松田龍平「マンガと映像は同じにはならない。でもつながる部分があるのがおもしろい。」

あの人と本の話 and more

2015/3/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。映画『ジヌよさらば~かむろば村へ~』でお金恐怖症の男を演じた松田龍平さん。共演の阿部サダヲさんについて、また「原作もの」のおもしろさについて語ります。

 今回、松田龍平さんがつげ義春作品として『紅い花』とともに選んだ『やなぎや主人』は、鬱屈を抱えた男が房総の海へと旅に出て一夜の宿を求めた食堂の女を相手に妄想を広げる、というお話。男の雰囲気など、松田さんが演じている姿が目に浮かんでくるような作品だ。

「映像にしたらおもしろいんじゃないですかね。絵も独特だし……どう表現したらいいのか難しいですが。やっぱり絵の力ってすごくて。映像化した時には、必ずしも同じようになるわけではないですよね。ただ全く違うものになったといわれる作品でも、どんな形にせよ、確実に影響は受けていて。つげさん原作の映画『ねじ式』、最初はつげ作品だと知らずに観て『なんだこの映画、すげえな』って思ったんですよ。でもつげさんだと知ったら、確かにつながるところがあった。原作もののおもしろさというのは、そういうところにあると思う」

 松田さんの主演映画『ジヌよさらば~かむろば村へ~』もマンガ原作。マンガの持つ、ユーモア、あたたかさ、禍々しさ、暴力性などが引き継がれつつ、お金恐怖症・タケのキャラクターの魅力は、松田さんが演じることで一層増している。ヘタレながら、どうにも応援したくなる男なのだ。

「頼りないけど、一生けん命ですよね。妙にガツガツしたところもあったりしますけど。村人からは雑に扱われている(笑)。村長の阿部(サダヲ)さんには殴られたりもしますしね」

 異様に世話焼きの村長を演じた阿部さんの、やさしくも荒々しい姿が印象的だ。

「僕の中では阿部さんって、もともと男らしくてかっこいい人っていう印象なんですよ。でも世間的には“かわいい”とか、“おもしろい”みたいなイメージですよね。だから今回は渋くて強くてかっこいい、“おっさん”の阿部さんが見られて楽しかったです(笑)」

(取材・文=門倉紫麻 写真=江森康之)

松田龍平

まつだ・りゅうへい●1983年、東京都生まれ。99年映画『御法度』で俳優デビュー。以降『青い春』『恋の門』『まほろ駅前多田便利軒』(のちにシリーズ化)、『探偵はBARにいる』など多くの映画に出演。『舟を編む』では多くの主演男優賞を受賞。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』も話題になった。
ヘアメイク=須賀元子 スタイリング=纐纈春樹 衣装協力=ブルゾン4万5000円、シャツ2万6000円、 Tシャツ1万8000円 ※すべて税別価格(SUNSEA TEL03-6435-5505)

 

『紅い花』書影

紙『紅い花』

つげ義春 小学館文庫 581円(税別)

『紅い花』(1967年初出)は、山里で小さな店の番をする少女に初潮が訪れる様子を描いた、艶めかしくも清廉な作品。『やなぎや主人』(1970年初出)は「いっそ駄目になってしまえたら…」という思いを抱えて房総の海へと旅に出た男が食堂「やなぎや」の女に抱いた妄想と、その後を描く。

※松田龍平さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ4月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『ジヌよさらば~かむろば村へ~』

原作/いがらしみきお『かむろば村へ』(小学館) 監督・脚本・出演/松尾スズキ 出演/松田龍平、阿部サダヲ、松 たか子、二階堂ふみ、西田敏行ほか 4月4日(土)全国ロードショー
●「お金恐怖症」のタケは、お金を使わず生きることを決意、過疎の村・かむろば村へ移住。世話焼きの村長(阿部サダヲ)、その妻(松 たか子)、裏のありそうな女子高生(二階堂ふみ)、そして「神様」(西田敏行)ら濃い村人たちと共に生活するタケだが……。松尾監督仕込みの、松田さんの動きと表情に爆笑必至!
©2015いがらしみきお・小学館/『ジヌよさらば~かむろば村へ~』製作委員会