セックスレスは離婚危機のバロメーター!? 離婚カウンセラー・岡野あつこ氏が教える夫婦関係改善法【前編】

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更新日:2017/12/25

 ラブラブで結婚したはずなのに、月日が経つごとになんとなく距離ができてしまった。そういや最近、セックスもご無沙汰だし……。そんな夫婦は、実は結構多いのではないだろうか。

「セックスレスだと夫婦はうまくいかなくなるし、やり直しも難しくなります。夫婦にとってはセックスレス=離婚危機のバロメーターなんです」

 そう語るのは夫婦問題研究家で、All About 離婚ガイドの岡野あつこさんだ。夫婦はセックスレスで危機になるのか。それとも危機を迎えているからセックスレスになるのか。岡野さんにお話を伺いました。

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■セクシー下着は夫婦では逆効果

 岡野さんいわく、セックスレスになる原因はさまざまだが、中でも大きく関係するもののひとつに、ホルモンの変化があるという。

「テレビなどで説明する際には『ワクワクドキドキホルモン』と呼んでいますが、恋愛をするとPEA(フェニルエチルアミン)という、気持ちが高ぶる恋愛ホルモンが分泌されます。これはパートナーを得てから4年ぐらいで減少してしまうので、相手に対するドキドキが薄れてしまう。これは人間なら、誰でもあることです」

 ドキドキが薄れてしまったからといって、たとえばセクシーな下着を着たり香水をつけて夫の帰りを待ったりするのは、むしろ逆効果なのだそうだ。

「私がそうだったのですが、夫との離婚危機だった際にやはりセックスレスになってしまって。だからセクシーな下着を着たり、パジャマをネグリジェにしたりしたのですが、それは失敗に終わりました。なぜなら、結婚をすると男性は愛人にはセクシーさを求めても、家にいる妻には求めないから。なのにそういう頑張り方をしてしまうと、ますます距離が広がってしまうおそれがあります」

 さらに子供が生まれると、夫から女ではなく母として見られるようになるので、セックスレスになる夫婦が増えることがわかっている。それを阻止する方法はあるのだろうか?

「女性は出産後、『すぐにセックスをすると、すぐにまた妊娠してしまうのではないか、今でもてんてこまいなのに、この苦労が倍に増えてしまうのでは』みたいな不安に駆られてしまうんです。そして赤ちゃんに授乳するエリアは、いわば『子供のための神聖な場所』になってしまうので、そこに夫を寄せ付けたくなくなるものなのです。だからこそ出産後、夫に迫られて拒否してそれっきり……になってしまう夫婦は、結構多くいらっしゃいます。でもハグやキスでも十分スキンシップは補えるものなので、セックスそのものは無理でも、せめて身体に触れ合う努力はお互い続けてください。そうすることで、セックスレスからの夫婦危機を阻止することは十分できます」

■「素の私を愛して」では、心が離れて当然

 セックスレスにならないこと、そして互いに愛情を持ち続けるためには、何よりも努力が必要。なんの努力もせずに「素の私を愛して!」では、相手の気持ちが離れて当然だと、岡野さんは語る。

「最初は素の姿にひかれたとしても、お互い成長していく過程でなんの努力もせず『私をわかって』と言っているだけでは良しとされないし、それでは他の人に目が行ってしまうかもしれません。そういうことを言っていたら、夫婦生活も含めて夫婦だから、あとで付けが回ってくる人も多いのです。今はSNS時代で、家にいても色々な人と出会う機会があります。それこそ車が増えれば事故が増えるのと同じで、出会いが増えれば事故のリスクも高くなります。今日は大丈夫でも、いつ事故に遭うかわからない。だから『うちはラブラブだし大丈夫』と思っていても、明日浮気されるかもしれないんです。夫や妻のことが大事で別れたくないなら、自分なりに関係を維持する努力をしないと」

 とはいえ、セクシー下着を着るのが努力ではないなら、何をすれば良いのだろうか?

「女性だったら今までに見せていない、非日常的な姿を見せること。たとえばいつもパンツだったらスカート、たまには着物を着てみるなど、今までとイメージを変えると新鮮な印象になります。男性の場合は、妻にサプライズを仕掛けてみることをお勧めします。以前奥さんにヘリコプターでのナイトクルーズをプレゼントした方がいらっしゃったのですが、最初は不満げだった奥さんも最後は笑顔になり、友達に『うちの夫、こんなに頑張ってくれたの』と話して、うらやましがられたそうです。でもこのサプライズは、近所のレストランで食事程度の、中途半端なものはダメ(笑)。やるなら徹底的にやってください」

 うまくいかなくなったら離婚を考える夫婦も多いが、それでは問題の解決にはならないと岡野さんは言う。ではどうしたら良いのだろう? 続きは後編にて。

取材・文=霧隠 彩子