Cover Model 蒼井 優 2010年10月号

Cover Model 紹介

更新日:2013/10/11

Cover Model 蒼井 優

好きな小説の主人公になれるなんて、
こんな幸せなことってないですよね

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5年前、蒼井優さんがダ・ヴィンチ本誌の表紙に初めて登場した時、
彼女が選んだ一冊が今秋映画になって公開される。
宇江佐真理『雷桜』。
将軍の子として生まれながら心に病を抱えた斉道と、
山で育った自由奔放な雷(らい)の運命的な恋を描いた時代小説である。
「初めて読んだ時から映像が浮かんだ」というこの作品の主人公を演じるのは、
もちろん蒼井さんである。
「5年かかりましたけど、自分が好きな小説の主人公に自分がなれたということ、
こんなに幸せなことってないですよね」
庄屋の娘として生まれた遊は、子どもの頃にかどわかされ、
山で「雷」として育てられた。
馬を乗りこなし、狩りもする。男勝りで「狼女」と呼ばれる野生児。
「雷は演じていて、心が健康でいられる感じがしました。
ほんとにウソがないから。基本的には常にまっすぐ。嬉しい時は笑い、
悲しい時は泣く。感情が常にマックスというか、トップギアなんです」

そんな蒼井 優さんが持った本は――

『ヘヴン』

『ヘヴン』
川上未映子
講談社 1470円

斜視が原因でクラスメイトからいじめにあっていた〈僕〉は、ある日「わたしたちは仲間です」と書かれた手紙を受け取る。差出人はやはりいじめを受けている同級生のコジマだった。二人は密かに文通をするようになるが……。著者が大阪弁の文体を封印して挑んだ初の長編小説。物語と思弁がスリリングに拮抗する。2009年度の芸術選奨文部科学大臣新人賞に加えて今年第20回紫式部文学賞を受賞。
「この本を読んでいると、ドキドキするんです。本を読みながらドキドキするのって、私、好きじゃないんですけど、とにかく最後はどこに着地するか。想像通りでも何でもなかったのに、すごく気持ちいいところに着地した感じがしたんです」(蒼井優 談)