中国のオタクは、実は日本以上にパクリに潔癖だった!

アニメ部

2015/6/19

 中国オタク事情を連載している百元です。第12回は中国のオタクな人達のいわゆる「パクリ」に対する感覚などを紹介させていただきます。

 日本では中国に対して「コピー天国、パクリ大国」といったイメージがあるかと思います。実際過去には四川省にガンダムっぽい何かが出現したり、有名キャラクターをパクッたらしき謎のキャラが出没したりとその手の話題に事欠かないのは確かです。

 しかし、現地のオタクな人達には「パクリに関して日本以上に潔癖」といった所も見受けられます。いくら中国にパクリがあふれているとは言っても、中国のオタクな人達がそれを受け入れているわけではなく、むしろ日本以上に潔癖でめんどくさいことになっているような所も見て取れます。

炎上事例

 最近中国では届出の行われたあるTV番組が「Fate」シリーズのパクリ作品だとされ大炎上しましたが、過去には『ヒカルの碁』や『秒速5センチメートル』のパクリ的な作品に関する炎上も起こっています。またそれ以外にも中国では定期的にパクリ認定に伴う炎上及び作品叩きといった流れが発生している模様です。

 しかし中国のパクリ関係の炎上事例を見ていくと日本の感覚では問題ないであろうレベルであっても強烈に叩かれているケースも見受けられます。例えば「秒速5センチメートル」の件に関してはさすがに厳しいものがありましたが、最近「Fate」のパクリとされた作品は届出されていた情報によれば、
・現実とは違った世界で、どんな夢でも願いでもかなえてくれる「玉璽」を巡って300年に一度行われる「夢想之戦」
・伝説の英雄の名によりスゴイパワーが使える
・その伝説の英雄の名を持っている者達が「夢想之戦」の参加者として選ばれ、自らの望みをかなえるために戦いを繰り広げる
・様々なキャラがそれぞれの諦めきれない夢をかなえるために戦いに身を投じる

といった内容で、確かに「Fateの聖杯戦争っぽい所」はありますが、それだけで中国のオタク界隈において集中攻撃をされるというのは少々やり過ぎのようにも思えます。

 この辺りの判断基準に関して中国のオタクな方に聞いてみた所、
・作品を尊敬した形になっていると中国のファンが受け取れるようでないと厳しい
・リスペクトを「明記」しないと通じない
・パクリ認定の範囲はキャラ、ストーリー、設定のどれも厳しい。魔法少女のようにジャンル化されて「定番設定」になっているならある程度は大丈夫かも……?
・同人ならばOKなパロディも、商業作品になり作者が名前を出して自分のオリジナル作品として扱うようになると途端に厳しくなる

とのことで、中国では「元となった作品への尊敬」を明確に表さなければいけない、それ以外は基本的にアウト、炎上しないのは「発見されていないだけ」というような空気になっている模様です。

ファンの反応と中国特有の事情

 このファンのパクリに関する苛烈な反応ですが、現在の中国の一般的な感覚である
「名作を変えてはいけない、いじってはいけない」
という所も影響しているようです。現在の中国では伝統的な文芸作品、名作の「再構成」自体をタブーにするある種の美意識のようなものがあり、それが中国のオタク界隈の一部でオタク的な名作のパロディやオマージュが「名作」の改変、冒涜と考えられてしまうことにもつながっているそうです。

 それに加えて「比較対象となる作品があまり中国に入っていないことから、大多数の現地のオタク層、ファンの間では作品同士の影響に関する知識が日本に比べてかなり少ない」
という事情もあり、中国のオタク界隈に入って人気になった、有名になった作品が「絶対的なもの」という捉え方をされ易いそうです。

 また更に事態をややこしくしているのが中国特有の事情と中国のオタクな人達の立ち位置です。
現在の中国では日本好き、あるいは日本のコンテンツが好きだと明らかにすると周囲からバッシングを受けるような所があります。そこにオタク関係で日本のコンテンツパクリ認定されるような作品が出て来てしまうと、
「中国と日本、両方から叩かれる」
と感じてしまう中国のオタクな人も少なくないのだとか。

 中国のオタクな方の話によれば、直接叩かれることが無くてもこの手の話は意識せざるを得ないそうで、
「日本でまたパクリ認定され、ネタにされて叩かれる」
「日本と中国両方から否定される、叩かれるのはキツイ……」
と感じて、過激にパクリ或いはパクリっぽい作品を叩く動きが出てしまうようです。

 またオタクではない一般の中国人にとっても日本のコンテンツをパクるというのは納得できない所があるようです。これが西洋文化系の方であればまた別の話になるそうですが、東洋文化系の方になると
「東洋文化の源である中国が日本からパクるとは……」
といったことになってしまうので、一般の人からも日本のコンテンツのパクリは叩かれやすいそうです。

中国のコンテンツの制作環境

 最後に、制作側の事情に関しても軽く紹介させていただきます。これだけパクリを嫌うファンがいるのに中国ではパクリ系のコンテンツが絶えませんが、その理由のひとつとして、
「スポンサーや、決定権を持つ層がパクリを気にしない、むしろ奨励する」
という事情があるそうです。

 パクリで炎上するリスクを避ける、あるいはオリジナル作品を作ろうとするのではなく、明確に「コピーを作れ」という、
「二匹目のどじょうではなく明らかなコピーを作らせる」
ケースが少なくないのだとか。

 中国のオタク業界の方に聞いた話によれば、クリエイター側が
「影響は見て取れても、パクリではない……かもしれないレベルの作品、デザイン」を出しても、
「似ていない」「そっくりにしろ!」
と怒られるそうで、クリエイターの方では上からの指示に従って「コピーするしかない」という状況になってしまうのだとか。

 以上のようなことから、中国のオタクな人達にとって中国産コンテンツのパクリ事情というのはなかなかに厄介なものとなっている模様です。

文=百元籠羊