落合モトキ「本物のバンドをバックに歌うシーンは嬉しくもあり、申し訳ない気持ちでいっぱいでした(笑)」

あの人と本の話 and more

公開日:2014/11/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『日々ロック』でカリスマビジュアル系ロックバンドのボーカル・新庄役を演じた落合モトキさん。プライベートでもロック好きな彼が、この作品を通して感じたこととは――?

 ビッグスターになることを夢見て、高校時代の仲間たちとバンド活動を続ける日々沼。メジャーデビューにはほど遠いが、熱さとロックへの愛だけは誰にも負けない。落合さんが出演する『日々ロック』は、そんな若者たちの姿を追った、青春ロックムービーだ。

「僕が演じているのは日々沼たちと対峙するバンドマンの役なんですが、彼らのまっすぐな姿を見て素敵だなと思いましたね。それに、僕もプライベートで友達とバンドを組んでギターを弾いているので、スターダムにのし上がっていきたいという気持ちはよく分かります。僕だって、今でも生まれ変わったらバンドをやって、ひと花咲かせたいって思いますもん(笑)」

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 趣味で続けているというバンドについては、「人前で演奏できるレベルじゃないので……(笑)」ということで、今のところ表立って活動することはないそうだ。しかし、それだけに映画の中で本物のバンドをバックにライブをおこなうシーンは、「本当に幸せな瞬間でした」と話す。

「劇中で歌うザ・ランゴリアーズの曲を作ってくださったミサルカさんたちが、実際に僕の後ろで演奏してくれたんです。もう、これ以上ない贅沢な時間でした。その一方で、芝居とはいえ、自分たちが作った曲をあんなふざけたパフォーマンスで歌われてよく許してくれたな、と(笑)。ミサルカのファンの皆さんにも申し訳ない気持ちでいっぱいでした(笑)」

 もちろん、そうした気持ちとは逆に、撮影には真剣に、真っ向勝負で挑んだ。そのため原作コミックも深く読み込んだという。ちなみに落合さんが原作でもっとも感銘を受けたのがこのシーンだ。

「それまでアコギを弾いていた日々沼が、ある日エレキを手にする。その時、あふれ出る音の圧に体がビリビリと震えるんですが、その場面が本当にカッコよくって。ただ、残念なことに映画にはこのシーンがないんです(笑)。入江(悠)監督の手にかかったらどんな映像になるのか、ちょっと楽しみだったんですけどね。でも、それを抜きにしても物足りなさをまったく感じさせないほど、物語は猛スピードで進んでいく。まるでジェットコースターのような映画ですので、そのアツさと勢いをぜひ映画館で体感してください」

取材・文=倉田モトキ 写真=山口宏之

落合モトキ

おちあい・もとき●1990年東京都生まれ。96年に芸能界デビューをはたし、ドラマやバラエティ番組で活躍。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『あまちゃん』、映画『桐島、部活やめるってよ』、『MONSTERZ モンスターズ』、『ホットロード』など。2015年には映画『娚の一生』の公開が控えている。

 

『ひとりずもう』書影

紙『ひとりずもう』(上・下)

さくらももこ 集英社文庫コミック版 各580円(税別)

小5から短大入学まで、アニメやコミックの『ちびまる子ちゃん』では描かれていない、まる子ことさくらももこの青春時代を綴ったエッセイ風コミック。ほのぼのとした日常の中で感じる10代特有の悩みから、マンガ家デビューを果たすまでの紆余曲折、そして親友たまちゃんとの別れまで秘蔵エピソードも満載。

落合モトキさんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ12月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

『日々ロック』

原作/榎屋克優『日々ロック』(集英社ヤングジャンプC) 監督・脚本/入江悠 脚本/吹原幸太 出演/野村周平、二階堂ふみ、前野朋哉、落合モトキ、竹中直人ほか 配給/松竹 11月22日(土)ロードショー
●高校時代の仲間たちとバンドを組みながらも、風呂なし金なしの生活を送る日々沼(野村)。その彼の前にトップアイドル・宇田川咲(二階堂)が現れた。実はロックを愛してやまない彼女は、自分のために曲を書いてくれと日々沼に依頼する。
©2014「日々ロック」製作委員会 ©榎屋克優/集英社