『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』リレーインタビュー第2回 キャラクターデザイナー恩田尚之「『バハムート』は本当に休みの回がない」

アニメ部

2017/5/12

 4月からスタートしたTVアニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』。スマートフォンゲームを原作に、バハムートと呼ばれる伝説の存在を巡る物語を描いた『神撃のバハムート GENESIS』から10年後を舞台にした本作は、変わらぬクオリティの高さ、そして新たな主人公・ニーナによるフレッシュさを見せてくれている。

 ダ・ヴィンチニュースでは、そんな『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』のスタッフインタビューを連続で敢行。第2回はキャラクターデザイナーで、総作画監督でもある恩田尚之氏に本作のキャラクターについて語ってもらった。

ほかの作品の4、5倍は大変な『神撃のバハムート』シリーズ

――先行上映会で配られたブックレットで、「『GENESIS』はハードな駆け足でやり切った」というコメントがありました。そんなにハードだったのでしょうか?

恩田:ハード……でしたね。1クールであれだけ作業が重かったのは初めてでした。とにかく作業に時間がかかり過ぎて、1本作るのに5カ月以上かかっていたくらいでした。確かオンエアが始まる時も3本くらいしかストックがなくて、そこからあと9本完成させる必要があったので、相当きつかったです。

――ほかの作品とは作業量が違うんですね。

恩田:全然違います。普段の4、5倍はしんどかった(笑)。ほかにも大変な作品はありますけど、テレビシリーズでここまでの作品はあまりないのではと思います。動きが多いのもそうだし、とにかく人数がたくさん出てきて大変でした。

――それに比べて『VIRGIN SOUL』の制作はどうでしたでしょう?

恩田:今回も同じですね(笑)。いや、前よりは少し楽になったかな……それも作業内容が軽くなったというよりは、前回の状況を反省して予備期間を取ったからですね。それでもコンテを見ると倒れそうになりますもん。それでも結局、1話でまたつまずいちゃったんですけど。

――デザイントータルとして、『GENESIS』から路線変更などはされましたか?

恩田:それが、あまり変わっていないんですよ。『GENESIS』であそこまで動かすのがわかったので、それを踏まえて少しは楽にしようとはしました。たとえばファバロとか、丸い輪のような部分がいっぱいあって凶悪だったんですよ。それに比べればニーナはそこまで大変ではないです。

――キービジュアルがわかりやすくて、『VIRGIN SOUL』の持つ明るさが伝わりやすいですよね。

恩田:『GENESIS』は暗い絵が多かったですもんね。ただ『VIRGIN SOUL』も暗い部分はあって、20話辺りは本当にハードですよ。今回はコミカルとシリアスのバランスがすごいいです。

――キャラクターをデザインするにあたって、『GENESIS』からの続投組と新キャラクターのどちらから着手しましたか?

恩田:最初はニーナから作り始めました。その後に続投組だったかな。ニーナも当初はドラゴンのモチーフを取り入れて、カチューシャに角っぽいものを付けたり、お尻に尻尾を付けたりしていたんですよ。そこから何転かして、最終的にはさとうけいいち監督からまるで違うデザインの提案があって、「そういうイメージだったんだ」と驚きました。

――続投組を描くにあたって、気をつけた点は?

恩田:まあ大人っぽく描きましたよ。カイザルは暗い顔にしたし、ファバロは特に大人っぽくなりましたね。アザゼルは悪魔なので何も変わっていません(笑)。線を減らしただけです。

――他のキャラクターはいかがでしょう?

恩田:リタは大分かわいくしましたね。『GENESIS』の11話で秋田君という原画さんが描いたリタですごくかわいいシーンがあって。薬を投げる前のアップになるところですけど、「こういうバランスいいかも」と思ってその顔をベースにさせて頂きました。

――描いていて特に好きなキャラクターはいますか?

恩田:リタですね。ほかはみんな難しいけど、リタは表情が少ないので描きやすいです。カイザルとかあの髪型と顔のバランスが本当に難しくて、ドツボにハマると描くのに時間がかかってします。

ドラゴンの作画も必見!

――新キャラクターについて伺います。やはりニーナは、持ち前の明るさが伝わる出で立ちですよね。

恩田:『GENESIS』に比べ、非情に最近のアニメらしくなりました(笑)。前作は一所懸命、お客さんの予想を越えようと「媚びないように媚びないように」と考えていて……その思いが画面にも出ていたかもしれません。

――ニーナもキャッチーですけど、シャリオスのクールな格好良さもかなり一般性が高いと感じます。

恩田:シャリオスも、すました顔が多くて描くのが難しいんですよ。デザインとしては下まつげがこだわりです。あと髪型もファバロやカイザルのトリッキーな難しさとは逆で、正統派の難しさで。シャリオスのカットをチェックする際は「大変だなあ」と思ってしまいます。

――衣装のデザインは?

恩田:シャリオスに関しては、Cygamesさんからアイデアをもらったものがベースですね。

――そういったコミュニケーションも取られているんですね。ニーナの衣装はどのように作られましたか?

恩田:こちらは女子高生というイメージで描きました。「今時ルーズソックス?」という感じもしますけど(笑)。色も紆余曲折あって、もっとシックな色のパターンもファンタジーっぽくてよかったんですけどね。あとは縁取りの部分を太くしたり細くしたり、試行錯誤を重ねて今の状態になりました。

――ニーナをデザインにするにあたって、参考にしたものはありましたか?

恩田:特に参考にしたものはありませんが、今回も「媚びない」という監督のオーダーがあって、ただかわいらしいのを描いても駄目、と言われながらキャラクターを作っていきました。

――ほかに印象的なキャラクターはいますか?

恩田:ディアスですね。もう少し戦う系のキャラクターだと思っていたけど意外とコミカルで。ああいうキャラクターになるとは思いもせずに描いていました。

――先攻上映会のブックレットに「ドラゴンの作画も必見です」とありました。

恩田:ドラゴンはすごいですよ。上妻さんいう原画さんにずっとやってもらっていて。彼には、ほかにもエフェクトとかそういう重たいところをお願いしているのですが、「よく描けるな」と思うくらいです。僕はあまりタッチしていないですけど、ドラゴンが火を吐くところとか気持ちいいですよね。本当に素晴らしいです。

――恩田さんは総作画監督もされていますが、作業中に気付いたことなどありますか?

恩田:どのアニメーターさんも、自分なりにキャラクターを膨らませて描いてきてくださるので、それを壊さずに進めていますね。自分のボキャブラリーだけでは足りないので本当に助かっています。

――最後に、今後注目してほしい話はありますか?

恩田:休む回がないので、全部観てほしいですね。「今週はスタッフ休みましょう」というのが『神撃のバハムート』シリーズは本当にない(笑)。毎話、2回くらい盛り上がりがあるので大変でした。個人的には、僕がノータッチで、もうひとりの総作監である羽山君が担当している8話や9話がどうなっているか楽しみですね。あとは13話かな。キーになる話で、すごいことをやっているので面白いですよ。

――大変だったんですか?

恩田:大変だったので先行してやっていました。「この話は大変なので、早く作業を始めます」と言われて。

――それは確かに注目ですね(笑)

取材・文=はるのおと

神撃のバハムート VIRGIN SOUL

アニメ「神撃のバハムート VIRGIN SOUL」公式サイト

<イントロダクション>
ここは、《人》《神》《魔》あらゆる種族が入り混じる神秘の世界ミスタルシア。

バハムート復活による世界崩壊を免れてから10年───

新たな《人》の王は《神》の神殿を襲い《魔》の国を攻め落とした

壊滅寸前だった状況からの復興と更なる発展
王都は《人》に富をもたらす

王都復興の糧として奴隷となる《魔》
消えゆく信仰心により力を失った《神》

均衡を失っていく世界で《人》《神》《魔》それぞれの正義が交錯する―――

<スタッフ>
原作:Cygames
制作:MAPPA
監督:さとうけいいち
脚本:大石静
キャラクターデザイン・総作画監督:恩田尚之
美術監督:中村豪希
音楽:池頼広
撮影監督:淡輪雄介
VFXスーパーバイザー:森川万貴
エフェクトアニメーション:橋本敬史
色彩設計:三笠修
CG監督:伊藤敬之
編集:廣瀬清志
音響効果:勝俣まさとし

<キャスト>
ニーナ・ドランゴ:諸星すみれ
シャリオス17世:梅原裕一郎
ファバロ・レオーネ:吉野裕行
カイザル・リドファルド:井上剛
アザゼル:森田成一
リタ:沢城みゆき
バッカス:岩崎ひろし
ハンサ:森久保祥太郎
ジャンヌ・ダルク:潘めぐみ
ムガロ:???
ソフィエル:坂本真綾
ディアス・バルドロメウ:間宮康弘
アレサンド・ヴィスポンティ:小野賢章

© Cygames/MAPPA/神撃のバハムート VIRGIN SOUL