアイドル的存在のイベントと言えば「握手会」に「サイン会」、そしてサイン会なら「色紙へのサイン」というのが「ぜひやってもらいたい」ものとなっているそうです。
そのため主催者側は調整にイロイロと苦労したりするそうですし、現在の中国では色紙を使う習慣が無いことからサインに使う色紙も出回っていないので、主催者側がわざわざ日本でサイン用の色紙を仕入れてイベントに臨むといったことも行われているそうです。


▲日本の声優が起用され話題になった「崩壊学園」(台湾版)

そして今年に入ってからは「中国側で制作される現地のオタク向けのコンテンツに日本の声優が起用される」等の新しい動きも出てきました。

こういった動きに関して中国オタク界隈で話題になったものとしては、日本のアニメの公式配信も行っている中国の動画サイト愛奇芸で制作、配信された、小野友樹さんと小野賢章さんによる番組「愛奇芸相談室」があります。
お二人は「黒子のバスケ」等により中国でも人気が高く、現地でのイベントも開催されていましたが、中国の動画サイトで現地ファン向けの番組が制作、配信されるというのは現地のファンにとっても嬉しい驚きとなったそうです。

それからこの番組は「日本のスタジオをネット経由で中国とつなぎ収録が行われた」という点も興味深いです。声優さんが日本にいながらにして中国向けのコンテンツを展開できるということは、低コスト、低リスクで声優系コンテンツの展開ができるということになりますから、中国オタク界隈では今後の中国展開における有効な方法の一つになるのではとも言われています。

他には、中国のスマホ向けの人気ゲームアプリ「崩壊学園2」に釘宮理恵さん等人気女性声優が起用された件も話題となりました。
先述の通り中国では熱心な声優ファンの傾向から、イベント等では男性声優でなければ厳しい面も少なくないのですが、ゲームアプリ等のライトな層でも手軽に触れることのできるコンテンツならば別の話となります。
釘宮理恵さんは中国でも「ゼロの使い魔」や「灼眼のシャナ」等でよく知られておりライトな層からの人気も高いことから、中国のオタクにとって非常に魅力的なキャスティングと受け止められている模様です。


▲中国の声優・山新さんが担当している「VOCALOID3 China 洛天依」(限定版)

またそれ以外にも、中国で活躍するプロの声優が日本のアニメに出演するという動きが出ています。先日放映された「東京ESP」では、中国の人気声優の山新さんが中国語指導を行い、皇貞季さんが出演するということが行われました
山新さんは現在中国のオタク層の間で最も人気の高い声優の一人で、ボーカロイドチャイナ洛天依の声なども担当しています。

現在中国で活躍している声優が日本のコンテンツに参加するというのは中国のオタクな人にとっては嬉しい話だそうですし、イロイロと感慨深いものもあるということです。

現在も中国では様々な声優関係の新しい動きが出ていますし、イベントの開催に関しても減っているわけではないそうですから、中国のオタク界隈における声優関係の動きはまだまだ広がっていきそうな気配ですね。

文=百元籠羊