スヌーピーと仲間たちの恋に胸キュン! 六本木スヌーピーミュージアム特別展「Love is Wonderful―恋ってすばらしい。」開催――出版ディレクター・レックスさんに聞くスヌーピーと「ピーナッツ」の魅力

エンタメ

更新日:2017/10/27

 2016年4月のオープン以来、来場者が78万人を超えて大人気の「スヌーピーミュージアム」では、10月7日から新しい特別展「Love is Wonderful―恋ってすばらしい。」がスタートしたばかりだ。貴重な原画や映像で「ピーナッツ」の仲間たちの“恋”にまつわるエピソードをギュッと凝縮した世界に、思わず胸キュン! 展覧会スタートを記念して、全世界の出版部門を統括するシニアエディターのレックス・ファハルド氏が来日。「ピーナッツ」世界の魅力、そしてご本人が解説も手がけた展覧会について、話を聞いた。

――どうしてスヌーピー、そして「ピーナッツ」は全世界の人々を惹き付けるのだと思いますか?

レックス・ファハルド氏(以下、レックス) そうですね。とにかくスヌーピーの見た目が可愛いのが大きいでしょう。読み始めていくとどんどん夢中になってしまいます。私自身、幾度となくスヌーピーや「ピーナッツ」のマンガを読んでいますが、読み返すたびに笑わせてくれるのも大きな魅力なのだと思います。

advertisement

――単純に笑うだけでなく、どこか哲学的な味わいもありますよね。

レックス そうですね。たった4コマと短いのにもかかわらず、見事な組み立てになっています。それだけシュルツ氏が才能のある語り手であったということでしょう。斬新な視点や切り口もそうですが、なによりそれをマンガで語ることができたというのが圧倒的な能力でもありますね。

――今回、なぜ「LOVE」に焦点をあてたのでしょう?

レックス 「ピーナッツ」を語る上で、どなたにでも共感が得られるユニバーサルなテーマというのを考えたら、「LOVE」になったんです。実はこれまでの3回の展覧会は、スヌーピーや「ピーナッツ」の世界をじっくり紹介することでキャラクターの性格や関係を理解していただくというものでした。つまり土台を作ってきたわけですが、ここからはメッセージを軸にして、より関わりあいを感じていただきたいと思っています。

――なるほど。実は最近の日本の若者はあまり恋愛をしていないといわれてもいて。もしかしたら、「ピーナッツ」のキャラの勢いに気圧されてしまうかもしれません。

レックス え! そうなんですね! それは早く事態がよくなりますように…(笑)。実は個人的にアメリカでも感じることなのですが、もしかすると今の若い人たちはフルスペックのパーフェクトな相手でないとイヤだと思いすぎているところがあるのかもしれません。そうやって理想の人を探し求めているだけの間に、いろいろな出会いや面白い関係などを見過ごしてしまっています。それに比べ、恋になったら猪突猛進になってしまう「ピーナッツ」の女の子たちには迫力がありますよね。相手がどう思おうが「好きなら好き」と、ものすごくまっすぐに心をぶつけていきますから。純粋に心を見せてしまうのは本当にすごいです。ぜひ、日本の若い方にもこの展示から勇気をもらってほしいですね。

――レックスさんご自身は、なぜこのお仕事に関わるようになったのですか?

レックス 実は自分でもマンガを描いて、いつかシュルツさんのようにマンガ家として生きていけたらという夢を抱いていました。マンガ家活動を通じてたまたまシュルツ・スタジオの関係者と知り合って、シュルツ氏の奥様のジーニーさんに引き合わせていただき、この仕事をしないかというオファーを受けました。漫画家にとっては、シュルツ作品に関わることができるということ自体スゴいことで、今でもたまに夢なのではと思うことがあります。

――お仕事の上で特に大事にしていることはありますか?

レックス これ以上ないすぐれた本を出し続けること、ですね。初めて「ピーナッツ」に触れる人にも、「ピーナッツ」をそらんじるくらいの人にも、同じように素敵だと思われるものを作り続けたいと思っています。

――それは他の国の人に届ける上でも同じですか?

レックス そうですね。どの国の方も思い入れをもっていいものを作ってくれています。中でも日本のスタッフのみなさんは、デザインや美意識を他にはないレベルにまで掘り下げて魅力を引き出してくれていると感じています。

――日本版では谷川俊太郎さんの名訳が光ります。言葉へのこだわり、気をつけていることはありますか?

レックス どの言語でもそうですが、読者にわかってもらえるものでありながら、シュルツの言いたいことはちゃんと伝えなければいけません。大事なことは、私たちのいいたいことをちゃんとかなえてくれる「信頼できる最高のパートナー」を見つけることなのです。私は日本語がわかりませんし、会社のスタッフにも日本語を読みこなせる者はいませんが、信頼する現地スタッフがいますから安心しておまかせしているのです。

――最後に日本の「ピーナッツ」ファンにメッセージをお願いします。

レックス ぜひ、ミュージアムにいらして、ご自身の目で見て体験してみてください。そして、これからも「ピーナッツ」の本を何度も読み返してください。きっとまた新しい発見がありますよ!

■「Love is Wonderful―恋ってすばらしい。」の見どころ

●すべての恋のはじまり、シュルツ氏の恋の物語とは?展示のスタートは若き日のシュルツ氏の「恋」を、貴重な写真や直筆イラストで振り返るコーナーから。漫画家として歩み始めた頃のシュルツ氏は同僚のドナに結婚を申し込んだが、残念ながら振られてしまう。失意にくれたシュルツ氏だが、やがてその思いを物語の中に昇華させ、ドナの存在は「赤毛の女の子」の存在につながっていく。

●「ピーナッツ」のキャラクターたちの「恋」を語る約80点の原画が集合!「チャーリー・ブラウンと赤毛の女の子」「チャーリー・ブラウンとペパーミント パティ」「ルーシーとシュローダー」「ライナスとサリー」など、マンガの中でよく知られたカップルごとのエピソードを原画で紹介。もちろんスヌーピーも「初恋」や「結婚式」などのエピソードが紹介されている。約80点の原画の中には日本初公開作品も多数。

●ここでしか見られないオリジナルムービーも公開!

会場の入り口と出口には展覧会のテーマにあわせたオリジナルムービーの上映コーナーも。ロマンチックなジャズのメロディにのせて、恋の気分が一気に高まる。

●谷川俊太郎氏の書き下ろしの恋の詩&ドラマチック空間!

会場には谷川俊太郎氏が書き下ろした恋の詩があちこちに。ポップでキュート、いたずら心もスパイスになった会場の雰囲気も楽しい。スヌーピーとキス写真が撮れるコーナーもあり、インスタ映えもバッチリ!

●オリジナルグッズ&カフェメニューも充実

ミュージアムショップには今回の展覧会にあわせ200点もの新グッズが登場。併設の「Cafe Blanket」では「ピーナッツ」の恋をモチーフにしたコラボメニューも楽しめる。

(c)Peanuts

取材・文=荒井理恵 写真=内海裕之

スヌーピーミュージアム特別展『Love is Wonderful —恋ってすばらしい。』
会期:開催中 2018年4月8日(日)まで
会期中無休(但し 12/31~1/2を除く)
所在地:東京都港区六本木5-6-20
東京メトロ六本木駅より徒歩7分、麻布十番より徒歩10分
公式サイト:www.snoopymuseum.tokyo