【来場者は約4万人!】京都で催されるアニメイベント“京まふ”とは?

アニメ部

2014/10/29

 近年、首都圏以外で総合アニメイベントがさかんに行われている。2009年に始まった徳島県の「マチ★アソビ」を始め、埼玉県の「アニ玉祭」、新潟県の「がたふぇす(にいがたアニメ・マンガフェスティバル)」など、それぞれの地域性を活かした催しが特徴だ。

 9月に京都市左京区岡崎周辺で開催される「京都国際マンガ・アニメフェア」(以下、京まふ)は2012年に始まり、今年で開催3年目を迎えた。今回、20日と21日の2日間で入場者数4万人という過去最高の来場者数を記録し関西圏を代表するアニメイベントとして定着しつつある。このような地方で行われるアニメイベントでは、どのような独自の試みがなされているのだろうか。本年の京まふの模様を振り返りながら京都ならではのアニメイベントの魅力を探りたい。

 

■関西初上陸のヘッドマウントディスプレイ体験に長蛇の列

 京まふはメイン会場となる“みやこめっせ”(京都市勧業館)と第2会場にあたる京都国際マンガミュージアムの2会場で行われるが、本稿では“みやこめっせ”で行われた催事の様子をお伝えする。まず、企業出展ブースでは出版社やアニメ制作会社をはじめ45社がブース展示を行った。

(左)10月から放送が開始したTVアニメ『七つの大罪』のPRとして「豚の帽子亭」が会場入り口に登場(右)MBSアニメーションブースでは過去の名作が上映されている

 

 なかでも2日間を通して行列が絶えなかったのは、アニメ音楽雑誌「リスアニ!」のブースで行われたヘッドマウントディスプレイの体験コーナーだ。3月に東京ビックサイトで行われた「AnimeJapan 2014」でも話題を呼んだヘッドトラッカー(※)搭載のヘッドマウントディスプレイが関西初上陸とあって、大勢の来場者が列をなした。

※ヘッドトラッカー…頭の動きを検知しヘッドマウントディスプレイの映像と連動させることで、360度を見渡せる視聴空間を再現するセンサー。これによってライブ会場やバーチャルリアリティの世界にいるような臨場感が味わえる。

 ヘッドトラッカーが搭載のヘッドマウントディスプレイ「Personal 3D Viewer」は、頭部に装着することで左目用と右目用それぞれに独立した映像を映し出すデュアルパネル3Dとバーチャルサラウンド技術により、映像の中にいるような臨場感を体感できる鑑賞機器だ。ブースではサンプルの映像として、綾野ましろや春奈るなが出演したライブのダイジェスト映像と『THE IDOLM@STER』のPS3専用ソフト「アイドルマスター ワンフォーオール」の編集映像が使用された。筆者が体験した「アイドルマスター ワンフォーオール」のサンプル映像は、360度あらゆる角度からアイドルたちの声が聴こえ、頭を動かすと視線の先にキャラクターの姿が見える。自分がプロデューサーとなり765プロ事務所でアイドルに囲まれている状況は、まさにバーチャルリアリティの世界だ。

 

■アニソン歌手のライブ、ラジオの公開録音などステージも

 抽選制の入れ替わりステージイベントでは、声優やアニソン歌手による公演が行われた。インターネットラジオステーション「音泉」の人気番組「進撃の巨人ラジオ ~梶と下野の進め!電波兵団~」の公開録音ステージには、声優の梶裕貴と下野紘が和装で登壇。11月に公開される劇場版『進撃の巨人』に関するエピソードやラジオの人気コーナーを披露し参加した女性ファンの黄色い声援が飛び交った。

 ライブでは「Animelo Summer Live」にも出演している大阪出身の高校生シンガー・鈴木このみが登場した。京まふで二度目のライブを行う鈴木は「個人的にはこれから地元である関西でのライブを行っていきたい」とコメント。10月から放送が始まったTVアニメ『魔弾の王と戦姫』のOPテーマ「銀閃の風」ほか、ヒットナンバー「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」をキングオブアキバのふとしと熱唱し、大勢のファンを熱狂させた。このような人気タレントのステージを地方で観る機会は少ない。それだけに、ファンにとっては自分たちの暮らす街で彼らのステージが観られる喜びは大きいだろう。

 さらに、これからのアニメ業界で活躍する新たな人材を発掘するためのイベントにも注目したい。声優を志す一般の中高生から新人声優発掘オーディションを行う「声優魂in京まふ」のステージでは、京都大会決勝戦の結果発表が行われた。優秀賞に輝いた長谷川稜奈さんは11月に東京で開催される本大会決勝への出場権を獲得。そして、今後ラジオ番組のメーンパーソナリティーとして活躍する予定だ。京まふから誕生した新たな声優がどのように活躍してゆくのか期待したい。

 

■老舗とアニメ作品のコラボ限定グッズも続々登場

 企業ブースやステージにも劣らない盛況を見せていたのが、会館の地下で行われた物品販売コーナーだ。注目は、京まふへの出品を目的に作られた京都の老舗企業と作品をコラボさせた限定グッズだ。これらの商品は地元で継承されてきた工芸品に新たな客層から興味を持ってもらうためのきっかけとして大きな役割を果たすことだろう。アニメ作品とのコラボに京都老舗店が名乗りを上げ、クオリティーの高い限定コラボ商品が次々に生まれている。これらは京まふから生まれた新たな文化だろう。

物販コーナーの入場待機列

創業300年の京扇子専門店「白竹堂」による『進撃の巨人』オリジナル扇子

 商品化だけでなく品質の良さをさらに知らせるための体験コーナーも行われている。創業明治3年から続く黒染めの老舗「京都家紋工房 柊屋新七」では、『弱虫ペダル』のコースター手刷り体験が催された。工房で作られた深みのある黒染めのコースターに、キャラクターのイラストを手刷りし、ドライヤーで乾燥させる。出来上がったコースターは、参加者にとって最高のお土産となったに違いない。体験コーナーは人の往来が絶えず、指導する側のスタッフも訪れた客も笑顔で交流している様子が印象的だった。アニメ作品を媒介として人と文化の出会いが生まれている。

 

 

 地方のイベントは、東京のイベントにはできない開催地ならではの特色がある。京まふの発起人のひとりでもある京都市役所産業観光局新産業振興室の草木氏は「京都市交通局との連携など行政同士のつながりも含めて、京都市内全体で京まふを盛り上げてゆくための体制づくりが必要」と話す。都心のように一度に数万人を収容できるような大規模な会場を持たない京都では、ひとつの会場を貸しきって行うような局所的な“イベント”ではなく“街全体のお祭り”を作り上げる必要がありそうだ。魅力的な作品にはフィルムとしての価値だけでなく人や文化をつなぐ力がある。今後、観光や伝統産業とアニメがともに相乗効果を生み出しながら産業の領域を拡大してゆくことが望まれる。

 

取材、文=松田はる菜