新海誠監督×神木隆之介、『ほしのこえ』から『君の名は。』までの思いを語る

アニメ・マンガ

2017/11/28

 今月10日、東京・六本木の国立新美術館で開かれている展覧会『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』の記者会見が行われた。当日は、新海誠監督と映画『君の名は。』で主人公・立花瀧役を務めた神木隆之介も駆け付け、大の“新海監督ファン”を公言している神木は「ゆっくり落ち着いた気持ちで、新海監督の世界観や一つひとつの作品と向き合える空間」と展覧会の感想を伝えた。

◎展覧会のみどころは「スタッフたちが『戦った軌跡』」

 初めにトークセッションが行われ、大勢の報道陣を前に新海監督と神木が展覧会についての思いを語った。

 会場となった国立新美術館は、映画『君の名は。』で主人公・瀧とアルバイト先の先輩である奥寺ミキがデートをした場所としても知られる。「東京の象徴であり、高校生にとってはちょっとだけ敷居が高い場所だったから」と劇中で描いた理由を明かした新海監督は「まさか1年後に過去の作品を展示させていただけるとは想像すらしていませんでした」と展覧会への思いを語った。

 一方、新海監督の大ファンであるという神木が「一本一本の線が人の手で描かれているのが伝わってきた」と展覧会の感想を伝えると、新海監督は「そう感じてくれたのはスタッフもうれしいと思う」と笑顔に。「アニメーションでは1カットあたりの絵が平均で4秒ほどしか映らないので、足を止めて僕らスタッフたちが『戦った軌跡』を味わってもらえるのは光栄」とみどころを伝えた。

 また、展覧会の音声ガイドに初挑戦した神木は「人それぞれ聞き心地のいい速度やリズムがあるだろうから、実際に聞いていただく方にモヤッとした感情を残さないようにするのが難しかったです」と苦労を明かしたが、新海監督は「神木くん以外、ありえない」と太鼓判を押した。

 トークセッションの最後、新海監督は「今回、展示してあるものの多くは映画づくりの『過程』です。僕たちスタッフが観客のみなさんとどういったコミュニケーションを図ろうとしていたのか、そのトライアル段階を見ていただける機会はなかなかないと思います。音声ガイドもあるので、神木くんと会話するようなつもりで足を運んでいただければ」と来場者へのメッセージを伝えた。

 会見後には合同インタビューも行われ、新海監督と神木が展覧会や作品にまつわる胸の内を明かしてくれた。

 15年間にわたる作品の貴重な資料も数多く展示されているが、作品を振り返る中で「一つ前の作品を見ると別人が作ったかのような感覚になる」と語る新海監督。「あまり普段から哲学めいたことを考えて風景描写をしているわけではなく、作品ごとに説明を求められるときは、無理やり言葉をひねり出している感覚もあります」と率直な思いを明かしていた。

 音声ガイドの聞きどころを聞かれた神木は「しいて言えば、クイズですね」と発言。新海監督からは「例えば『秒速5センチメートル』のところでは(主人公・遠野)貴樹のセリフを高校生のときから自分でマネして練習していたという話であったり、神木くんならではの視点で解説してくれている部分がすごく泣けたんですよね。作品が誰かへ届いてわずかでもその人をこう変えたんだと実感できてうれしくなりました」と感想を伝えた。

 また、音声ガイドを聞き返したことで「新海監督への愛がすごく重いものだったと実感できました」と笑顔で話した神木は、各作品の魅力について「日常の景色なんですけど、非日常に見える風景の美しさがやはり核の一つではないかと思います」と持論を展開。「展覧会では異なる作品映像と音楽をかけ合わせても『合うだろうな』と気づき、きっとその中に新海監督ならではの軸がある」と実感を伝えていた。

 そして、これまでの作品づくりにおいて「毎回『違うものを作ろう』と思っていた」と明かした新海監督は「展覧会で過去の作品の内容を俯瞰してみて、どうしようもなく逃れられないモチーフがあるんだなと改めて突きつけられた感覚もあります」と吐露。「例えば、何かの風景一つとっても自分の中にある『思春期ならではの孤独感』が横たわっているし、作品をさかのぼるほど必死に遠くのものをつかみとろうとする感覚が伝わると思います」と思いを語った。

<概要>
『新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』
会場:国立新美術館 企画展示室 2E(東京・六本木)
期日:2017年11月11日(土)~12月18日(月)
10時~18時(毎週金〜土曜は20時まで)
※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日

取材・文・写真=カネコシュウヘイ