津田大介2011年を振り返る 「ツイッター,facebook,原発」

スペシャルインタビュー

更新日:2013/8/9


 

原発は止めるべき。
脱原発をできないはずがない

――冒頭でも少し触れて頂きましたが、2011年を振り返るにあたってやはり震災と原発事故による放射能汚染ははずせない出来事だと思います。

津田:はっきり言えることは原発は止めるべきだ、ということですね。どのように止めるか。どのくらい時間をかけてやるのかといった方法論の議論はありますが、それでも現実味がある範囲でできるだけ早く止めた方がいい。あれだけのことが起きて、脱原発を支持する人が7割近くにいるのに、再稼働したり、輸出をしようとしたりしているこの国ってどうなんだと正直思います。

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原発が嫌だという声に対する揺り戻しがすごい。「元に戻りたい」願望が強すぎるというか、ここにある種の日本の病理が集約されている気すらします。

――そういったギャップや変化もTwitterのようなソーシャルメディアを通じて可視化されていますね。

津田:そうですね。やはりお話ししてきたように、メディアの問題に帰着すると思います。報じたられたものが世論を作って行くわけですから。経産省など役所の役人もそれをよく見ている。

――とはいえ、反原発をとなえる人の一部には、ガイガーカウンターを地面に直接置いて放射線量を量ったり(※実際よりも高い値が検出される)、危険を煽るような主張をされるかたもいますね。

津田:脱原発・反原発な人、いずれもがヒステリックになってしまっている。
イデオロギー論争になってしまっているので、そうではなくて淡々とデータを積み上げて行って冷静に判断したときに、それでも事故が起きてしまったときの被害や影響を考えると、やっぱり原発推進はないでしょう、ということがなんで共通の理解にならないのか不思議ですね。かつ脱原発を日本が率先してやろうとすれば、できないはずもないでしょう。再生可能エネルギー100%といった夢物語ではなくて、火力などを組み合わせた現実があるはずですから。

つだ・だいすけ●ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース 非常勤講師。一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。J-WAVE『JAM THE WORLD』火曜日ナビゲーター。IT・ネットサービスやネットカルチャー、ネットジャーナリズム、著作権問題、コンテンツビジネス論などを専門分野に執 筆活動を行う。ネットニュースメディア「ナタリー」の設立・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社)、『未来型サバイバル音楽論』 (中央公論新社)など。
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次回更新は、12月26日(月)です。

取材・文=まつもとあつし 写真=隼田大輔