動くと驚く? 話題のアニメ『ニンジャスレイヤー』を制作 スタジオ・TRIGGERに聞くアニメ界の未来

アニメ

更新日:2015/6/26

時代は少額課金の配信型へ

 もちろん売れる作品は、評価に値する優れたものが多い。けれど、いま政府ぐるみで推している「クールジャパン」とは、世界に類を見ない多様なアニメの「作品群」を指す。だが売り上げ重視の制作スタイルでは、多様性を失いかねない。それは日本のアニメ界にとって損失と大塚氏は考える。

「作品はお客さんのためにあります。けれどマニアックでチャレンジングな作品は、アニメの制作者に刺激となります。そしてその衝撃を受けた個々人が、新たなインスピレーションをエンターテインメント作品に組み込む。その循環は、業界全体の底上げになると思うのです」

 『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』も『キルラキル』も、斬新な試みに満ちあふれている。この挑戦する意欲をTRIGGERは後押ししたいという。

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 そのための新しい制作スタイルには、幅広い少額課金が不可欠との考えだ。例えばニコニコ動画プレミアム、dアニメストアなど、定額制のコンテンツサービスのひとつとして提供すること。まさに『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』の方式だ。

 コンテンツのプラットフォームは、「配信型」へと加速されるだろう。まさに大塚氏が想定した通りの流れだ。アニメの流通システムが変わるということは、作品のスタイルにも変化を与える可能性もある。

「視聴者のみなさんは、テレビシリーズに手厳しく評価なさいますが……、この、毎週納品するというスタイルは、本当に難しいのです。結果の見えないなか手探りで作品を作るため、現場の様々な苦悩の結果が反映されています。けれど地上波でなければ、毎週納品するというやり方ではなく、一度に全話を納品する、ということもありえます。また1話の区切りを30分ではなく、45分や1時間と自由に変えられるかもしれません。といっても、アニメの現場が一度にすべてが変わることはないでしょう。少しずつ変化してくるのではないでしょうか」

▲主人公のニンジャスレイヤーは復讐のため、悪しきニンジャを殺すという豪傑な設定だ

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