価値観ならぬ“体観”が合わないセックスレス夫婦は危険!! 離婚カウンセラー・岡野あつこ氏インタビュー【後編】

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公開日:2017/12/21

 ラブラブで結婚したはずなのに、いつしか会話も少なくなってセックスレス…。こんな夫婦は離婚の危機に直面していると、夫婦問題研究家でAll About 離婚ガイドの岡野あつこさんは語る。しかしセックスレスでも愛情はあって、同居状態で続いている夫婦も多い。それではいけないのだろうか? インタビューの後編をお送りします。

■“体観”が合わないのなら、別れるのも一つの方法

 セックスレスでも、うまくいっている夫婦は確かにいる。結婚してから何十年も過ぎ、お互いに年を取ればなおさらだろう。そういう夫婦の在り方にも、問題はあるのだろうか?

「お互いに納得していれば、問題はありません。でもどちらかが我慢して、セックスしたいのに相手が拒否してできないという状況では、価値観ならぬ“体観”が合わないと考えられます。セックスしたいのは男性ばかりと思われていますが、女性にとってもセックスは大事なもの。幸せなセックスは女である喜びを感じられるし、ホルモンバランスにも良い影響をもたらします。でも女性はなかなか夫に頭を下げてまで『セックスして』とは言えないし、夫が求めてこないなら諦めるという人も多いですよね。男性のほうも、女性が疲れていたりで一度拒否すると、以来二度と求めてこない器の小さい人が多いですね(苦笑)。セックスレスって奥が深くて、離婚に至るまでの地雷みたいなものだから、早いうちに取り除いておかないと。そして体観が合わない場合は、違うパートナーを探すのも一つの手だと思います」

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 しかし、「体が合わないからといって、即離婚を考えるのは早すぎる」とも指摘する。

「本当に嫌いになったら離婚してもいいと思いますが、離婚にはその後の経済的なリスクや子育て面でのリスクがあるので、セックスレスになった、うまくいかなくなったで即離婚を考えるのは、焦りすぎだと思います。私は相談に来られた方には、『目の前で事故に遭った夫や妻に、泣いてすがるようでは離婚はやめなさい。住宅ローンがタダになるとか生命保険がいくら入るのかとか考えて、ほおが緩むようなら離婚OK』と伝えています(苦笑)。好きでも嫌いでも、相手に感情があるうちに離婚すると、後で後悔することが多いからです。だから私は離婚相談を受けてはいるものの、『せっかく縁あって一緒になったのだから、まずは相手のためではなく、自分のために努力をしてみること。努力をし尽してそれでもダメなら、離婚を考えてもいい』と言いたいんです」

■自分自身のために、腹を割って話すことを

 メディアなどで取り上げられる「理想の夫婦」は、何十年も安定した関係を維持しているカップルがほとんどだ。しかし岡野さんは、ダメになりかけた時に努力をして再構築できた夫婦をもっと取り上げてほしいし、そうすることで社会の意識が変わるのではないかと主張する。

「SNSで簡単に誰かと出会える、まさにあちこちに地雷が埋まっている時代ですから、かつてとは違って関係を維持する努力が、必要不可欠だと思うんです。そのためにはまず、自分がしたいことがあるなら、相手にいきなりそれを突きつけないこと。自分の中で『どうしたら叶うのか』を、じっくり考えてから行動してください」

 そのために必要なのは、関係をメンテナンスするミーティングを、定期的に開催すること。腹を割って気持ちを話し、そして相手の気持ちを聞くことで、セックスレスも夫婦関係も劇的に改善する可能性があるそうだ。

「誕生日でもクリスマスでもお正月でもいいから、年に一度、メンテナンスのためのミーティングを2人でするんです。『半年間セックスレスだったけど、やっぱりあなたとセックスしたいし、もっとコミュニケーションも取りたい。そのためにはどうしたらいい?』と、相手に聞いてみることです。あまりに夫婦生活が冷え込んでしまっていると『何言ってるの?』と引かれてしまうかもしれないけれど、諦めずにアタックし続けると、相手も考えるようになるはずです。

 まずは『前向きな話をしましょう』と明るいテンションで入って、『もっといい家族にするためにミーティングをしましょう。私、もっとあなたに抱きしめてほしい』と、話を核心にもっていくんです。これは改まった場所で言うのが大事で、雑談をしている最中に急に切り出すのではなく、事前に『これからのことを話し合いましょう』と言っておけばパートナーも聞く気になるはず。ドタキャンされて、日時を決めてもらえなかったらめげずに別の日を設定すること。相手が腹をくくるまで、言い続ければいいんです。そうすれば根負けしますから(笑)」

 この時気を付けるのは、あくまで前向きな話をすることであって、ケンカではないと理解しておくこと。自分や相手に腹を立てず、相手よりも器を大きくすること。それは誰のためでもなく、自分自身のためになるからだ。後悔しない結婚生活のためにも、ぜひ岡野さんが勧める方法を試してもらいたい。

【前編はこちら】//ddnavi.com/interview/423820/a/

取材・文=霧隠 彩子