アニメ業界は海賊版にどう対抗? 吉田尚記アナ、アニプレックス執行役員に聞く!

アニメ・マンガ

2018/2/23

(左)後藤秀樹氏(右)吉田尚記氏

 数多くの日本のアニメ作品が世界的にファンを増やし、市場を発展させていくなかで大きな問題となっている海賊版ビジネス。日本アニメ産業はこの問題にどのように対抗していくべきなのか。前回のマンガ編に引き続き、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記氏、マンガ・アニメ海賊版対策協議会事務局長・桶田大介弁護士が、アニメ製作大手・アニプレックスで海外事業展開・ライツ部門を手がける後藤秀樹氏に聞いた。

■日本のアニメファンは世界で急増

桶田大介弁護士(以下、桶田):インターネット上に違法に動画をアップロードして公開する海賊版サイトは世界各地に存在しています。日本アニメ作品の海外事業の展開を加速させているアニプレックスとして、この問題をどのようにお考えでしょうか。

後藤秀樹氏(以下、後藤):私は1995年からアメリカでアニメ関連事業に関わってきたのですが、当時は現地のファンが自分たちで日本アニメに勝手に字幕をつけた、いわゆる“ファンサブ”のビデオが主流でした。それが2006年ぐらいからファンサブ動画をネット上にアップする“UGC(ユーザー生成コンテンツ)”となって急激に増えてきました。違法視聴が急激に増大する中、海外各地のライセンシー(正規権利許諾先)はビデオ売り上げ低下を実感し、日本側に届くロイヤリティー(権利金)の水準が下がる海外ライセンス事業にとって危機的状況に繋がって行きました。

 そこで、私たちは2009年4月に世界各国のライセンシーとパートナーシップを組み、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』の日本放送直後、全世界放送に取り組みました。

桶田:当時としては画期的な試みですね。

後藤:海賊版対策の為には海賊版の摘発・削除と同時にファンの方に正規の方法で視聴する機会を作る事、海外収入を絶やさない事に取り組む必要がありました。現在では数多くの日本アニメ作品が世界各国で日本の放送直後に見られる事が一般的になり、正規の放送、映像配信での視聴体験が海外マーケットを大きく拡大している状況です。

 もちろん、正規の視聴方法が増えても海賊版サイトはなくならないので、社内の専門チームが削除申し立てなどの個別対応を続けていますし、一社では限界もありマンガ・アニメ海賊版対策協議会各社様と共に対応を行っていきたいと思います。海賊版対策として大事なことは楽しめる視聴体験と公式サービスの充実向上をペアでやっていくことでしょう。

 すでにアメリカや中国では日本アニメの配信プラットフォームはかなり構築されてきていますが、アニプレックスではフランスのアニメ配信事業会社Wakanimに出資して、ヨーロッパ・ロシアへも正規配信サービスを拡大・支援していく予定です。