BLコミックを作るなら二人のニートが主人公のギャグ系!? 『ラッキードッグ1』『華アワセ』でお馴染みの由良先生にインタビュー

スペシャルインタビュー

更新日:2016/1/13

 いまや幅広い層に読まれ、多くのファンに愛されるBL(ボーイズラブ)というジャンル。現在もその勢いはとどまることなく、新しい作品が次々と生み出されています。今回は『ラッキードック1』や『華アワセ』など女性向けゲームでお馴染みの人気イラストレーター・由良先生にBLについてインタビューしてきました!

※同記事はアニメイトTVからの転載です。元記事はこちら

由良(ゆら)●女性向けのゲーム制作をする「Tnennenouji」を主催するゲームクリエイター・イラストレイター。代表作として『ラッキードッグ1』のほか、乙女のための大型イベント「アニメイトガールズフェスティバル」ではイベントのキービジュアルを手掛けている。

 ファン待望の『ラッキードック1』の続編について開発状況をお聞きするとともに、由良先生のBLとの出会いから、自身がBLコミックを作るとしたら……などなど、由良先生のBL観を惜しみなく聞かせていただいた内容を2部構成でお届けします。ぜひ最後までご覧ください!



■■第1部■■

BLとの出会い、そして印象に残った作品とは――


――――BLというジャンルに触れるようになったキッカケは何ですか?

advertisement

由良先生(以下、敬称略):友人に見せてもらった同人誌がきっかけです。いかんせんだいぶ前なので大分うろ覚えですが、ジャンルは確か『鎧伝サムライトルーパー』だった気がいたします。こんな世界があるのだということの方が衝撃で……。なので、その時は、あまり(同人誌の)中をよく見ず、ページを閉じてしまい作品名や内容までは覚えておらず……。


――逆にその時、内容をあまり見ないながらもBLの世界に引き込まれるようなポイントはどのあたりにあったのでしょう?


由良:その何年後かに本格的に別の友人よりそういう世界があるという事を知ったことが、この世界へ入るキッカケになったのかなと思います。


――BLとの出会いは同人誌からとのことでしたが、これまでご覧になったBL作品(ゲーム、マンガなど)で、印象的な作品、感銘を受けた作品はありますか? また、その理由も併せて教えていただければと思います。


由良:パッと思いつくのは、尾崎南先生の『絶愛』です。今でも印象深い作品の一つです。男同士の恋愛だからこそ、なのかもしれませんが、あんなに激しい恋愛模様はその当時の私にとってはとてもセンセーショナルな作品でした。


――『絶愛』が先生の作品作りに影響を与えた部分はありますか?


由良:内容もさることながらですが、初め見た時の印象は今でも忘れられません。眼力が強烈で、思わず目に止めてしまうところが、やはり目というのは重要なんだと痛感した所でした。


――確かに由良先生が手掛ける作品は、目の描き方が特に特徴的ですよね。


由良:あまり自覚はないのですが、気をつけている部分ではあります。


――ちなみに最近注目しているテーマ、作家、作品などはありますか?


由良『In These Words』(原作:Narcissuss / 漫画:咎井淳)です。


――どのあたりが目に留まるポイントでしたか?


由良:手にとったきっかけは、やはり圧倒的なデッサン力でした。


――『絶愛』から『In These Words』まで幅広い作品をご覧になっているかと思いますが、先生にとってBLの魅力とは何でしょうか?


由良:男同士ならではの空気感が好きです。


現在は『ラッキードッグ1』の続編を鋭意開発中!


――続いては【お仕事・ゲームに関して】の話題に移らせていただきたいと思います。現在手掛けているゲームにつきまして、内容などお伺いできますでしょうか?


由良:BLでは、PCゲーム『ラッキードッグ1』の続編、『ラッキードッグ1+bad egg』を現在開発しております。『bad egg』につきましては、ユーザーの皆様に、大変長い間お待たせてしておりまして、お詫びの言葉も御座いません。ですが、必ずリリース出来るようスタッフ一同制作に邁進してまいりますので、もう少しの間お待ちいただけましたら幸いで御座います……。


――楽しみにされているファンの方も非常に多いですし、進捗のご報告がいただけただけでも嬉しい話題かと思います!


由良:そのご期待に沿えるよう、一歩一歩着実に進んでいけましたらと思います。


――それではお仕事つながりで、次の質問に移りたいと思います。イラストレーターとして仕事をされる際、インスピレーションの源泉となるものはありますか? こちら先ほどの「目」についてのお答えにあたるような気もしますが、ほかにございましたらお聞かせいただければと。


由良:CMや、映画や、音楽、ふとした時に見たポスターや、イラストなどなど、その時、その都度印象に残った物でしょうか。


――いろいろ見たり聞いたりしたものを作品作りに活かされているんですね。それでは、いちBLファンとして「今後こうなっていたら良いな」といった希望はありますか?


由良:ずっとずっと、続くものであって欲しいと思います。


■■第2部■■

新創刊のBLコミックレーベル作品の印象、さらに自身でBLコミックを作るとしたら


 『ラッキードック1』や『華アワセ』など女性向け作品でお馴染みの人気イラストレーター・由良先生。現在はPCゲーム『ラッキードッグ1』の続編、『ラッキードッグ1+bad egg』を鋭意開発中です。


 インタビュー前編では、ご自身のBLとの出会いやBLの魅力について語ってくれた由良先生。インタビュー後編では、2月17日に創刊した新BLコミックレーベル「フルールコミックス」からリリースされる『鈍色ムジカ』『フォーカス』を読んでみての感想、さらには自身がBLコミックを作るとしたら……などなど色々お聞きしました。インタビュー第1部と合わせてお楽しみください!


『鈍色ムジカ』『フォーカス』双方とも読後に心地よい余韻を感じられる作品


――2月17日に創刊した『フルールコミックス』の『鈍色ムジカ』『フォーカス』の2作品をお読み頂いたかと思いますが、ご覧になってみていかがでしたか?


由良『鈍色ムジカ』は、当人同士がかつての大親友と知らず再会、片方主人公の拓真は親友と気付き、目が見えない片方のユキは主人公を初対面のただのヘルパーと思い込む。拓真をヘルパーだと思っていたユキの彼への態度の変化が個人的にとても好きでした。二人の関係の変化と、拓真のまっすぐで純粋な性格が相まって、気がつけばどっぷり『鈍色ムジカ』の物語に浸かっておりました。

▲『鈍色ムジカ』(所ケメコ/著) ~十年来の片恋を隠したチェリスト×幼馴染の介護士~ 介護士の拓真は自分であることを告げず、両目をケガした親友ユキの介助をすることになり…。

『フォーカス』は、小さな島で出会った青年二人、朝比奈さんと平見さんのお話ですが、人物がそこにいる空気感が好きでした。ゲイだと初対面でいきなりカミングアウトする平見さんとドノンケの朝比奈さんのぎこちない恋愛模様に、思わずニヤニヤしてしまう感じですが、朝比奈さんの過去のお話も織り混ざり二人がどうなっていくのか、ハラハラしながら読んでおりました。

▲『フォーカス』(西のり子/著) ~ゲイのフォトグラファー×写真館の若き館主~ 個展のため島を訪れた写真家の平見は、どこか陰のある朝比奈に心惹かれるが…!?

どちらのお話も胸がじんわり熱くなるお話で、双方とも読後に心地よい余韻を感じられる作品でした。


――詳しく読んでいただきましてありがとうございます! 両作品ご覧になった中でお好きなシーンやカットがありましたら教えていただければと。


由良『鈍色ムジカ』については、二人の感情豊かな表情にとても惹かれました。ドキッとしたシーンは、男性ならではの指の描写です。ユキの長細いけれど、骨ばった手が拓真の頬に触れた時のシーンは、思わずときめいてしまいました。


好きなシーンはユキの拓真に対する過去の想いを知ったシーンです。一途な想いが溢れていて、胸が熱くなります。


『フォーカス』については、物語初め、朝比奈さんが写真を撮っている横顔のシーンに初っ端からドキッとしてしまいました。思わず平見さんが心惹かれてしまうのも頷けるぐらい、何かに熱中している男性は魅力的ですね。


好きなシーンは朝比奈さんの弱い部分を平見さんが指摘したシーンです。その時の朝比奈さんの表情がとてもいいんです。


――男性同士の空気感もそうですが、指をはじめ絵の細かなところを注目されているんですね。


由良:きっとそこに萌えが溢れているからなのかもしれません(笑)。はっと、目を奪われてしまいますね。


――では最後の質問となります。由良先生が、もしBLコミックを作るとしたら、どんな設定やキャラクターにしますか? いろいろとゲームの開発で忙しいかと思いますが……。


由良:ギャグがしたいですね。タイトルは『ニートの新しい世界』

舞台は、少し進んだ少し変わった日本。 主人公は二人。二人共、自他共に認める立派なニートで、今日も今日とて親のお金で食事をし、服を買ってもらい、買い物をし、一日中自堕落な生活をしている。が、政府からの突然『全ての家庭のニートを劇的変身』法令なるものが仮発令。お試しとして、無作為で選ばれた二人、まさしく主人公二人が、その被験者となり生活が一変する。

部屋に突如乱入してきた警察官に、二人の家は違えど、状況は同じ。無理やり愛しの巣から引きずりだされ、目隠しをされ、何処かへ収納。初めは、親がとうとう切れてどこかに売り飛ばしたのかとおもいきや、状況はもっと深刻で…。

というような出だしで始まる物語です。全く外にでてなかった二人が、国民のみなさんのお役に立つような事をしなければならない。しかし、二人っきりですら会話が成り立たないコミュ障な二人が、一体どうやって皆の役に? というような内容です。


――まさかここまで具体的な内容をいただけるとは思っていなくて、驚いてしました……! 機会さえあればぜひ実現させたいですね!


由良:思いっきり趣味に走ったネタ全開で、大変申し訳ない気持ちでいっぱいですが……機会がありましたら、是非(笑)。


――ありがとうございました!


(取材・文=アニメイトTV)


※同記事はアニメイトTVからの転載です。元記事はこちら


■フルールコミックス アニメイト特典『12P小冊子』

購入したタイトル毎に、対象商品に対応した【12P小冊子】が1冊付きます。

【開催期間】
2015年2月17日(火)~2015年3月14日(土)

【開催場所】
全国アニメイト各店

【特典内容】
12P小冊子
※描きおろしマンガ8P収録!

【対象商品】
2月17日 鈍色ムジカ
2月17日 フォーカス

※特典は、なくなり次第終了となります。

他にも店舗特典をご用意しています。
詳細につきましては、『COMICフルール』の特典・フェア情報をご確認くださいませ。

◆コミックス店舗特典につきましてはこちら
◆電子書籍特典につきましてはこちら

>>「Tennenouji」公式サイト
>>コミックページ『COMICフルール』