「黒瀬ゆうこ」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ

更新日:2016/6/22

黒瀬ゆうこ

 編集部が注目する声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

 第129回となる今回は、「Tokyo 7th シスターズ」寿クルト役、「ハイスクール・フリート」納沙幸子役などを演じる黒瀬ゆうこさんです。

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――撮影はいかがでしたか?

黒瀬:近くに小川が流れていて、水のせせらぎを聴きながら撮っていただいたので、爽やかで気持ち良かったです。私、声優図鑑にすごく憧れていたんですよ! だから、「ハイスクール・フリート」でメインキャラクターが決まったとき、もしかしたら声優図鑑さんの取材がくるかもしれないって勝手に興奮してました(笑)。

――そうでしたか! では、ついに黒瀬さんのターンということで、いろいろ伺っていきます(笑)。まずは、声優を目指したきっかけを教えてください。

黒瀬:「封神演義」のドラマCDを聞いたのがきっかけです。地元の広島は放送しているアニメが少なくて、「(週刊少年)ジャンプ」で好きな漫画がアニメ化しても観れないし、その頃の財力ではDVDも買えないし、手軽に手に入れられるドラマCDを買っていました。声だけの演技というのが衝撃的で、声優さんってすごい! なりたい!って思いました。

――その頃、憧れている声優はいましたか?

黒瀬:野川さくらさんがずっと好きで、中学生か高校生のとき、握手会に行ったことがあります。CDのリリースイベントで広島に来てくださって。そのときはまだ、声優を目指すといっても、小さい子が野球選手やアイドルに憧れるような感覚でしたけど、野川さんが「声かわいいね、声優にならないの?」って言ってくださったのが嬉しくて、その夢を強く意識したことを覚えています。それから、松来未祐さんが、広島の中学と高校の先輩なんです。進学校だったので、あんまりキラキラした夢を持っちゃいけないのかなって考えていた時期に、松来さんのような大先輩がいらっしゃるなら、声優を志してもいいじゃないかなって思いました。

――それが声優の夢への突破口になったんでしょうか。松来さんの出演作を意識して観ることも?

黒瀬:「ひだまりスケッチ」の吉野屋先生が特に好きでした。アニメもそうですし、ラジオで聴くお人柄も素晴らしくて、尊敬していました。その頃、生物部と放送部に入っていたんですが、松来さんは放送部の先輩なんです。自分の学校の放送部が、いちばん強豪だった時代にいちばん目立っていたのが松来さんだったそうです。

黒瀬ゆうこ

――放送部で他の学校と競うことがあるんですか?

黒瀬:放送部の大会があって、その中にアナウンス部門と朗読部門があるんです。アナウンス部門は自分で原稿を書いて読むんですけど、松来さんは、私と一緒で朗読部門だったと思います。優勝者の名前って、ずっと後まで残るんですよ。松来さんとは直接お会いしたことはないんですけど、歴代優勝者としてパンフレットに載っているのを見て、すごい! と尊敬していました。

――放送部に入ったときは、やっぱり声優を意識していた?

黒瀬:そうですね。なりたいな〜って漠然と思っていました。高校からは部活の掛け持ちができたので、軽い気持ちで。

――生物部っていうのも気になります。何を育てていたんですか?

黒瀬:トマトとか育てていました。あと、変な実験をしていましたね。生物部の仲のいい3人くらいで、牛乳をずっと放置するとヨーグルトになるのかっていう実験をするために、牛乳を部室に置いておいたら臭くなっちゃって。実験だから仕方ないって思ってたんですけど、隣の理科室で勉強する生徒から苦情がきちゃって、知らないうちに捨てられてました(笑)。

――牛乳を放置しても…ヨーグルトにはなりませんよね(笑)。そして、大学生のときに日本ナレーション演技研究所の大阪校へ。

黒瀬:そうです。まず声優の勉強をしてから、大学を卒業と同時に東京校へ移りました。実は私、最近まで二足のわらじを履いていたんです。子供が好きだったから、おもちゃ会社に就職もしていて。まだお仕事も少なかったので、去年まで会社員をしていました。

――どのタイミングで辞職したんですか?

黒瀬:ナナシス(「Tokyo 7th シスターズ」)のライブがきっかけです。声優のお仕事はまだまだですけど、こんなに大きな舞台に立たせてもらうのに中途半端じゃダメだと思って。

黒瀬ゆうこ

――ナナシスの寿クルト役は、2014年から演じている役。どんな魅力を感じながら演じていますか?

黒瀬:人間じゃない感じというか(笑)。猿とか、わんちゃんみたいなかわいさがクルトの魅力だと思います(笑)。

――クルトの気に入っているエピソードはある?

黒瀬:ドラマCDで、メモルちゃん(CV:辻あゆみ)に、とってこーい! ってドーナツを投げられて、それを口でパクッとくわえるシーンがあるんです。そのクルトっぽいエピソードが、好きですね(笑)。

――そんなクルト役としてライブのステージに立つときは、どんな気持ちですか?

黒瀬:とにかく、ファンの方が考えるクルトちゃんのイメージを壊さないようにしないと! って思います。ナナシスのキャストって、キャラクターとのシンクロ率が高いんです。見た目とか、身長比率とか。もちろん、声もぴったり。運命で導かれたようにぴたっとはまっていて。

――黒瀬さんとクルトのシンクロ率は?

黒瀬:私はたぶん、素とキャラが離れているので…。もしかしたら、5歳くらいのときはクルトみたいだったと思いますけど(笑)。

――キャストとのシンクロ率の高さで気になるキャラクターを挙げると?

黒瀬:ルイちゃん(CV:川崎芽衣子)とマナちゃん(CV:前田玲奈)。なんでだろうって思うくらいリアルで、それがすごく魅力的で。

黒瀬ゆうこ

――クルトの持ち歌は4曲。初めて歌やダンスに挑戦したときの感想は?

黒瀬:最初は、歌で緊張したのを覚えています。緊張しまくって、一緒に録音していた(メモル役の)辻あゆみさんが「大丈夫?」って背中をさすってくれました。一緒に練習しよ! って誘ってくださって。優しかった…。

――8月21日にはパシフィコ横浜でのライブも。このステージで挑戦したいことはある?

黒瀬:新曲を歌わせていただくんですけど、茂木総監督からとにかくダンスが難しいよっていう情報が入ってきていて、ドキドキしています(笑)。今は、1日でも早くレッスンを開始したい気持ちです。それと、ナナシスは衣装の再現率が高い上に、かわいいんですよ。キャラクターに近い体型のほうが、綺麗に着られるんです。だから…夏までに体を引き締めます!

――よりクルトに近づいた黒瀬さんの登場を楽しみにしています! 続いて、「ハイスクール・フリート」の納沙幸子役が決まったときの感想を教えてください。

黒瀬:ずっと前からアニメでる事に憧れていたので、やった!って思いました。オーディションに落ちてばかりで、もう一生出られないんじゃないかと思っていたんですよ…。連絡を受けたとき、泣くかと思ったんですけど、ちょうど道に迷っていたので、「あ、受かった! 受かったけど駅がどこかわからない!」っていう(笑)。なので、後からじんわり嬉しさがこみ上げてきましたね。

――実際に演じてみた感想は?

黒瀬:ココちゃん(幸子)は、自分の世界に入り込むタイプだったんですけど、途中から人との接し方がどんどん変わってきて。私自身も役を通してココちゃんとシンクロしている部分があったので、一緒に成長してるな〜と。

――第9話は、ココちゃん的なキーポイントになったそうですね。

黒瀬:台本を読んだとき、ワ〜ッってすごく泣きました。ミーちゃん(CV:五十嵐裕美)とのエピソードが描かれるんですけど、それが悲しくて。ふだんは台本をいただいたら練習の虫になるんですけど、この回だけは直前まで練習できなかったのを覚えています。「こんなシーン悲しすぎる!」って。でも、練習をしないと声優としての黒瀬ゆうこが死んでしまう…と我にかえりました(笑)。

黒瀬ゆうこ

――現実に引き戻されたんですね(笑)。

黒瀬:ミーちゃんって、放送が始まってから出てくるキャラクターなので ネットに画像がなくて。その代わりに、ミーちゃんを演じている五十嵐さんの動画とか画像をネットで検索して、それを見ながら「ミーちゃんっ!」って泣いてました。五十嵐さんはちょっと引いてたみたいですけど(笑)。

――では、プライベートについても伺います。黒瀬さんを形作る3つの成分を挙げると?

黒瀬:好きなものを挙げるなら、「宝塚」「寝ること」「お芝居」です。

――「宝塚」はよく観に行くんですか?

黒瀬:大学生のときに住んでいたのが兵庫県の宝塚市で、宝塚の大劇場が見える場所だったんです。道を歩けばタカラジェンヌに当たる、みたいな。当日券は2,000円くらいだったので、映画を観に行く感覚で通っていました。

――どんなところが「宝塚」の魅力?

黒瀬:すべてが“夢”なんです。タカラジェンヌの間には“すみれコード”というのがあって、本名や年齢などの現実を語ることが一切ない。だから、夢を見せるためだけの世界で。多いときは月に4回くらい、今でも通ってます。

――「寝ること」はどれくらい好き…?

黒瀬:止められなかったら、10時間は余裕で寝てます(笑)。寝不足で1日眠かった日にベッドに入ったときなんて、今から眠れるんだ〜って思うとテンション上がりすぎて余計に寝られない(笑)。寝れる! 寝れる! 布団が気持ちいい〜! とか思うと嬉しくて(笑)。

黒瀬ゆうこ

――「お芝居」もやっぱり好きなんですね。

黒瀬:ココちゃんを演じて、またお芝居が好きになりました。3ヶ月間、レギュラーとして向き合うことができたので。お芝居によって、自分の感情も驚くほど揺さぶられるんです。

――自分の声の魅力をアピールするとしたら?

黒瀬:音域は広いかなって思います。ココちゃんって一人芝居をしちゃうような子なんですけど、高い声と低い声で演じ分けができたかな、と。

――自分のキャラクターをひとことで言うと?

黒瀬:「清く正しく美しく」を目指してます!

――宝塚歌劇のモットーにもなっている言葉ですね。

黒瀬:宝塚が好きすぎるので、自分はタカラジェンヌだって暗示をかけてます(笑)。たとえば、撮影で不安になったときに、いやいや私タカラジェンヌだった!って思うようにしたり(笑)。もちろん実際は違うんですけど(笑)。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

黒瀬:声優図鑑を読んでいただいて、ありがとうございました! 今年は、アニメに出ることと声優図鑑に載ること、2つの夢が叶いました。これからまた新たな夢を探して、それを叶えられるようにがんばっていきますので、よかったら応援してください。8月のナナシスのライブ、来てください!

【声優図鑑】黒瀬ゆうこさんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

黒瀬ゆうこ

黒瀬ゆうこ(VIMS)

取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト