きっかけは新卒時代のモヤモヤ…「ワークスタイルを変えなければライフスタイルは変わらない」――遊ぶように生きるプロブロガー・あんちゃさんインタビュー

暮らし

更新日:2018/3/19

 毎日毎日、家と会社の往復ばかり。「本当にこのままでいいのだろうか?」という疑問を抱えながら日々を生きている社会人は少なくないのではないだろうか。もしも、今心の中に言葉にならないような不安や迷いを抱えているのであれば、これからの生活をほんのちょっと変えてみるのもいいかもしれない。

 12月14日にKADOKAWAから出版された『アソビくるう人生をきみに。 好きなことを仕事にして、遊ぶように生きる人生戦略』では、たった2年で会社を辞めてブロガーとして独立をしたある女性の生き様が描かれている。就職活動真っ最中の学生や、なんとなく会社に入社した社会人、さらには主婦層にまで読まれている今注目の一冊だ。

 著者は、月間50万人に読まれる人気ブログ「まじまじぱーてぃー」や最もリアルなレンアイメディア「らぶりりーす」を運営するプロブロガーのあんちゃ(二上杏奈)さん。決してラクとは言えないブロガーの世界に飛び込み、好きなことを仕事にするようになるまでの彼女の経験と考え方に迫った。

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■抱えた“モヤモヤ”が会社を飛び出すきっかけ

――今日はよろしくお願いします。まず、著書の中でも語られていた、会社員時代に抱えていたという“モヤモヤ”について教えてください。具体的にいうと、どのようなことがきっかけとなってモヤモヤするようになったのでしょうか。

 最初に感じた違和感は「飲み会」ですね。会社に限らずお酒が苦手なので、飲み会が嫌いだったんです。でも、新卒の頃はどうしても飲み会には参加しないといけないし、幹事をやらないといけなかったりもしてすごくストレスで。

――たしかに新卒の頃は断りたくても断れないという方が多いかもしれませんね。

 ほかにも、社内の「会議」が苦手でした。売上報告のような定例の会議が週3~4回入っているのですが、いつも資料を読み上げるだけだったり同じことしか言われなかったりして。「これって顔を合わせる意味があるのかな?」と思っていました。でも、そんな悩みを上司に話しても「そんなもんだ」と言われて終わってしまう。そうして、1年目の終わり頃から小さな違和感がだんだんと募るようになっていきました。

――なるほど。その違和感から脱するために行動を起こしたということですね。きっかけが何かあったのでしょうか?

 私が唯一尊敬していた先輩の影響ですね。残業が当たり前の社内で一人だけ定時で退社をして自分の時間を作っているような方でした。すごく目立つ存在だったので、刺激を受けていましたね。きっとその先輩と出会っていなかったら、私はずっと会社に勤めていたと思います。

 また、その先輩からあるとき「このまま流されて働き続けるの?」という言葉をかけていただいたことがあって、すごく心に響きました。その言葉があったからこそ「このままじゃダメだ」と思って、何か行動を起こそうと思えましたね。

――具体的にはどんなことに取り組んだのでしょうか?

 最初のうちは何をすればいいのか全くわからなかったので、まずは何をしたいのかを明確にするために会社以外の場所に足を運ぶことを始めました。働き方に関するトークイベントや勉強会に参加していましたね。そうして、いろいろなイベントに参加する中でブログに出会って……という流れです。

――ということは、フリーランスブロガーになろうと思って独立したわけではなく、自分はどう生きたいのかと考えたときにフリーランスが最適だったということでしょうか。

 そうですね。最初は普通に会社を辞めてから転職しようと思っていたので、転職活動もしていました。でも、自分がどういったライフスタイルを送りたいのかと考えたときに、「“時間”と“場所”と“働く人”をコントロールできるようになりたい」という思いがあったので独立することにしました。

――なかなかそこから抜け出すのって大変なことだと思います。わかっていても抜け出せなかったり、そもそも気づいてすらいないという方もいたり……。

 新卒の頃は仕事仕事の毎日だったので、会社に支配されているように感じていました。ただ、定年まで働いてそのあとにやっと「海外に行ったり好きな場所に出かけたりするのか」と考えたら、全然ワクワクしなかったんです(笑)。それなら、ワークスタイルを変えないとライフスタイルは変わらないなと思って、本を読んだりイベントに足を運んだり……いろいろ挑戦しましたね。本もよく読んでいました。ホリエモンさんの本が好きでよく読んでいて、とくに好きな本は植松努さんの『好奇心を“天職“に変える空想教室』(サンクチュアリ出版)です。

堀江さんの著書の中でも繰り返し読んだのは『ゼロ』だそう
あんちゃさんが大好きな植松努さんの『好奇心を“天職“に変える空想教室』

――ブロガーという存在を知ったのはいつ頃のことだったのですか?

 初めて存在を知ったのは、社会人1年目の終わり頃ですね。イケダハヤトさんをきっかけにブロガーの存在を知りました。ただ、イケダハヤトさんってブログですごく結果を残して有名になっているので仙人みたいな人なんですよ(笑)。だから、あまり親近感はなかったんです。でも、いろいろなイベントに参加する中で実際にブログで稼いでいる方に出会ったんです。身近にもブロガーという存在がいることを知ってハードルも下がったので、実際にブログを書いてみようと思うことができました。

■下ネタだってフラットに言える世界を作りたい

――あんちゃさんは「まじまじぱーてぃー」以外にも、恋愛に特化したメディア「らぶりりーす」の運営もされていますよね。しかも、結構掘り下げた内容の記事が多いという印象を持ちます。どうして立ち上げようと思われたのでしょうか。

 以前、「まじまじぱーてぃー」で書いた「《18禁の館》「熱海秘宝館」に女1人で行ってきた」という記事がさまざまな人に読まれたんです。その頃から恋愛だけに特化したメディアを作りたいと思うようになって、「まじまじぱーてぃー」の半年後くらいに新しく立ち上げました。ただ、恋愛って自分の体験や意見だけでは語りつくせないので、私以外にも8人のライターさんに参加してもらってみんなの意見を取り入れながら活動しています。

――WebやSNSを通じて下ネタを発信するのって勇気がいると思います。最近ではセクハラの話題でインターネット界隈がざわつくこともありましたね。

 そうですね。初めの頃は、記事として書くのにはやっぱり抵抗感がありました。読者の中でも、リアルな話題すぎて引いてしまう方もいたのだろうと思います。でも、とくに女性なんかは性の悩みがあっても人には話せないので、Webで検索をして解決しようとするんですよね。なので、「らぶりりーす」を運営することで、できる限りフラットに下ネタを話せるような流れを作りたいと思っているんです。口に出すことのハードルをできるだけ低くして、誰でも抵抗感なく話すことができるようにしたいです。

――ちなみに、あんちゃさんご自身は下ネタが好きなんですか……?

 全然好きではないですね(笑)。よく「あんちゃさん、下ネタ好きですよね」と言われるのですが、そんなことはありません。そもそも下ネタを特別な話だとは思っていないので、話すことに躊躇(ためら)いはないです。

――ありがとうございます。わたしも下ネタをしっかりと発信しようと思います(笑)。最後に、今回の著作を手に取る読者の方へ向けてメッセージをお願いします。

 まずは、社会人の方だったら「今の働き方で本当に満足してるのか?」と聞いてみたいです。もしもほんの少しでも満足していないと思っているのなら、これからの働き方を一度考えてみてほしいです。なんとなく就職活動をして、なんとなく内定をもらって会社に入って、とりあえず給料が安定しているから……という方は結構多いですが、そのままでこれから先40年間働き続けていいのかということを自分自身で考え直してもらえたらと思います。

 学生の方だと、とくに地方の場合は「周りが就職するから自分も」と考えて就職する方が多い印象を受けます。誰しもフリーランスに向いているというわけではありませんが、働き方の選択肢を知らないのはとてももったいないので、就職だけが全てではないことをこの本を通して知ってもらえたらと思います。

取材・文=鈴木しの