「イイ女とベッドでドンペリ」じゃ幸せになれない? 吉田尚記と尾原和啓が幸せをアップデートするべく語り合う!【前編】

社会

2017/10/7

 9月に、『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』を上梓したIT批評家の尾原和啓氏さん。そして同月、『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(石川善樹氏との共著)を上梓したニッポン放送の大人気アナウンサー・吉田尚記さん。二人とも相手の本を読んで、「同じメッセージを持っている本だ」と驚いたそうです。若い世代に大人気の二人が考える、「これからの時代の幸せ」とは?

■モチベーションをハックする方法

吉田尚記(以下:吉田) 今回尾原さんが出版された、『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』。読ませていただきました! 「解体書」って言葉、ちょっと珍しいですよね。

尾原和啓(以下:尾原) うん、グーグルで検索しても200件くらいしかヒットしない。僕が念頭においていたのは「ハック」という概念です。これ、よく使われる言葉だけど、実は適切な日本語訳がないんですよ。

吉田 え、そうなんですか。

尾原 ハックって聞くと大抵は、閉じられた場所にこっそり入っていって、悪さをするイメージが浮かびますよね。でも本来の意味合いは、「世の中の歪みを分解していって、誰もが解決できる問題として再構築すること」に近いんです。

吉田 じゃあこれは、モチベーションをめぐる問題をハックしている本だと。

尾原 「がんばらなきゃいけない、でもモチベーションが上がらない」ってことに悩んでいる若い人、多く見ますよね。「最近の若い世代にはモチベーションがない」って、上の世代もよく言う。ただそう言いつつ上の世代は、下の世代に「ゆとり」とか「さとり」なんてかっこがきをつけることばかりで、解決しようとしていない。じゃあ僕がこの問題を、誰にでもわかる言葉まで分解してみようと思ったんです。そうしたら、なんとよっぴーさん(注・吉田)も……。

吉田 新刊の『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』で、同じことをしていたという。たぶん今回の僕らの本って、根底にある問題意識がほとんど同じですよね。

尾原 そう、二人とも、「若い世代にとっての幸せ」をテーマにしていた。

吉田 面白いですよね。それに対してのアプローチも、似ているっちゃ似ているような。

尾原 それもそうでね、よっぴーさんの本は石川善樹さんとの対談本じゃない。実は僕の本も、一章(「『乾けない世代』とは何か?」)は石川さんの考え方をかなりヒントにしているんですよ。

吉田 そりゃアプローチが似るわけですね(笑)。

■ 好きなこともせずに、生きていけると思うなよ

吉田 僕の本でも尾原さんの本でも、「好きなことをして生きていく」というのが大切なメッセージになっています。でも、僕らの世代が子どものころって、「好きなことばっかりしていても生きていけないぞ」って言われるのが普通でしたよね。

尾原 うんうん。

吉田 今でもよくそういう言葉はきくんだけど、僕は一度それに対して、「好きなこともせずに、生きていけると思うなよ」って返したことがあります(笑)。というか、「好きなことをしないで生きている」という人の方が嘘くさくないですか、今や。

尾原 うん、それは本当に正しい。だって大前提として、今僕らは、「あえて苦労しなくても生きていける時代」を生きているんだから。もちろん、要求水準が高い一部の人は別だと思いますよ。「吉野家やサイゼリヤレベルの食事じゃ絶対に満足できない!」とか、「AKBに大金を貢がないと幸せを感じられない!」とか強く思っているひとは、がんばってお金を稼がないと辛いかもしれない。

吉田 それでも、今の若い世代の要求水準は、昔とは価値観が違いますよね。浜田省吾さんが1984年に歌った「MONEY」って曲に、「最高の女とベッドでドン・ペリニヨン」って歌詞が出てくるじゃないですか。あれをきいて、「わあ、いいなあ」って思う時代はたしかにあったけど……。

尾原 今の人が聞いたら「うわっ、ダセェ」って思うだろうね。もちろんその価値観が、戦後の日本を発展させてきたのはたしかです。日本は戦後焼け野原にされて、何もないところから国を立て直さなければいけなかった。あれもない、これもない……その「ないもの」を、「ある」状態まで持っていこうというエネルギーが、「アジアの奇跡」と呼ばれるくらいの経済成長をもたらした。でも、今は、むしろ「ないものがない」状態ですから。

吉田 好きなことだろうとなかろうと、手元の仕事をがんばれば「いい酒、いい女、いい車」が手に入る。それこそが幸せだ、という時代は終わった。

尾原 そうです。そうなったら、何が幸せなのか、自分はどうしている時が幸せなのかという意味づけを、自分でしていくしかないじゃないですか。

吉田 だからこそ、今はもう、好きなことをやるしかないんですよね。そのやり方がわからない人にこそ、僕たちの本を手にとってほしいです。

★後編は後日更新!

取材・文=小池未樹
写真=山本哲也