“監督とは千早群像” 劇場版「アルペジオ」岸誠二監督が語る作品づくりの流儀
公開日:2015/2/11
スタッフ泣かせの嵐に注目!
カメレオンのように作風を変化させる監督は、ともすると個性がないともいえる。けれど、岸監督の作品にはある種独特の香りが必ず漂う。岸監督は作品の世界観のなかで常に新たな挑戦を試みているのだ。今回『アルペジオDC』のなかでも、そんなワクワクする経験をしたという。
「大荒れの海に、船がもまれるシーンがあります。普通のアニメでは滅多にお目にかかれない情景でしょう。なぜなら手描きのアニメでは描けない様相だからです。このシーンは、アニメ制作会社・サンジゲンの松浦裕暁社長の提案から生まれました。“こんな海をつくりたい”とサンプルを見せてくれまして。前代未聞の情景を作る提案はうれしいのですが…、スタッフみんなに恨まれると覚悟しましたね。でもワクワクしました。3DCGだからこそできた幸せなシーンだったと思います。どれくらすごいかというと、画面を見ているだけで、船酔いしそうなくらい!」
この作品は、全編3DCGで制作していることも忘れてはならない。セルルックという手描き風の表現のため、違和感を感じない人も多いだろう。テレビシリーズをほぼ全編3DCGセルルックで制作し、商品として大ヒットさせたことも、岸監督が世間を驚かせたことのひとつだ。
『アルペジオDC』での荒れ狂う海のシーンは、臨場感を与え作品をより印象的なものにしている。
固定的な作風を持たず、作品に合わせて“おもしろい”ことを追求する岸監督。だが、見る人が見れば、一発でわかるあるクセがあるという。それこそ監督の魅力でもあるのだが…、それはいったいなにか?
後編は、『暗殺教室』制作秘話とともにお伝えする。<つづく>
完全新作の続編、公開決定!
この秋、『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ −アルス・ノヴァ− Cadenza(カデンツァ)』がスクリーンに登場! 最新情報は公式HPにて
(C)Ark Performance/少年画報社・アルペジオパートナーズ
取材・文=武藤徉子