池松壮亮「早見和真さんは、僕にとって“近所の兄ちゃん”です(笑)」

あの人と本の話 and more

公開日:2015/11/7

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回は11月7日に公開する『劇場版MOZU』でパワーアップしたアクションを見せつけた池松壮亮さんが登場。ある作家の方とのお付き合いを語ります。

 激しいアクションとハードボイルドな展開で世間を騒然とさせたドラマ『MOZU』。ミステリアスな双子の殺し屋・新谷(二役)を演じた池松さん。劇場版では松坂桃李さん演じる猟奇的なテロリスト・権藤との激しいアクションシーンが鮮烈な印象を残した。

「二人にしかわからない領域に行ったと僕は思っていて。そのことについて松坂さんと特に話したわけではないですが、『お疲れさまでした』と深く言い合える。そんな空気がありました」と池松さんも手応え十分。

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 そんな池松さんが今回選んでくれた一冊は『イノセントデイズ』。ある女による元恋人家族の放火殺人事件を、さまざまな視点から描いていく。冤罪なのか。やはり犯人なのか。「これでよかったのだろうか……」と、読後も読者の問いはそれぞれに続く。

「結局、どちらに転んでも人は納得しないと思うんです。現実世界でもそう。冤罪なら冤罪でがっかりする人がいる。それが人間の残酷さだと思う」

 著者の早見和真さんとは、早見さん原作の映画『ぼくたちの家族』に出演以来、親しい付き合いが続いている。

「撮影現場で、短パンはいて、サンダルをつっかけた人に、『野球やってたんでしょ? 俺もやってたんだ。キャッチボールしようよ』と声を掛けられて。それが早見さん。物書きってどんな人なのかな、作家先生だよな、と思ってたんですが……“近所の兄ちゃん”みたいな感じなんですよ(笑)。そこから仲良くなって。何でも聞けるし、僕にもなんでも聞いてくるし。ちょっと離れたところに住んでいるので、たまに遊びに行ったりしています。一読者としても、僕にとって信じられる世界を書いてくれる人ですね。たまにすごく鋭い答えを突然投げてきたりしますけど……普段はやっぱり近所の兄ちゃんです(笑)」

(取材・文=門倉紫麻 写真=干川 修)

池松壮亮

いけまつ・そうすけ●1990年福岡県生まれ。2003年『ラストサムライ』で映画初出演以降、大河ドラマ『風林火山』、映画『大人ドロップ』など話題作に出演。14年には映画『僕たちの家族』『紙の月』『愛の渦』『海を感じる時』などで多くの賞を受賞。16年には主演映画『セトウツミ』ほか、『シェル・コレクター』『無伴奏』が公開予定。
ヘアメイク=宮田靖士(ヴァッソ) スタイリング=纐纈春樹
衣装協力=ジャケット5万2000円、パンツ2万4000円、シャツ1万6000円(税別)(いずれもLAD MUSICIAN/LAD MUSICIAN HARAJUKU  TEL03-3470-6760)

 

『イノセントデイズ』書影

紙『イノセントデイズ』

早見和真 新潮社 1800円(税別)

放火殺人で死刑が確定した加害者の女、家族を殺された被害者の男。それぞれの周囲の人は何を思い、何を信じるのか。そして女は本当に殺人を犯したのか、死刑は執行されるのか──。帯には「圧巻でした。この一冊の本は祈りに溢れていました」と池松さんの言葉も。第68回日本推理作家協会賞受賞作。

※池松壮亮さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ12月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

『劇場版 MOZU』

原作/逢坂 剛「百舌」シリーズ(集英社文庫) 監督/羽住英一郎 出演/西島秀俊、香川照之、真木よう子/池松壮亮、伊藤淳史、杉咲 花、阿部 力/伊勢谷友介、松坂桃李/長谷川博己、小日向文世/ビートたけし 2015年日本 配給/東宝 11月7日より全国東宝系にて公開
●妻子を失った公安のエース・倉木が、巨大な陰謀に迫っていく。2シーズンに及ぶドラマを経た劇場版では1カ月に及ぶフィリピンロケを敢行。謎の存在「ダルマ」の姿が遂に明らかに。
©2015劇場版「MOZU」製作委員会 ©逢坂剛/集英社