リアルな寝起き姿、かわいいヌード… 女の子の“ありのまま”を撮る写真家・花盛友里

エンタメ

2018/3/18

■シャッター音には、人をキレイにさせる力がある

——『寝起き女子』も『脱いでみた。』も魅力的な女の子ばかり登場していますが、花盛さんが「この子を撮りたい!」と思うのは、どんな女の子ですか?

花盛:表裏がないというか、飾らない感じの子かな。掲載している中には本業のモデルもいますが、モデルといってもばっちりメイクや衣装をキメて撮っている子はひとりもいません。

——自然体というのが、花盛さんにとって大きなテーマのひとつのようですね。特に『脱いでみた。』は下着の跡や肌荒れなどもそのままですが、あえて修正しなかったのも、そういうテーマ性からなのでしょうか。

花盛:たくさんの女性のヌードを撮る中で、どんなに完璧に見える子でもコンプレックスがあることを知りました。痩せていれば痩せているなりに、胸が大きければ大きいなりに、それぞれに悩みがあるものなんです。でも、私から見て素敵な部分もたくさんある。そういう子たちをかわいく魅力的に撮ることができたら、自分を好きになってもらえるのではないかという想いがありました。写真で客観的に自分を見ることで、「自分が思っているより、悪くない」と気付いてもらえればいいなと。そのためには、盛ったりレタッチをしたりせず、“ありのまま”であることがとても重要でした。

——撮影後、モデルになった女の子たちからはどんな声がありましたか?

花盛:「コンプレックスだらけだけど、少しでも自分を好きになりたい」という動機でモデルに応募してくれた子は、「前より少しだけ自分の体を愛せるようになった」と喜んでくれています。「記念になった」という声もあります。若いときの体って一瞬ですから、「記念として撮ってもらいたい」という応募も多いんですよ。

——撮影は順調でしたか?

花盛:とても順調でした。不思議なことに、最初は自信なさげだった子も、何度もシャッターを切られるうちにどんどん生き生きとしてきて、撮影を楽しむようになるんです。「もっとキレイに撮ってほしい」「もっと見せたい」という気持ちが湧いてくるんでしょうね。たった30分の撮影でも、体の動きが変わって、自信がにじみ出てきます。シャッター音には、人に自信を与えてキレイにする力があるみたいです。そういう変化は、見ていてとてもうれしいですね。

——みなさん本当にキレイだと思います。こんなにキレイに撮ってもらえるなら、「自分も撮って!」という人がたくさん出てきそうです。

花盛:今後も『脱いでみた。』のシリーズは撮り続けていきます。「コンプレックスを受け入れよう」なんてエラそうなことは言えないけれど、「あなたにはこんな素敵なところもあるよ」と伝えられたらいいなと思っています。鏡で自分を見るとき、今までは自分が嫌いで目をそらしたり、暗い気持ちになっていた子が、「自分も捨てたもんじゃない」とちょっとでも思えたら、前より前向きな気持ちになれるはずです。そこから人生が変わることだってあるかもしれないですよね。「どんな子でも絶対に美しい部分を持っている」ということを、これからも伝えていきたいです。

■かわいく撮るには、被写体を愛すること

——ところで、花盛さんは被写体の一番魅力的なところを、どうやって探していますか。

花盛:探すというよりも“愛情”じゃないかな。「大好き!」と思うから、その子のいいところをいっぱい撮ってあげたくなるのだと思います。撮影では角度を変えて、場所を変えて、ポーズを変えて、「どうしたら、一番かわいく撮れるか」を追求しています。

——ちなみに、写真にかわいく写るコツってありますか?

花盛:キメ顔をしないことですね。記念撮影をするときは、「はい、チーズ」の声に合わせてみんなお澄まししますが、あれは表情が硬く、わざとらしくなりがち。記念写真を並べると、違う場面のはずなのに、どれも同じ顔をスタンプで押したみたいになったりしますよね(笑)。本人はお気に入りのキメ顔でも、他人から見ると「普段の笑顔のほうがかわいいのに」というときがありませんか?

——確かにありますね。

花盛:その人らしさやその人の魅力って、普段の何気ない表情やしぐさにあるものだと思っているので、いつも相手が意識していないときに撮ります。「はい、撮るよ~」と声を掛ける前からシャッターを連写していたりといったフェイントは、よくしますね。あと、撮影では「はい、おしまい」と言った瞬間の顔が一番よかったりすることがあります。ふっと表情が緩むんです。

——“ありのまま”に優るキメ顔はないということですね。

花盛:はい。撮られるときは、止まってカメラを見るより、動いているところを連写してもらうほうが自然体になります。特に女の子は、自然な笑顔が絶対かわいく写りますよ。結婚式当日の花嫁写真が美しいのは、自然とハッピーが顔に出るからじゃないかな。

——楽しい雰囲気で、自然に笑顔が出るシチュエーションで撮るのがよさそうですね。それにしても、花盛さんは人を撮るのが本当にお好きなんですね。

花盛:中学生時代にカメラの楽しさに気付いて、高校生時代に人を撮ることのおもしろさに目覚めました。それからずっと人をメインに撮っています。これからも人を撮っていきたいですね。今は雑誌や広告などのお仕事でモデルさんを撮ることが多いですが、ゆくゆくは自分の写真館を持って、いろんな人の人生に残る写真を撮りたいとも考えています。

——では最後に、本記事の読者にメッセージをお願いします。

花盛:寝起きを愛しいとかかわいいとか思えるのは“愛”だと思います。朝、隣で寝ている恋人や起き抜けの家族の顔を見て、愛しいと思う気持ちをどうか大切にしてほしい。寝起きはいつもそばにある当たり前のものではなくて、とても大切でかけがえのないものだと、この本を通じて気付いてもらえたらうれしいです。

取材・文=松本理惠子 写真=伊東祐輔(PEACE MONKEY)

[プロフィール]
花盛友里(はなもりゆり) 1983年、大阪府生まれ。中学時代から写真の楽しさに目覚め、2009年よりフリーランスとして活動開始。女性誌や音楽誌、広告などで主にポートレートの撮影を手がける。2014年に出産、一児のママに。同年、自身初の写真集『寝起き女子』を、昨年に女子のためのヌード写真集『脱いでみた。』を発売するなど、活躍の場を広げる。今年1月には、撮り下ろしを加えて新しく生まれ変わった『寝起き女子 – girls in the morning -』を発売。5月には『寝起き男子』の発売を予定している。
Instagram @yurihanamori