貯金できる人とできない人の差って何? 今すぐお金を貯められるようになるテクニック

暮らし

公開日:2018/7/28

 マイエフピー代表として個別の家計相談に取り組むかたわら、『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『貯められる人は、超シンプル』(大和書房)、『遊んでいても勝手に貯まる ほったらかし貯金術』(永岡書店)など、多数の家計の見直しに関する本を執筆してきた家計再生コンサルタント/ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。これまで10,000人以上の家計を再生してきたなかで見えてきたという「お金を貯めるためのコツ」を伺った。

年収300万円でも貯められる人と年収1000万以上でも貯められない人がいる

──年収が高くなくても堅実に貯めている人がいると思えば、年収が高くても貯金がない人がいます。お金が貯まる人と貯まらない人にはなんらかの傾向があるのでしょうか。

横山光昭氏(以下、横山):油断するとすぐになくなってしまうのがお金です。年収1000万以上でも貯金できない人は意外に多いんですよ。収入が上がれば、それに合わせて支出も増えがちです。家計にも「メタボ体質」という言葉を使うことがあるのですが、摂取カロリーがオーバーする日が続くことで内臓脂肪が増えていくように、毎日少しずつ余分なお金を使っていると、支出も膨らんでいきますよね。問題なのは、内臓脂肪が蓄積されていく過程と同様に、支出がかさんでいる状況になかなか気づけないということ。意識して財布のひもを締めていかないかぎり、お金はいっこうに貯まりません。

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 一方で、年収300〜500万の人が比較的早く貯金額1000万円に到達しているというデータもあります。20代30代の平均的な所得層のなかには将来に対する危機感を持つ人も少なくありません。この危機感こそが、貯蓄へのパワーの源。「このままではマズい」と感じた時が好機ととらえ、貯蓄について考えてみてください。

お金が貯まる夫婦は家計を「見える化」している!?

──夫婦でお金を貯めるコツがあれば教えてください。

横山:家計相談に訪れる人たちにまず尋ねるのが、「お金の管理の仕方」です。かつては夫が稼いだ給料をまるごと妻に渡し、そこからおこづかいをもらうという管理法が主流でしたが、共稼ぎの世帯が増えた昨今では、夫と妻それぞれが経済的に自立した家庭が増えてきました。なかにはパートナーの収入や貯蓄面には一切タッチせず、家賃や水道光熱費のように共有しているものにだけお金を出し合うといったケースも。このように夫の通帳と妻の通帳、共通の通帳と家計が3方向に分かれ、夫婦それぞれの支出状況がブラックボックスになっている場合、フタをあければお互いに貯金ができていないことも多いです。

 お金を貯めるためにまずやるべきことは、お金の動きの全貌を「見える化」すること。一家の収入・支出・貯金額が見えてくることで、具体的な対策を練ることができます。家計をひとつにまとめるのが理想的ですが、通帳が分かれていたとしても、互いの財政さえ把握できていれば、より前向きに貯金に取り組むことができるはず。

 結婚したての頃は不自由を感じなくても、子育てや住宅ローンの返済が始まれば、夫婦が力を合わせなければ乗り切れない時期が必ず訪れます。できれば出産や家を買うタイミングなどで、なるべく早いうちに家計を“見える化”して、お金を貯めるための対策を考えたいものです。

実行あるのみ! まずは身近なところから対策に取り組もう

──少しでも早く貯金を増やすためには、何から始めるべきですか?

横山:お金を貯める方法は「1.収入をアップする」、「2.支出を削る」、「3.投資で増やす」の3通りに集約されると思いますが、多くの人にとってもっとも現実的で手っ取り早いのは、「2.支出を削る」。「収入」から「支出」を差し引いた額がプラスになっていればお金は貯まっていきますし、差額が大きければ大きいほど貯金に回せる金額が大きくなります。

 支出は大別すると固定費と変動費に分けられます。固定費とは、住居費や生命保険料や通信費など、毎月一定の金額がかかる支出のこと。変動費は水道光熱費や食費、日用品費や娯楽費など月によって変動する支出を指します。節約の方向性を決めるにあたり、まずは各支出をざっくりと算出してみてください。

──家計簿をつける必要はありますか?

横山:月々の収入の中に支出が収まっているかどうかを把握する段階ではざっくりと計算するだけでもかまいませんが、お金の使い方の傾向を知り、どの費用を削っていくかという具体的な節約方針を立てるうえでは、家計簿をつけた方が良いでしょう。習慣化するのが理想ですが、まずは3カ月と期間を区切って一時的に記録するのも一手ですね。

──節約のポイントがあれば教えてください。

横山:まず目を向けるのは固定費のなかの生命保険料と通信費です。生命保険の見直しや、携帯電話を格安SIMに変更するのは手間のかかることですが、月々の支払いが格段に安くなる可能性があります。わが家は8人家族ですが、携帯電話料金の見直しでスマートフォン7台分の月額使用料を1万円程度に収めることができました。

 変動費では、娯楽費、交際費、日用品費なども膨らみがちですが、調整しやすい費目でもあります。家計簿を上手に活用して、削りやすい項目から削ってみてください。

 家計の中でも比較的大きなウェイトを占める食費は、コントロールが難しい費目ではありますが、コントロールのコツさえつかめば、管理もしやすくなります。月ごとに予算を設け、一定の額を保てるように管理していきましょう。

ボーナスはアテにしない! 家計は毎月の収入でやりくりするのが大原則

──ボーナスをかしこく貯める方法があれば、ご教示ください。

横山:ボーナスは家計の良好度のバロメーター。ボーナスを全額貯金にまわしている場合は家計の良好度が高く、住宅ローンや毎月の赤字補填に使われている家庭は家計の良好度が低いと考えられています。裁判所でもボーナスを視野に入れた返済計画は認められないほどですから、家計の足しというイメージは捨てたほうが無難かもしれませんね。

 ボーナスをアテにせず、毎月の収入の範囲内で家計をやりくりできれば、お金は自然と貯まっていきます。まずは家計を「見える化」し、収入と支出、貯金額を把握したら、できる範囲内で支出を削ってみてください。いきなり高い目標を設定する必要はありません。大事なのは行動を起こすこと。小さな成果も自信につながるはずなので、気楽に取り組んでみてください。

取材・文=村岡真理子

横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、これまで10,000人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は57万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計280万部となる。また、お金の悩みが相談できる店舗を展開するmirai talk株式会社の取締役共同代表も努める。