平岡祐太「作品、言葉、人生、考え方……没後45年を経てもなお、三島由紀夫さんは常に驚きを与え続けてくれています」

あの人と本の話 and more

2015/10/7

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、11月から世田谷パブリックシアターで舞台 現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』に主演する平岡祐太さん。愛読する三島由紀夫の戯曲集から材をとったという本作。そこはかとなくロマンも感じられる、三島と平岡さんの“縁”とは?

 古典の智恵と洗練を現代に――狂言師・野村萬斎が企画・監修をし、能の物語に着想を得、日本演劇界を代表する劇作家、演出家により新作が生み出されてきた「現代能楽集」シリーズ。その第8弾の主演に抜擢された平岡さん。
「三島由紀夫さんが古典である能の物語を近代劇に、今回はその三島さんの戯曲をマキノノゾミさんが現代を舞台に構築する。役者として、たいへんに刺激を感じる作品です」
 実は出演オファーのある少し前、偶然にも三島由紀夫のエッセイに熱中していたのだという。
『不道徳教育講座』という本なのですが、切り口がとんでもなく面白くて。章タイトルが凄いんです。“友人を裏切るべし”“人の恩を忘れるべし”とか、すごくショッキング(笑)。50年ほど前に書かれたものなのに、やっていることや感じていることは現代と何ら変わらないというところも興味深かった。この本を読み、三島さんご自身に惹きつけられてしまいました」
 そして調べ始めたのだという。三島由紀夫のことを。
「官僚の子息としての華麗な生い立ちもさることながら、文壇デビューをしてからボディビルダーとなり、さらにはボクシングも始め、そして世界一周旅行に出掛けたり……と、その人生にも衝撃的な面白さを感じました。このエッセイや、『近代能楽集』でも感じた“なんじゃ、こりゃ!”みたいな驚きを、その生き方からも受け取りました」
 今年は三島由紀夫生誕90年、没後45年の記念イヤーでもある。
「そんな年に、三島さん原作の舞台を演じられることをたいへん光栄に思っています。そして縁も感じている。だって、三島さんの本名も平岡ですから(平岡公威)。時代を遡っていったら、どこかで系譜がつながっているかも……というロマンも感じます」

(取材・文=河村道子 写真=鮫島亜希子)

平岡祐太

ひらおか・ゆうた●1984年、山口県生まれ。03年、ドラマ『ライオン先生』でデビュー。映画『スウィングガールズ』で第28回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。出演作に映画『キッズ・リターン 再開の時』、舞台『天守物語』、ドラマ『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙』など。映画『縁~THE BRIDE OF IZUMO~』が16年春公開予定。
ヘアメイク=山口 淳 スタイリング=石橋修一 衣装協力=ジャケット6万6000円、パンツ2万6000円(ともにメッサジェリエ/WAKO&CO TEL06-6263-8188)、バンドカラーシャツ1万800円(マニュアル アルファベット/エムケースクエア TEL06-6534-1177)(すべて税別)

 

『握る男』

紙『握る男』

原 宏一 角川文庫 760円(税別)

昭和56年、両国の鮨店に弟子入りした少年・ゲソ。愛嬌と卓越した気配りから次第に見えてきたのは策略家の黒い顔。不器用な兄弟子・金森はその熱と才に惚れ、ゲソの野望に賭けることを決意する。鮨店乗っ取り、ダーティなやり口で次々と手中に収めていく外食チェーン……頂点に立った男たちが見たものとは?

※平岡祐太さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ11月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

舞台 現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』

原作/三島由紀夫(「卒塔婆小町」「熊野」『近代能楽集』所収)作・演出/マキノノゾミ 企画・監修/野村萬斎 出演/平岡祐太、倉科カナ、眞島秀和、一路真輝ほか 11月8日(日)~21日(土) 世田谷パブリックシアター 
●ネットカフェで暮らす年齢不詳の女。その話に耳を傾ける店員。実業家の薫陶を受け、美しく成長するネットカフェ難民の少女──現実と幻想、2つの三島作品が入れ子のように重なりゆく幻想譚。