「ツイてる」人は、「いい人」だった! 誰でも簡単にできる人生好転のコツとは?

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公開日:2018/3/30

「運は人柄」。言われてみればそうかも、と思う人は多いのではないでしょうか? 人生に必要なものは「才能1:努力2:運7」の割合。ほとんどは「運」の力だと『運は人柄』(KADOKAWA)の著者・鍋島雅治さんはおっしゃっています。鍋島さんは『築地魚河岸三代目』をはじめ多数のヒット作を持つ漫画原作者です。その成功も一言であらわすと「運」と「運気を上げる人柄」にあるとのこと。誰でもすぐに実践できる「人生が上手くいくコツ」を伺いました。

鍋島雅治さん

――「運は人柄」と気づいたきっかけを教えてください。

鍋島雅治さん(以下、鍋島):自分の実体験を通じてですね。漫画家志望者にもいろんな人がいます。才能豊富な人はすぐにデビューできたり、最初から大ヒットみたいなこともあったりしますが、僕のような凡人は「才能が1」あれば、「努力を2」すると、あとは「運」が重要なファクターになってくる。そして一番大切な「運」は自身を磨いていくこと、人柄を高めることで作っていけることを自分の人生を通じて経験してきました。

 思い起こすと、20代までくらいの人生経験がとても大切だと感じています。漫画作りとは、何かを足していく作業ではなく、大きな大理石から、才能や技術を使って削り出していくものに近い。元々の大理石が何かというと、それは自分自身の人格。自分をいかに作家として人間として高めて作り上げていくか。大きな素材として自分自身を作り上げるか。それがすごく重要なことです。毎日自分を磨いていくことで、運勢も上がっていく。運勢っていうのは人柄だ、という経験がベースになっています。とは言え、自分自身がそれほど素晴らしい人間というわけでもありません(笑)。

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――具体的に、運を呼び込む人の人柄とは、どのようなものなのでしょうか?

鍋島:当たり前のことをしっかりできる人だと思います。人柄が良いと周囲から可愛がられますし、救いの手を差しのべてもらえます。僕は『築地魚河岸三代目』の原作者ですが、魚についても、市場についてもまったくの素人でした。素人だからこそ、魚河岸の取材に行って、少しでもお世話になった方には、後で必ず挨拶に行く。「おはようございます! 先日の取材はありがとうございました。いただいたお魚、素晴らしく美味しかったです。またよろしくお願いします!」と。取材をしたから、お礼の挨拶に行く。こんな当たり前のことを続けていると今度は向こうから、「これは漫画のネタにならないか?」「こういう人がいるから紹介するよ」と連鎖的にどんどん広がっていく。「鍋島はちゃんと挨拶にくる奴だ」「取材された後に漫画を持ってきてくれた」と評判が高まっていく。その結果、どんどん取材がしやすくなり、聞けない話も聞けるようになってくる。魚河岸や漁師の方は、関係者のネットワークがすごく密なだけに、よそ者にはあまり心を開かない。ただ、口コミで「あいつはなかなかいい奴でこの前も熱心に聞いてきた」と聞くと、「○○さんが言うなら、悪い奴じゃないから会ってみようか」というふうになってくる。僕の経験から考えると、挨拶やお礼のような人間として当たり前のことをしっかり行うことで信頼が生まれ、作品のレベルも上がった。これは人間として当たり前のことをすることが、「運を高める」という結果になったからだと感じています。


――20代の頃が大切とおっしゃいましたが、鍋島さんの20代はどのような道のりだったのでしょうか?

鍋島:僕は最初、ホテルに就職しました。初めての大都会で一人暮らし。精神的に落ち込み、辛い時期でした。ただ、目の前のことを一つずつこなしていくと、職人肌の先輩や上司から、「あいつは頑張っているから」という理由で可愛がってもらえました。可愛がってもらえると、人間関係も上手くいく。例えばお金がない時には貸してくれる(笑)。「あれ、俺運勢良くなってきてない?」と実感する。「なんでそうなってきたのだろう?」と周囲に聞いてみると、「お前は可愛げがある。お前の性格が気に入っているんだよ」と言われました。それが運に関する最初の気づきでした。

 そこから漫画原作者の小池一夫先生の事務所に入ることになるのですが、非常に厳しい先輩がいまして、ともかくしごかれました。それでもずっと食らいついて仕事の相談をするたびに、「ダメに決まってんじゃねぇか!」と叱られるわけです。「じゃあどうしたらいいか、アドバイスしてくださいませんか」ってさらに食らいつくと、「じゃあ教えてやるけどなぁ、これはもう少し○○しろ」っていうふうに言われましてね。それを聞いて素直に従う。事あるごとに相談する。やがて可愛がってくれるようになる。

 素直になんでも飛び込んで行って、「バカ野郎」と言われようが「こんなんじゃダメだ」って言われようが、「じゃあ教えてください」って言って頼みに行けば、心を開かない人はいません。そういう人の引き立てで評判も上がってくるから、地位も上がっていく。いくら頭が良くて仕事ができても、「周りはバカばっかりで、俺が一番だ!」みたいなことを言う人には、誰もついていきません。組織の中では、仕事ができるがゆえに、妬まれ疎まれ足を引っ張られることもあります。やはり、どんなに才能があり頭が良くても、人柄が悪い人には運勢は向いてきません。

――可愛がられる、評判が上がる、人柄をよくするというのがポイントですね。

鍋島:人柄といえば、この中にも書いてありますけど漫画家の高井研一郎先生は本当に人柄が良くていつも楽しそうにして、人生を楽しそうに生きてらっしゃいました。阪神タイガースが大好きで、マジックを見せるのが大好きで、お酒を飲ませる・飲むのが大好きで、人を楽しませたり励ましたりするのがすごく大好きな人です。歳をとればとるほど偏屈になるのではなく、日々朗らかでいることが必要だなって思いますよね。

 あと大切なことは、自分自身を励ますことです。「きっと今日は良い一日になるぞ」と実際に声に出して自分に語りかけること。自己肯定ってすごく重要なこと。自分自身で鏡を見て「大丈夫。今ここを過ぎれば楽になるから。今が辛いだけだから」って。声に出して行動にしてみる。それが大切だと思っています。それと元気のない人を見た時に「大丈夫?」「最近元気?」と話しかけたりすることも大切だと思っています。人が元気になると、自分自身も元気になりますよね。人の役に立てて、「あぁよかった、そりゃよかった。なにかの役になったなら」と。自分のためにやっていることが、人のためにもなる。この積み重ねなのかも知れません。

取材・文=ダ・ヴィンチニュース編集部