東大王・伊沢拓司が考える「日本のクイズ文化」――最強クイズ100執筆秘話【インタビュー(3)】

エンタメ

2018/8/10

 東大クイズ王・伊沢拓司が「言葉」「謎解き」「社会」「科学」「文化」「恋愛」「ライフ」「スポーツ」の8つのジャンルのクイズ問題&解説を全て書き下ろした書籍『思考力、教養、雑学が一気に身につく!東大王・伊沢拓司の最強クイズ100』が2018年7月5日に発売されました。

 中学生の頃から高校生クイズ界をリードし、クイズの名門・開成中高の礎を築いてきた伊沢氏。「僕の人生の半分はクイズでできている」と語るほど、クイズを愛してやまない彼が10年近く探求し続けてきたクイズは、単に「知識」を問うだけのものではなく、解き手の興味の幅を広げ「思考力」を鍛える、より高次元なクイズです。

 そんなクイズの面白さや奥深さを最大限に引き出した書籍が、これまでクイズに触れてこなかった若者にも受けています。今回は、伊沢氏に書籍にまつわるインタビューに答えていただきました。5回に分けて連載いたします。

――次に、『最強クイズ100』のオリジナルのクイズ作成で特に苦労された点を教えてください。「100問」という重圧はなかなかなものだったと想像できますが……

伊沢拓司氏(以下、伊沢):やはりネタ出しには苦労しました。昔からのメモをあらかたひっくり返して本に適したネタを探しましたが、「話自体は面白いけど問題の形にしづらい」「めちゃ美味しいネタなのに裏が取れない」「コンプラ的に微妙」などの理由で多くのネタをボツにしました。

「恋愛」ジャンルなんかは特に難しくて、デートで使える雑学だったり、映画のラブシーンだったりに範囲を広げて作りました。逆に「スポーツ」ジャンルの問題はたくさんありすぎて、どれを載せるか迷う苦しさが……。野球ネタが多いから削る、球技に寄っているからそれ以外を作る……といったバランス調整には最後まで気を使うことになりヘトヘトでしたね。

 ネタを絞り出す、もしくはいくつかある中から取捨選択するという作業は身を切るようでしたが、僕自身の勉強になったと思います。その点でも楽しく実りある執筆でした。

――クイズ番組人気の影響でクイズ好きは増えてはいるものの、まだまだクイズに馴染みのない読者も多いと思います。伊沢さんは「日本のクイズ文化」についてどのように考えていらっしゃいますか?

伊沢:日本のクイズ文化については、もちろん僕自身のものではありませんが、その一端に身を置く者として勝手に誇れるものだと思っています。上級者たちの勝負は競技として大変に面白く、一方でクイズという遊び自体は誰でもプレイできるものです。最近ではクイズの体験会やネットサークルも増えて、クイズへのアクセスは更に良くなっています。自分が生きてきた中で積み重ねた知識がそのまま武器になるというのは、なんだか少年漫画的で楽しいですよね。その体験が上級者から初級者まで一様に味わえるという点で、クイズ文化というものは素晴らしいと思います。

 一方で、それを上手に翻訳し、外に向けて発信することについては現状まだ不十分だとも考えています。クイズは常にテレビとともにあり、故にテレビが放つ影響をよかれ悪しかれ受けてきました。クイズ王番組で一部のクイズ王に圧倒的注目が集まる一方で、クイズは人並み外れた力を宿して生まれてきた天才たちの競技だという認識が生まれ、人を遠ざけた側面も否めません。

 そのような広報戦略のコントロールこそ今求められているものであり、僕自身にとっての課題でもあると考えています。今回の書籍もその一翼を担うことができれば、と考えて作りました。

 詳しくはネット上での私の連載(ねとらぼアンサー『クイズ王イザワの「分からないこともあります」』)にまとめていますが、クイズという遊びの持つ魅力を幅広く伝えていかねば、と考えています。

第4回に続く

伊沢拓司
日本のクイズプレーヤー&YouTuber。1994年5月16日、埼玉県出身。開成中学・高校、東京大学経済学部を卒業。現在は東京大学大学院、東京大学クイズ研究会(TQC)に在籍。「全国高等学校クイズ選手権」第30回(2010年)、第31回(2011年)で、個人としては史上初の2連覇を達成した。TBSのクイズ番組「東大王」では東大王チームとしてレギュラー出演し、一躍有名に。2016年には、Webメディア「QuizKnock」を立ち上げ、編集長を務めている。