津田大介2011年を振り返る 「メルマガ」

スペシャルインタビュー

更新日:2013/8/9

――KindleやGALAPAGOSは雑誌購読をウリにしていますが、普及しつつあるiPhoneやiPadではまだその仕組みがないわけですね。

津田:その部分をメルマガが担っているということなんでしょうね。手軽に情報を購入できる/あるいは発行できる、電子書店でいうところの、ニューススタンドのような存在が、「まぐまぐ」などのメルマガ購読・配信サービスだ、ということになるんだと思います。

なので、(出版社などを介さず)自前で直接メールを配信するということをやっている。でも、iPadには予めiBooksというアプリが入っている。しかも消せない(笑)。日本語の書籍がラインナップされているわけではないので、「これ意味ないじゃん」と最初思っていたんですけど、あたかも「メディアの現場」専用のビューワになったみたいだなと(笑)。ある意味独占できる。Android端末や読書専用端末、PCなど意外と読める環境も多いですし。EPUBがある種、MP3のような標準フォーマットになっていく可能性を感じています。

advertisement

「EPUB化されたメルマガをiBooksで読み込んだらすごく読みやすい」という投稿がTwitterでRTされていき、すごく宣伝にもなったんですね。そうすると「夜間飛行」というもう一つのメルマガさんも、EPUB対応を宣言して続いたんです。さらに、まぐまぐさん自身も「EPUB対応を進めます」と告知するなど、完全にメルマガのEPUB対応という1つの流れが出来てしまった。この流れは僕が作ったという自負もありますし、ここからさらに面白くなっていくという期待もあります。
既刊本の電子化ではなく、ライブな情報を扱うメルマガが、EPUBで読まれていくという新しい選択肢、市場が開拓できたわけです。

でも、そのきっかけが、ユーザーさんが自分がメルマガを読みやすくするためにボランティアではじめたこと、というのがすごく嬉しいですね。変換サービス自体は、著作権法上はグレーなんですが、僕自身は「是非是非やってください」とお答えした経緯があります。個人の思いつきがWebサービスという形になり、津田大介が取り入れることで、他のメルマガ、はたまた配信サービスまで動かしていった――ソーシャルメディア時代ならではの面白い現象だと思います。メルマガをはじめた9月からわずか2ヶ月というスピード感もすごい。

――なるほど。実にインターネット的ですね。購読者はどういった層の人なのでしょうか?

津田:僕のメルマガは自分の中では計算もあって、まずはしっかりとしたコンテンツとして、雑誌的にやって間口を広く取ろうと思っています。購読者の3分の1は純粋にコンテンツに魅力を感じておカネを払ってくれる人。あとは、先ほど申し上げたように、やはりメルマガには「ファンクラブ」的な側面もあると思います。津田大介を支援したいという人たちが3分の1。

それに加えて、「政治メディアを作る」というビジョンを最初に示したので、メルマガには興味はそれほどないけれど、その部分に共感を覚えて支えようと言って頂ける方も結構おられるんです。これが残りの3分の1という風に捉えています。

この3つの層の購読者を獲得できているから、上手く行っているんだと思います。
年内の目標が購読者2500人だったのですが、それで月100万円になるので動き始まられるかなと。でも、もうそこは達成してしまいました。さらにもうちょっと高い目標を置いて頑張っていこうかなと考えているところです。