「なんか気にいらない!」という女の嫉妬に翻弄されないための対処法

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更新日:2018/3/1

 チームや会社に貢献しようとまじめに働き、結果を出せば出すほど上司や同僚に冷たく当たられる。でも、その一番の要因が嫉妬であるとしたら、あなたならどうする?

『働く女の品格 30歳から伸びる50のルール』(戸田久実/毎日新聞出版)

「伝わるコミュニケーション」をテーマに、過去26年間において年間約5000人以上、約10万人以上にアンガーマネジメントやアサーティブコミュニケーションなどを指導してきた戸田久実氏は、新刊『働く女の品格 30歳から伸びる50のルール』(毎日新聞出版)のなかで、嫉妬している相手に対してできることは何もなく、こちらにできることは「嫉妬という泥だんごを投げてくる相手が届かないようなところに行ってしまうこと」と指摘する。同書はいくつになっても能力や魅力を伸ばし続ける女性が日々の暮らしの中で実践している小さな習慣や心構えを50項目に分けて解説。同氏いわく、品よく、美しく生きている人ほど、他人の感情の嵐を上手にかわすのがうまいという。

 嫉妬の泥仕合に巻き込まれないためにはどうすればよいのか。感情コントロールのプロ戸田久実さんにその極意を聞いた。

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■嫉妬という感情について

 嫉妬は「あの人ばかりがなぜ贔屓されるのだろう」「あの人ばかりがなぜよい思いをするのだろう」といった、もとは「うらやましい」という感情です。仕事やステータスに対する嫉妬もあれば、金銭や所有物に対する嫉妬もあり、その種類は多種多様。それを素直にうらやましいと思うと羨望になりますが、悔しいと思うと嫉妬になり、さらに嫉妬は怒りへとつながります。また、嫉妬は芸能人などはるか遠くの人には持ちにくく、家族や友人、同じ会社で働く人など、比較的、自分と身近な関係にある相手に抱く傾向があります。

■女性の嫉妬の特徴

 女性が抱く嫉妬は、「なんか気にいらない」といった感覚的なものが主です。そのなかには、女性ならではの嫉妬も多々あり、美貌や若さに対する嫉妬もあれば、自分が欲しいと思っているにもかかわらず、まだ手に入れられていないもの、彼氏や家族、ブランドバッグや靴といった所持品なども挙げられます。

 たとえば、北川景子さんクラスになると、憧れはするものの「ああなれたらよいけど、私は程遠い」と別次元や別世界のものと判断し、嫉妬のターゲットにはなりません。しかしながら、同級生や会社の後輩になると途端に気になりだし、「ちょっと自分もがんばれば同等なのに、なんであの子ばかりチヤホヤされるの!」とイライラしてしまう。それが女性の嫉妬の特徴です。

 特に女性は30代から50代にかけて、大きなライフイベントがあったりライフステージがガラリと変わったりします。結婚をするかしないか、妊娠・出産・育児をするかしないかの違いがあって、それに伴い、仕事を続けるか、続けないかの選択もあります。ライフイベントの有無やそのタイミングも人それぞれなら、パートナーの人格や経済状況によっても左右されます。その狭間で揺れながら、自分の現状に対して不安や不満を抱えている人ほど他者に対して嫉妬します。

■マウンティング女子への対処法

 昔はたまにかける電話や、年に一度届く年賀状でしか他者の生活の様子を知ることができませんでした。ところが今はフェイスブックやインスタグラムで日々周囲の人の日常が目に飛び込んできて、中には「リア充な人をSNSで見るとイラッとする」という人も少なくありません。嫌なら見なければよいのですが、そういう人ほどそうはいかないのです。自分は毎日切り詰めて生活をしているのに、ブランドバッグを持って高級店で食事をしていたり、海外旅行をしていたりする人の投稿がアップされていると無性に腹が立つ。だから、つい会ったときに「あなたは仕事していて大変ね。子どもが小さいうちから、そんなにガツガツ働かなくてもいいのに」とマウンティングをしてしまうといった具合です。

 心ない言葉の裏には、相手に対する嫉妬や自分に自信がないという不安、相手のことがうらやましいけれど、それを認めてしまったら負けた気がして悔しいなど、複雑な感情があるため、そういう言葉を発する相手に対し、ムッとしてやり返そうとするとむしろ面倒です。マウンティングで優位に立ちたいという相手に出くわしたときは、その欲求を満たすためのメッセージを伝えるようにするのが吉。おだてるというよりも、相手が承認してほしいと思っているところを伝えて攻撃を受けないように防御し、やり過ごすことが大切です。

■時には「やめる勇気」を

 ライフイベントやライフステージに応じて環境が変わることで、それまで仲が良かった友人とギクシャクしだしたり、疎遠になったりすることも珍しくありません。ライフステージが変われば、優先順位や一緒に過ごしたいと思う人が変わるのも自然です。そのときは、無理に一緒にいようとせず、距離を置くことも必要になってきます。

 というのも、若いときはがむしゃらに動いて、夜通し人脈を広げたいと思っていた人も、年齢を重ねることでだんだんと自分の残されている時間を意識するようになります。体力的な限界を感じ、がむしゃらでいられなくなる時期が誰しも必ず来ます。そのとき、何を残すか、何を手放すか、と考えることは自分らしい人生を歩むためにとても大切な工程です。それはモノだけではなく人に対しても同じことが言えます。

 女性は男性以上にコミュニティを大事にするので、そこで断ることに躊躇してしまいがちです。たとえば、気が進まなくなっているのに、昔からの同級生の定例ランチ会に誘われた。そのとき「行かないと断ったら仲間はずれにされるのではないか」と不安になります。でも、出向いたところで、仕事にエネルギーを費やしたい自分と、子どものことにエネルギーを費やしたい友達とは話が噛み合わず、ギクシャクしてしまう。それぞれ一番大事と思うものが変われば、したい会話が変わるのも当然です。

 今までのバランスとちょっと違ってきたなと感じたら、無理することなく、会う機会を減らしましょう。ここで大事なのは、相手が不快にならない断り方をすることです。わざわざ嫌いと意思表示をしたり、まして喧嘩をしたりする必要はありません。またいつか会話が弾む日がくるかもしれないけれど、今はたまたま置かれている環境や優先順位が違っているだけ。そう考え、時にやめる勇気を持つことが自分の人生を豊かにします。

取材・文=山葵夕子
協力:数寄屋橋茶房(東京都中央区銀座5-2-1 東急プラザ銀座 6F)