「このアニメは、今の僕の繋がりの集大成」 loundraw(ラウンドロー)【インタビュー・後編】

文芸・カルチャー

2017/7/20

 大学1年の頃にイラストレーターとして仕事を始め、大学4年生になった22歳の現時点で、既に確かな地位を築いたloundraw。後篇では、新たに表現活動をスタートさせた「マンガ」「音楽」「アニメ」と、今後の展望について話を伺った。


——他ジャンルへの挑戦の始まりは、昨年8月からpixivで連載中のマンガ『あおぞらとくもりぞら』(原作・三秋縋)でしょうか?

loundraw 当時、電撃文庫の編集長だった三木一馬さんに、三秋縋さんのショートストーリーを原作にマンガを描きませんか、と声をかけてもらったんです。人生で初めて描いたマンガでした。

「第六話 ロールプレイ」『あおぞらとくもりぞら』(原作/三秋縋)

——イラストとマンガって地繋がりのようでいて、とても大きなジャンプが必要だと思うんですよ。

loundraw 確かに、イラスト的な絵を描くと「キレイだけど読みにくい」となってしまうのがマンガだと思います。googleで「マンガ」と検索すると、たくさんコマが出てくるじゃないですか。それをたくさん見て、「人がマンガをマンガだと感じる要素ってどこだろう?」と分析したんですよ。そのおかげで、なんとかうまく行っているのかもしれないです。

——次に、アーティスト集団CHRONICLEでの音楽活動。こちらには、どんな形で関わってらっしゃるんでしょうか?

loundraw 音楽は絵を描き始めたのと同じ頃からずっと、趣味でやっていたんです。最初は歌とピアノでしたが、大学二年生のころに少し時間の余裕ができて、その時間でギターを練習したら、弾けるようになったんですよね。その話が伝わったわけではないと思うんですが(笑)、今年に入って「音楽を一緒にやりませんか?」という話を頂きました。CHRONICLEでの僕の役割は、分かりやすく言うとビジュアル担当で、ジャケットとか、曲ごとのキービジュアルを設定する。ミュージックビデオも僕が作ります。なおかつ、曲に物語性を入れたいよねってところで、曲の出発点になるような大元の世界観作りもさせてもらっています。もちろんライブではステージに立つ予定です。

「CHRONICLE」ティザーイラスト

——プロデューサーに近いですね。

loundraw 気質としては本来、どちらかというとプロデューサーなんだと思います。偶然、絵もちょっと描けるので、自分で描いていますっていうだけで。

——「ちょっと」って言いましたね、今(笑)。では、先日公開されて、大反響を呼んだYouTubeで公開された卒業制作のオリジナルアニメ『夢が覚めるまで』について、制作の経緯をお聞かせください。

loundraw 大学1年からお仕事を始めて2年くらい経った時に、良くも悪くも「一瞬しか描けない」というイラストの表現にもどかしさを感じていたんです。例えば女の子が泣き出しそうな感じを描いたとしても、その手前にどういうプロセスがあったのか、泣き出してからどういう泣き方をするのかは描けない。でも僕の中にははっきりと一連のイメージがあったので、一瞬を切り取るだけではなく、一連を表現したいなという気持ちが強くなったんです。

——イラストからの、自然な流れだったんですね。

loundraw あと、これは就職活動をやめて、こういうお仕事をしようと決めた時に考え始めたことですが、イラストレーターは生計を立てていくのがなかなか難しくて。権利的な面で言うと、あくまでもコンテンツの外側を作っている仕事なんですよ。なので、中身も作る仕事をすれば、ステップアップできるのではないかと思ったんです。そういったいろいろな要素と、大学の卒業制作を作らなければいけないというタイミングが合わさって、初めて作った動画が『夢が覚めるまで』です。コンセプトは、「架空のアニメ映画の予告編」ですね。

——1分半とはいえ、イラストに比べると描く枚数は途方もないものですし、短い時間の中にしっかりと物語が提示されていることにも驚かされました。

loundraw 一番最初にシナリオから作りはじめました。「予告編のシナリオ」ではなく、一応「全篇分のシナリオ」があるので、作ろうと思えば本篇が作れるんです。

——そうなんですね! 映像の中で断片的に明かされていますが、物語の中身を少しだけご説明いただけますか。

loundraw ユキちゃんという、研究所でずっと生活をしていた一人きりの女の子が脱走して、それをソウタくんという就活を控えた男の子が見つける。彼女をかくまうことになるのですが、彼女は世界にとって大事なキーと言える存在で。女の子一人を助けることを選ぶか、世界を守ることを選ぶかという、だいぶ壮大な話です(笑)。日常もののアニメーションですと緻密さが大事になってくるので、そうなると卒業制作で一人で、というのは手に余る。壮大さを取り入れて物語への関心を高めていった方が、トータルの完成度としては納得いくものになるのではと思ったんです。




【自主制作】「劇場版アニメ『夢が覚めるまで』予告編」より

——アニメではユキちゃんとソウタくんの声を雨宮天さんと下野紘さんが演じられていますが…… お二人とも、一線で活躍されてるプロの声優さんですよね?

loundraw はい。三木さんが、アニメ会社の方を紹介してくださったんです。3人でご飯を食べている時に、「声優さんにご協力いただきたいんです」とお伝えして、その時点で冒頭の一秒しかできていなかった動画を見せたら、「いいですよ」と言ってくださって。それが、声優さんにご協力いただいた経緯ですね。このアニメって、現時点での僕の繋がりの集大成でもあるなとも思っていて。それまでいろんな方とお仕事させていただいたからこそ、この作品ができあがったんです。

——「全編観たいから出資します!」という人が現れるかもしれませんね。

loundraw そうなったら最高ですね(笑)。とりあえず、「こういうこともできます」という、新しい名刺の一つになるだろうなと思います。さきほど話した「絵は手段のひとつ」というところとも通じますが、いつか映像の監督をしてみたいんです。でも、監督という存在はメインでは手を動かさない仕事じゃないですか。なので、アニメーターの人の作業の難しさとか、撮影の人の苦労とか、どういう流れで絵ができていて一枚描くのに何時間かかって……ということを自分が理解していないと、信頼されないだろうと思ったんですよね。アニメ作りの大変さを1回全部知りたかったから、卒業制作でチャレンジしたんです。

——イラストレーターとして確かな地位を手にしながらも、未来を見据えて着実に実力を磨き、失敗を恐れずチャレンジされている。5年後、10年後にどこへ辿り着くのか、本当に楽しみです。

loundraw 就職活動をやめて、すごく不安定な領域に自分から飛び込んでいったからには、そうじゃない選択をした以上の成果を残さないと、意味がないと思っています。「売れてこそではないか?」と。数ヶ月前に自分のした選択が、5年後、10年後に「正しかった」と思える結果を出したいです。それが今、一番の原動力ですね。

前編はこちらから⇒「イラストレーター」という肩書ではくくれない。 loundraw(ラウンドロー)【インタビュー・前篇】

取材・文=吉田大助