「ソードアート・オンライン」などを手掛けるCGデザイナー、A-1 Pictures雲藤隆太氏に聞いた!アニメーターになるために大切なこと

アニメ部

2015/7/3

最近はテレビシリーズの増加のみならず、企業CMにまで幅広く需要が伸びているアニメ。そんなアニメ作品に憧れて、アニメーターを志望する人も多い。しかし、実際にどんな実力があればアニメーターになれるのだろうか。また、巷ではアニメ業界の過酷な仕事ぶりがまことしやかに語られているが、本当のところはどうなのだろうか。


▲A-1 Picturesの雲藤隆太氏

先日、日本動画協会が主催し、アニメ業界への就職を希望する学生らが参加した「アニメ業界デジタルワークスセミナー」を見学してきた。講師を務めたのは「ソードアート・オンライン」「宇宙兄弟」「アルドノア・ゼロ」などの3DCG制作に携わってきたA-1 Picturesのトップアニメーター、雲藤隆太氏。アニメにおける3DCGの役割やワークフローについて語られたセミナーの後、アニメ業界の実際とこれからについて聞いてみた。


▲イベントでは、A-1 Picturesが制作した作品も紹介された。「アルドノア・ゼロ」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「宇宙兄弟」「七つの大罪」「アイドルマスター シンデレラガールズ」など、幅広いジャンルの人気作がズラリ

90年代、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」やGONZO作品に影響を受けてCGが普及した


――そもそも、雲藤さんがアニメをつくりたいと思われたきっかけはなんでしょうか。一般的には、アニメの絵を描きたい、ロボットを動かしたい、という想いでアニメ業界に入る人も多いと思いますが。

雲藤:最初は映像の仕事がしたい、と漠然と思っていました。もともと音楽が好きだったので、ミュージックビデオでちょこちょこアニメが使われているなと思ったりしながら。絵が描けるわけではなかったので、CGであれば絵をイメージできるんじゃないかなと。そう思ってアニメ業界に入ったら、なかなか苦労しましたが(笑)。

――アニメ業界に入って、すぐにCGを始めたのですか?

雲藤:最初は、マッドハウスで撮影を担当していました。当時のCGは、予算が多い劇場作品では使われていましたが、テレビアニメでは積極的に取り入れてはいなくて。撮影の片隅に、CGのできる人がちょこっといるような位置づけでした。自分はCGがやりたかったので、CG経験のあるスタッフが使っていたソフトを、「余っているなら使わせて」と触ったりしていました(笑)。それから、もっと本格的に挑戦するためにオレンジというCGメインの会社に入って勉強し、A-1 Picturesに。A-1はオリジナル作品も多い、と周りの先輩方から聞いて魅力を感じていたので。

――そもそも、アニメでCGが使われ始めたのはいつ頃でしょうか?

雲藤:古いとは思うんですよね。昔から挑戦していた会社はあったので。メジャーになり始めたのはProduction I.Gさんの「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」とか。GONZOさんの作品でも積極的に使っていたし。引っ張ってくれていた会社がいくつかあったので、みんなが刺激されて、どんどん広まっていったのかなって感じがします。90年代くらいからでしょうね。

――テレビアニメまで普及するには苦労もあったでしょうね。

雲藤:最初のころは、アニメの制作の間でも「CGはいらないよ」と言われることが多かったんですけれども、僕らはCGを使いたくて「CGならこういうこともできます」ってプレゼンしてましたね(笑)。あの当時、いろんな人がCGの良さを必死にアピールして、それが積み重なって、演出さんや監督さんの間にも浸透し、じゃあ…という感じで展開していったのかなと、漠然とした感触はあります。


▲「ソードアート・オンライン」シノンはほとんど作画で描かれた。ちなみに、左側はCGで描いたシノン。より立体感が感じられる。アニメの中でCG表現が多いのは、ロボット、クリーチャー、モブ、CGの乗り物に乗っている人物など。たとえば、「宇宙兄弟」の宇宙服または宇宙服を着た人物、「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」のダンジョン部分などが挙げられる。

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