大島優子「鉢子は“男をダメにするイイ女”だと思う(笑)」

あの人と本の話 and more

更新日:2015/8/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。映画『ロマンス』で、自身と同じ26歳のロマンスカーのアテンダント・鉢子を演じた大島優子さん。近年、女優としても注目を浴びる大島さんに、タナダ監督のオリジナル脚本である本作について訊いた。

 ひょんなことから乗客の中年男・桜庭と箱根を旅することになる鉢子。その時々で、普通だけれど、それぞれに違う個性を持つ女の子を絶妙に演じ分けている大島さんだが、今回、芯の強さとあきらめムードが同居する鉢子の役作りで意識したこととは?

「台本に飛び込むことでしょうか。監督のおっしゃることが絶対だと思っていましたので。もちろん私も役について考えますが、私以上に監督は考えていらっしゃいます。それに、考えれば考えるほど自分と役との違いが見えてきて、“妥協”して役の考えを受け入れることになってしまう。たとえば、私だったら絶対に桜庭にはついて行きませんが、鉢子はついて行く。そこに自分の考えは入れずに、鉢子の気持ちになってそのまま演じました。なぜついて行ったんだろう?というのは後から考えて、自分の思い出を浄化するためだったのかもしれない、と思ったりはしました」

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 父と離婚後、娘の自分より恋人を優先させてきた母へのわだかまりを抱えている鉢子だが、ともに旅をする桜庭もまた人生に問題を抱えている。やむなく泊まることになったラブホテルで、弱さを見せる桜庭に対して鉢子が包容力を発揮するシーンが印象的だ。そんな鉢子がなんとも「イイ女」に思えるのだが……。

「たしかに大人、ですよね。でもイイ女“風”なだけだと思うんですよ。恋人にお金を貸したりしているじゃないですか。貸さずにお尻を叩いて育ててあげたらイイ女なのに……。だから鉢子は“男をダメにするイイ女”な気がします(笑)」

(取材・文=倉田モトキ 撮影=山口宏之)

大島優子

おおしま・ゆうこ●1988年栃木県生まれ。2006年、AKB48に加入。中心メンバーとして活躍し、14年に卒業。その後、本格的に女優としての活動を開始。『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』でドラマ初主演。映画『紙の月』では日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。10月には舞台『No.9-不滅の旋律-』に出演予定。
ヘアメイク=小澤麻衣(mod’s hair) スタイリング=百々千晴 衣装協力=ペイズリー柄ブラウス4万4000円(税別)、ペイズリー柄スカート3万9000円(税別)(ともにシーバイクロエ/クロエ インフォメーションデスク TEL03-4335-1750)

 

『進撃の巨人』(1〜16巻)書影

紙『進撃の巨人』(1〜16巻)

諫山 創 講談社マガジンKC 各429円(税別)

人を喰らう「巨人」に支配される世界で、人類の存続を懸けて果敢に闘う兵士たちの姿を描いた大ヒットマンガ。「新刊が出るたびに買っています。最近は人間同士の争いが話の中心になっているので、奇行種の巨人の登場が減っていて寂しい(笑)」(大島さん)。実写映画前編『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』も公開中。

※大島優子さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ9月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『ロマンス』

監督/タナダユキ 出演/大島優子、大倉孝二、野嵜好美、窪田正孝、西牟田 恵 配給/東京テアトル 8月29日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
●新宿と箱根を結ぶ特急ロマンスカーでアテンダントを務める鉢子のもとに、疎遠になった母から意味深な手紙が届く。破り捨てた手紙を拾った乗客にして鉢子が捕まえた「万引き犯」の中年男・桜庭と母を探すため、思い出の地・箱根を巡ることになる。
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