今年プロレス界をもっとも沸かせた男・内藤哲也 「1.4東京ドーム」について語る!【後編】

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2017/12/2

■内藤哲也(新日本プロレス)インタビュー

プロレス界でいま注目される男・内藤哲也が語る「1.4東京ドーム」への思い。夢の実現が目前となったいま、彼の心の中にあるのはいったいなんなのか。

【前編はこちら】//ddnavi.com/interview/419348/a/

これがトップ選手なんだなと、
棚橋選手と肌を合わせた時に初めて感じました

――前編ではプロレスにとって「感情移入をさせることが大事だ」という話をしていただきましたが、今年だけでも3回対戦している棚橋弘至選手との試合は、特に多くの観客が感情移入をして観ていたと思います。かつては憧れの選手だったが棚橋選手を、今どんなふうに思っていらっしゃいますか。

内藤 うーん……棚橋選手に憧れて新日本プロレスに入ってきて、棚橋選手の背中をずっと追いかけてここまで来ましたから……。でももう完全に追い抜いてしまった。背中が見えなくなってしまったことは寂しいですけれど、棚橋選手を目標にしてずっとやってきた事実は間違いないので、かつての輝きをもう一度取り戻してほしいなあとは思います。まあ、無理だと思いますが。

――なぜ「もう一度輝きを取り戻してほしい」と思われるのでしょう。そのまま置き去りにしてお一人で走っていってもよいとは思われないのですね。

内藤 それくらい内藤哲也に影響を与えたレスラーだから、ですかね。

――棚橋選手のどの部分が内藤選手に一番刺さったのですか?

内藤 何だろう……棚橋選手はデビュー1~2年目の時も、同期のほかのレスラーたちに比べて、弱かったんですよ。僕から見ても明らかに運動神経がよくなくて。それでも必死にやっている感じがすごく伝わってきましたね。現状を変えようと若手同士で組んで、新しく行動を起こしてみたりするところもいいなと思いました。ただ強くはないので変えることはできないんですけど、それでも変えようと行動する。それを見ていて、どうなるんだろう?ってドキドキしたし、真面目にプロレスに向き合っている姿に、どんどん惹かれていきました。

――実際に棚橋選手と試合をしてみて思ったことはありましたか。

内藤 初めてやった時は、僕がまだデビューして2年くらいだったんですが、びっくりするくらい「力強さ」を感じなかったんですよ。手を抜いているとかではなくて、こんなに柔軟なんだなと。力を入れるところは入れて、抜くところは抜いている。そういう緩急をすごく感じましたね。これがトップ選手なんだなと、棚橋選手と肌を合わせた時に初めて感じました。それまで若手選手とやった時には感じなかったことでした。不思議な感覚でしたね。

L・I・Jで「nWo TYPHOON」のようなシリーズをやりたい

――今年の内藤選手の、ご自身の試合の中でのベストバウトを教えてください。

内藤 また棚橋選手の話になっちゃうんですけど、東京ドームの棚橋戦です。

――今年のイッテンヨン、セミファイナルで、内藤選手が保持するインターコンチネンタルチャンピオンのベルトに棚橋選手が挑戦した試合ですね。内藤選手が勝利する、名勝負でした。

内藤 今まで目標にしていた人を完全に超えた、と実感した試合です。それに僕にとって東京ドームという舞台は、やはり特別なんです。東京ドームのシングルの試合で勝ったのも、初めてでした。それまでは、どうしたらこの会場が盛り上がるのかなと思いながら、ずっと負けることを繰り返していた。でも今年のドームでは、これだけ広い会場で一体感を生むということ、そしてそれを感じるというのはこういうことなんだなと、キャリア10年半くらいで初めてわかりました。

――やはりリングに立った時のドームの大きさは、両国などの大きな会場とは違うものですか?

内藤 いやあ、違いますね。東京ドームは、日本一難しいプロレス会場だと思います。思ったのと違うタイミングで歓声がワーッと来たりするんですよ。会場が広すぎて、ワンテンポ遅れて聞こえてくる。小さい動きをしても、届かないですし。でも一体感が生まれた時には、日本全国どの会場よりも爆発する可能性もあって。そして今の僕だったら、あの大きな東京ドームでお客様と一緒に最高の空間を作れる、という自信があります。

――レスラーと観客が一緒になっての盛り上がり、一体感が、プロレスには大事だということですね。

内藤 間違いないと思います。レスラーだけじゃ最高の空間は作れないですね。G1の時にも言いましたけど、最高の空間を作るのはお客様だと思います。レスラーがいい試合を見せて、会場のお客様が盛り上がる。お客様が盛り上がることでレスラーはいい試合をする。その結果、最高の空間ができる。なので、僕は「お客様」という言い方をしています。最高の空間を作ってくれてありがとうございます、の意味をこめて。まあ、あの時ブーイングしたくせに今さら歓声を送りやがって、という皮肉を込めての「お客様」でもありますが(笑)。

――2018年に向けての思いをお願いします。

内藤 とりあえず、ドームのメインイベントに立ってみてから、ですかね。中学3年の時に立てた3つの目標(①新日本プロレスのレスラーになること ②20代のうちにIWGPヘビー級チャンピオンベルトを巻くこと ③東京ドーム大会のメインイベントに立つこと)を全部クリアした時に(①と②〈※33歳で戴冠〉はすでに達成)、新しいものが見えてくるはずなので、その時に来年の目標ができるのかなと。あとはL・I・Jをたんに継続する……のではなくて、より上昇させたいと思っています。今以上の波を、起こしたいですね。そういえば、昔、nWoジャパン(蝶野正洋率いるユニット)がメインとなった「nWo TYPHOON」っていうシリーズがあったんですよ。マットも真っ黒になっていて……。L・I・Jで、そういうシリーズもできたらいいですね。

――ぜひ実現してください!

※12月6日発売のダ・ヴィンチ1月号の本誌では、内藤選手が選んだ本『烈闘生~傷だらけの履歴書~』(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也の自伝)についても語っていただいています。そちらもぜひチェックを!
『烈闘生~傷だらけの履歴書~』
リンク先 http://www.gentosha.co.jp/book/b2552.html

取材・文:門倉紫麻  写真:江森康之