「1.4東京ドーム」史上初の4wayタイトルマッチで、絶対王者に返り咲けるか。新日本プロレス・KUSHIDA選手インタビュー【前編】

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2017/12/27


 今年、新日本プロレスでかつてない熾烈な闘いを見せたIWGPジュニアヘビー級王座。きたる新年、新日本プロレス最大の舞台である「WRESTLE KINGDOM 12 in 東京ドーム」、通称「1.4(イッテンヨン)」にて史上初の4wayマッチ開催が決定した。大舞台を目の前に、いったい何を思うのか。出場選手のひとり、KUSHIDA選手に訊いた。

丸腰になった今、絶対王者に返り咲く決意


――昨年、第75代チャンピオンに輝いたKUSHIDA選手。今年の1.4で、因縁の髙橋ヒロム選手に奪われたベルトを取り戻し、6月に王座に返り咲いたものの、10月のオスプレイ戦でまさかの敗退。5度目にして悲願の勝利を飾ったオスプレイ選手でしたが、翌月にマーティ・スカル選手に敗北し王座を奪われるという、怒涛の展開を見せた一年でした。

KUSHIDA いやもう、お客さんだけじゃなくてぼくもびっくりでした。10.9のオスプレイ戦は負けたけど、自分のキャリアのなかでも数試合しかない、納得できた試合だったんです。結果を除けば、ですが。それなのにまさか、あんなにすぐマーティ・スカルにベルトを奪われるとは。

――1.4ではその4選手が一堂にリングに立つ「4wayマッチ」が開催されるわけですが。

KUSHIDA 新日本プロレスのシングルのタイトルマッチとしては史上初の試みなので、新鮮ですね。実はアメリカでROH世界TV王座のベルトをめぐっては、4wayで闘ったことがあるんですよ。そのときはヒロムとマーティ・スカルも参戦していて。あのときはぼくが王者で、防衛する側。今回は挑戦者ですし、またちがう展開になっていくんじゃないかな。とはいえ、この試合形式は特に何が起きるかわからないんで、ちょっと読めないですね。わくわくしています。

――4wayというのは、誰かがマーティ・スカル選手を倒すまで闘うということですか?

KUSHIDA いや、相手は誰でもいいから、最初に勝った人間がチャンピオンってことですね。ぼくとしてはマーティ・スカルから奪わなきゃ意味がないと思っていますけど…それぞれに勝たなきゃいけない、借りを返さなきゃいけない、因縁のある4人なので、どの組み合わせも見逃せないはずです。

――KUSHIDA選手は、ROH世界TV王座をマーティ・スカル選手から防衛していますし、4人の実力はまさに拮抗しています。

KUSHIDA だからこそ、頭ひとつ飛び抜けた独走態勢を見せたいという思いが強い。特殊な試合形式ですけど、しっかりレスリングにフォーカスしてチャンピオンとして返り咲きたいですね。

――10.9のあと、「(ベルトを)諦めきれない」とおっしゃっていました。「丸腰になったけれど、何も失っていない。横に立たれたつもりも先に行かれたつもりもない」と。

KUSHIDA こんなところじゃ終われませんから。今年は結果的に、ROHのベルトも、ジュニアヘビー級のベルトも失ってしまいましたが、その経験値は奪えないぞ、と。見てきたもの感じたものは何ひとつ色褪せたりはしない。得たものしかないんです。海外のプロレス団体に出ると、いろんな選手がいて、いろんな環境があって、どんな状況にあってもただ自分の道を行けばいいんだと、今年は気持ちを新たにできた一年でした。

夢見た場所に立っているんだから、弱音なんか吐いていられない


――新日本プロレスと、アメリカのプロレス団体・ROH。2国の往復で数多くの試合をこなしたことが、心境の変化をもたらしたんでしょうか。

KUSHIDA そうですね。今年は、本当にプロレス漬けで。日本とアメリカを移動する片道12時間のあいだも、国内で巡業バスに揺られるあいだも、闘い方やアピールの仕方、どの選手に意識を向けていくかなど、とにかくプロレスのことばかり考えていました。慣れないうちは、肉体的にも精神的にもかなりきつかったんですけど。

――6月にBUSHI選手と闘った頃がいちばんきつかったとラジオでも。

KUSHIDA 意識がぼんやりしてて、あまり覚えてないです、その頃の記憶が(笑)。体内時計が狂うので、自律神経もおかしくなるんですよ。試合中は痛みを感じないのはプロレスラーのすごいところですけど、そのかわり、寝るときとか、試合以外のときにダメージが一気にふりかかってくる。痛み止めを飲んで、頭もふらふらになりながら、絶対勝つっていう思いだけで気張っていた。そんな生活では心の余裕はどんどん失われていくし、寿命を縮めている気分でしたね。

――そのきつさをどう乗り越えたんですか?

KUSHIDA 人間、というか、プロレスラーってタフなんですよね。いつのまにか、慣れてました(笑)。苦しい環境を楽しめるようになっていたんです。2本のベルトの防衛スケジュールは確かにきついけど、これって去年までの自分が望んでいたことじゃないかと気づくこともできた。ましてや望んで誰しもが経験できることじゃない、と。

――夢見ていた場所に、自分は今、立っているんだと。

KUSHIDA そうです。そうしたら、苦しいとか痛いとか言っているのは弱音でしかなくて、「全然、大したことなかったですよ」くらいに言っておかなきゃ、と。そう考えると面白いもので、本当に「全然、大したことなかったな」と思えてきて、来年はもっとやれる!と思えてきてしまうんですよね。それと、イギリスとか海外のリングにぼくが立つと、そのぶん誰かが試合のチャンスを失い、飯が食えない状況に陥ったりするんです。リングに立つということはそれ自体がとてもありがたいことなんだと初心に返ることもできました。ずっと、世界に通用するレスラーになりたいと夢を抱き続けてきた。その原点を忘れない環境に常に身を置いていたいですね。


取材・文:立花もも 写真:川口宗道

【後編】1.4東京ドーム 史上初の4WAYマッチ「KUSHIDAがいるジュニアヘビー級には価値がある、と思わせたい」――新日本プロレス・KUSHIDA選手インタビュー