志尊 淳「まさに、菅田さんの女房役として現場にいます(笑)」

あの人と本の話 and more

更新日:2017/3/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、ドラマ『きみはペット』に、主演している志尊淳さん。おすすめの一冊は、自身が実写化映画にも出演するマンガ『帝一の國』(古屋兎丸)。原作は必ず読み込んで、実写にしか生み出せないリアリティを追求するという志尊さんに、演じるうえで大切にしていることを語ってもらった。

 2月6日より放送スタートの志尊淳さん主演の『きみはペット』。才色兼備の新聞記者・スミレは彼氏にフラれ、左遷され、酔った帰り道で怪我をしたイケメン青年と出会う。しかも、そのまま彼をモモと名づけてペットとして一緒に暮らし始める。原作は、小川彌生の同名マンガ。過去にもドラマ化され、話題を読んだ作品だ。

 現場ではアドリブ芝居に委ねられることも多かったという。

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「監督が論理的な方で、どういう気持ちでその演技をしたのって訊かれることが多かったのですが、そのたびに自分の意見を返していたら『なるほど、そういう考え方もあるのか』『任せるから好きに演技していいよ』って言っていただけるようになりました。その結果、わりと1話から、重要なセリフ以外は、具体的に思い出せないくらいアドリブだらけになりましたね(笑)。といっても、僕自身はあんまりアドリブをしている意識はなくて。3カ月間という撮影期間のなかで、モモとして存在する自分があまりに自然になってしまって、モモとしてやりたい、言いたいと思ったことをそのまま出していただけなんです。そんな僕の演技に対して、入山法子さんはいつでもスミレとしての新鮮な反応をしてくれました。だからこそ、それを受けた僕もまた、その場でしかできない返しをすることができたんじゃないかな。この二人は本当にこの世界のどこかに存在するかもしれないって、そんなリアリティを視聴者の方が抱いてくれたらうれしいです」

『先輩と彼女』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『覆面系ノイズ』など、マンガやアニメの実写化作品に出演することも多い志尊さん。原作の世界観を守りながら、実写でしか生み出せない表現を追求するために、監督とも何度も相談を重ねるという。

「もちろん、進め方は現場によって違いますけど……でも、意見を求められたときにはちゃんと答えられるよう、準備するようにはしています。昔は自分に自信がなくて、まわりの人に本音を言わないことが多かったんです。でも、『烈車戦隊トッキュウジャー』で主演してからは、だんだん、そんなに背伸びしなくてもいいやって思えるようになってきた。とりつくろった自分を評価されてもあんまり嬉しくないですし、だったら自分の思ったことをちゃんと主張していくほうがいいかもしれないって。もちろん、人付き合いをするうえで気遣いは必要ですし、我儘にならないように心がけてはいます

 今回、志尊さんがおすすめしてくれたマンガ『帝一の國』も、4月29日より実写映画が公開される。政財界を牛耳る海帝高校の生徒会長派閥。いずれ日本のトップに昇りつめるため、生徒会長の座を狙う男子高校生たちが、頭脳戦あり肉弾戦ありの戦いに挑むという一風変わった作品だ。

「僕は主人公の帝一を支える知将・光明を演じるんですが、彼にリアリティを出すためにも、原作マンガを繰り返し読んでいます。作品の世界観を深めてくれるのは、ほんの些細なディテールの積み重ねだと思うから。光明はものすごく切れ者で俯瞰して物事を見られる大人な部分があるけれど、『自分は歯車でいい』と言って、誰かのために全力で尽くすことのできる人。対して、彼が支え続ける主人公の帝一は、野心は人一倍で頭もいいのに意外と不器用で抜けたところのある。そんな二人の、まさに伴侶としかいいようのない関係が好きですね。現場でも、帝一役の菅田(将暉)さんとはずっと一緒にいます。台本になくても、帝一の髪が乱れていたらさっと直してあげたり、原作と同様に女房役を務めていますね(笑)。菅田さんが帝一以外の何物でもない演技をしてくれるから、ここでもやっぱり僕は光明になりきって隣に立つことができるし、そうでなくちゃいけないって思わせてくれます。だいぶ独特な世界なので、観た方がどう感じるのかは未知数なんですが、どんなにくだらないことにも、そこまでやらなくてもっていうくらい全力で取り組む生徒たちを僕たち自身が大真面目に演じているので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいですね」

(取材・文=立花もも 写真=干川 修)

志尊 淳

しそん・じゅん●1995年、東京都生まれ。『烈車戦隊トッキュウジャー』の主演で注目を浴びる。ドラマ『表参道高校合唱部!』『プリンセスメゾン』、映画『疾風ロンド』、舞台『テニスの王子様』など出演作多数。2017年公開の出演映画は『サバイバルファミリー』『帝一の國』『覆面系ノイズ』、舞台『春のめざめ』にも出演。
ヘアメイク=仲田須加

 

『帝一の國』書影

紙『帝一の國』(全14巻)

古屋兎丸 集英社ジャンプC SQ 438~514円(税別)

生徒会長の座に座れば将来の内閣入りが約束されるという中高一貫の男子校・海帝高校。赤場帝一は「海帝で一番」という父親の悲願をその名に背負い、総理大臣となって自分の国を作る野心に燃えていた。だが入学早々、教師の利権も巻き込んで、同じく執念に燃えるライバルたちとの攻防が待ち受けていた……。

※志尊 淳さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ3月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

ドラマ『きみはペット』

2月6日より フジテレビ(関東ローカル)にて 毎週月曜 初回26:35~放送スタート
FODにて毎週2話ずつ配信中! 原作/小川彌生『きみはペット』(講談社『Kiss』所載) 監督/熊坂 出 出演/入山法子、志尊 淳、竹財輝之助 
●才色兼備の新聞記者なのに、彼氏にフラれたうえにセクハラ上司を殴って左遷されてしまったスミレ。やけ酒した帰りに出会った年下青年をモモと名づけ、なりゆきでペットとして一緒に住むことに。奇妙な同居生活に戸惑いつつも心癒やされていくスミレだが、初恋の人と再会し……。
(c)小川彌生/講談社 (c)2016「きみはペット」製作委員会