ネットで人気の作家・アルデヒドが考える、「フォロワーが伸びる絵と伸びない絵」の違いとは?

マンガ

更新日:2018/6/11

ニー子はつらいよ 1 (MFC キューンシリーズ)

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
『ニー子はつらいよ』(アルデヒド/KADOKAWA)

 漫画『ニー子はつらいよ』(KADOKAWA)をコミックキューンで連載しているアルデヒド先生(@alde_hyde)へのインタビュー後編。前編に続いて今回は、「SNS」をテーマにSNSの活用方法などについて尋ねてみた。

 アルデヒドさんと言えば、Twitterフォロワー数15万以上を誇る人気イラストレーター。漫画家やイラストレーターがWebで活動するにあたって、必要な考え方やプラットフォームの選び方、フォロワー数の伸ばし方など、様々なポイントを教えてもらった。作品の読者だけでなく、これから漫画家・イラストレーターとして活動を考えている方にとってもヒントがあるかもしれない。

■好きなものを好きなように描くだけでは落書きで終わる


――第1巻の発売タイミングでは、ニー子がバーチャルYouTuberデビューするという企画もありました。

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アルデヒド:これはニコニコ動画さんから「こんな企画あるけどやってみませんか?」とお話をいただいてチャレンジしてみた感じです。実は2007年くらいからニコニコ動画さんでMAD動画(既存の映像や音楽などのデータを再編集した、二次創作の一種)を作って投稿していたので、VTuberみたいなタイムラインのあるものに馴染みがあったんです。シナリオは僕のほうで全部作らせていただきましたが、とても楽しませていただきました。

――漫画家さんがシナリオを書くってちょっと珍しいですよね。

アルデヒド:高校生の友人たちと同人活動でプロの声優さんを起用したドラマCDを作ったりしているのですが、たまたまその中でシナリオ制作にも関わらせてもらっていて。友人の伝手でシナリオライターさんにアドバイスをいただいたこともあって、今回も何とかできるんじゃないかという気持ちがありました。でも、実際にやってみたら自分が想像していたものより何段も高いクオリティに仕上げてくださって、純粋にスゴイなと思いました。

――前編でお話しされていた「業界のニーズに合わせながらやる」という部分をもう少し詳しくお聞きしたいのですが、アルデヒドさんは現在Twitterフォロワー数SNS などでイラストを投稿する場合、どのような考え方で行っていますか?

アルデヒド:僕の場合は、好きなものを好きなように描くだけだと本当に落書きで止まっちゃうので、ちゃんとブラッシュアップして完成度の高いものを、と思いながら描いてます。で、そこまでやったんだったらみんなに見てほしいなという感覚ですね。描くテーマは、好きなものとニーズに合わせたものが半々くらい。たとえ二次創作であったとしても、完全に好きなものをというよりは「このイラストを見てみんなが何をどう感じるか」という部分を意識しながら、いつも気を付けています。

――作家さんの中には、「フォロワー数を増やすことが作家デビューの近道」と考えて、話題性の高いキャラクターを描くという方もいるのでは?

アルデヒド:僕はそこまで客観的にはなれないのかなと思います。たしかにそういった考え方でキャラクターを描いたこともあるのですが、自分の中で思い入れが少ないせいか、思うように深く描くことができなかったんです。そのため正解が分からずに迷走して、自分自身もストレスに感じた経緯がありました。だったら自分の好きなものをどんどん描いた方が結果が良くなるんじゃないかと考えて、実際にニー子を描いてみたら反響が良かったので、今はこのスタンスが一番ちょうど良いかなと感じていますね。

■SNSの特徴に合わせて、自分の作品を楽しく描く


――近年はSNSで作品を発表することでプロを目指す漫画家・イラストレーターさんは多いと思いますが、「こうすると良いのでは」というアドバイスはありますか?

アルデヒド:僕は持ち込みや投稿をやったことがないので、そういった方法でデビューされた方々のことを素直に尊敬していて、何かを言える立場にはありません。あくまで自分の体験談になりますが、今もしネットで目立ちたかったら、Twitterにしろピクシブにしろ目立つ要素が違うので、そこに合わせた投稿を意識したほうが良いのかなと。たとえばTwitterは前回お話ししたような共感性が大切ですが、ピクシブやニコニコ静画は継続して投稿することが重要で、その結果増えたフォロワーさんがアクセスしてくれることでランキングが上がります。だから作品の良し悪し以外にも、サムネイルを工夫したり見栄えを重視したりすることでアクセスが伸びる傾向があるんです。あと、ランキングもジャンル別になっているので、自分の作品の置き場所を考えた方が良いと思います。

 とはいえ、一番のポイントは「自分の作品を楽しんで描けるか」ということじゃないかと思うんです。やっぱり漫画家やイラストレーターを目指す段階というのは、仕事や勉強をしているかたわらで余っている時間を使っているわけですから、やっぱり楽しくないと継続できない。楽しさの純度を上げるためには、自分に合ったプラットフォームを選ぶべきじゃないかと思います。

 40ページぐらいでストーリー性のある漫画を描きたかったらピクシブとかが向いていると思うし、フラッシュアイデアで「このネタどうかな?」って試す意味で投稿するんだったらTwitterが合うのかなと。ニコニコはネタに寄っていて僕もよく分かりませんが、自分のやりたいことに一番合っている場所をメインに活動していけば、高いパフォーマンスが出せるんじゃないかなと考えていますね。

――ちなみに先生の場合、出版社から「商業誌で描いてみませんか?」というお声が掛かるきっかけになったプラットフォームはどちらでしたか?

アルデヒド:編集者さんが何を見て判断されたのかは分かりませんが、去年Twitterでニー子を投稿した時、かなりフォロワー数が増えたんですけど、かといって仕事が増えたかと言えばそうでもなくて。だから必ずしもTwitterが有利というわけではないのかなって思います。ピクシブの場合だと、作品のポートフォリオが見やすいデザインになっていて使いやすいですし。

 ピクシブとかでポートフォリオを見て、Twitterでフォロワー数も見て、色々な要素をふまえて最終的にジャッジするんじゃないかと。僕は総合的にピクシブの比重が大きいのかなっていう印象がありましたが、これも人それぞれだと思います。

■フォロワー数が伸びる絵と伸びない絵の違い


――「フォロワー数を伸ばしたい」という方々に向けて、具体的なアドバイスはありますか?

アルデヒド:フォロワーが伸びやすい絵と伸びにくい絵がある、と感じる時はありますね。やっぱり重要なのはその人の中にある作家性で、「この人をフォローしておくと今後面白いかもしれない」って思わせる個性を世間はチェックしているのかなと思うんです。たとえば僕の友人に過激なイラストを描く人がいるのですが、同じタイミングでイラストを投稿して、僕と同じくらいのリツイート数があっても、フォロワーの増え方が全然違うことがあって。同じことをやってもその人にしか描けないアクの部分に人は魅力を感じていて、無意識的にフォローしているんだと思います。

 逆に、リツイートといいねの比率を見た時に、普通はイラストっていいねの方が2~3倍くらい多いんですけど、リツイートといいねが同じくらいだったり、リツイートの方が多かったりするつぶやきは全然増えなかったり……。文字だけのつぶやきや面白い画像を投稿するパターンもそうです。次がまったく見えない、何かしらの個性が感じられないアカウントはフォローされにくいのかなって感じました。

――フォロワーを伸ばすなら、いいねを伸ばした方がいい?

アルデヒド:結局はいいねがもらえる投稿を目指すというよりも、もっと自分のやりたいことを考えてみて、結果的に自分にとってフォロワーが増えそうな方法を選んだ方が良いのではと思いますね。フォロワー数に意味はあると思いますが、あんまり焦って増やすことでもないし、僕の場合もフォロワーが増えたからといって仕事が増えたという実感はないので。もっと何をしたかという方を重点的に考えた方が良いんじゃないでしょうか。結果的にフォロワーが増えた、ぐらいのスタンスの方がブレないと思います。

取材・文=小松良介

【前編はこちら】ツラかわいい「引きつり顔」が大反響!? 原作者が語る『ニー子はつらいよ』の誕生秘話

この記事で紹介した書籍ほか

ニー子はつらいよ 1 (MFC キューンシリーズ)

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784040697802