電子書籍アワード大賞『電子書籍版 イチロー・インタヴューズ』、 イチローのすべてを追体験できるアプリをつくりたかった
更新日:2013/8/9
イチローのすべてを知り、
そのすべてを追体験できる
アプリをつくりたかった
『電子書籍版 イチロー・インタビューズ』の開発に関わった株式会社博報堂DYメディアパートナーズ「テクノロジー・ミライ・ワークス」の方々。(写真左から)土門広弥さん、丸山安曇さん、石川雅雄さん、矢木野桂一郎さん。取材時には海外出張のため不在だった、越山剛さんがプロジェクトプロデューサーを務めている。同作品のほかに、『Udooon!』『ユメミ~ル』『Location Base Magazine 龍馬伝』『ブラアプリ』『熱犬通信』『AJW by the Asahi Shimbun』『NHK太宰治短編小説集』などの電子書籍アプリをリリース。
――野球に興味がなくても、イチローの名前を知らない日本人はおそらくほとんどいないだろう。第2回電子書籍アワードの大賞を射止めたのは、そんな彼の10年にわたる軌跡をまとめた『電子書籍版 イチロー・インタヴューズ』。
2010年に発売された新書をベースに、動画やMLBの試合データなどコンテンツを多数追加し、電子書籍ならではの発見を与えた点が大きく評価された。
「約400ページの本をただデジタル化したのでは、きっと最後までは読んでもらえない。そのためにまず、スマートフォンやタブレットだからこそ提供できるリッチなコンテンツの活用を考えました。『Number』掲載時の写真を使ってビジュアルインパクトをつけようと決めました。さらに、イチローさんの軌跡を振り返るのに動画や球場成績などのデータは不可欠だろうと。イチローさんのすべてを知り、なおかつそのすべてを追体験できるものにしたかったんです」
そう語るのは、アプリ開発チームの石川雅雄さん。大河ドラマ『龍馬伝』アプリなど、数々のアプリ製作を手掛けている。
「iPhoneやiPadといったデバイスというのは、一つのプラットホームからゲーム、インターネット、書籍とあらゆるコンテンツにアクセスできる。つまり、ライバルは書籍だけじゃないんです。多くのアプリから選んでもらい、なおかつユーザーの貴重な時間とお金をいかに使ってもらえるかを考えなければなりません。そのために重要なのが〝読者自身が体験する〟こと。ユーザーがコミットできる要素は絶対に必要なんですね」
(左)各章はイチローの写真から始まる。本作品に収められた84点の写真は、「Sports Graphic Number」より提供された
(右)読了すると与えられるスタンプを集めると、シアトルにあるイチロー選手の自宅で収録されたインタビュー映像を楽しめる