日本のサウナはクレイジー!? 日本サウナ大使・タナカカツキが伝授する入門法

暮らし

2018/9/10

“サウナ”はお好きだろうか? 「おじさんの我慢大会」のようなイメージも根強いサウナだが、今、若者や女性の間でも人気が高まってきているのだとか。『はじめてのサウナ』(タナカカツキ:文、ほりゆりこ:絵/リトルモア)は、「サウナに興味はあるけどどうやって始めたらいいのか…」と迷っている多くの人に応えるべく刊行された格好の入門書だ。著者であるマンガ家のタナカカツキさんは、水草レイアウトや人気カプセルトイ「コップのフチ子」のデザインを手掛けていることでも有名。氏は、大のサウナ好き(=サウナー)で、日本サウナ・スパ協会公認のサウナ大使も務める「サウナの達人」でもある。

タナカカツキさん
▲今回お話をうかがう「サウナの達人」タナカカツキさん

■サウナ=おじさんのもの、という認識はもう古い?

 近年密かに女性たちの間でも広まり続けているというサウナ。馴染みのない方からすれば、「おじさんの好物、暑くてきついもの」というイメージがつきまといがちだが、タナカさんはこう語る。

「日本だと男性専用のサウナ施設が多いので、おじさんのものという感覚が強いですが、これは世界的に見たら特殊です。サウナは男女問わず楽しめます。オーガニックコスメといわれ、美容と健康に直接結びつくので、本来は女性の大好物だと思うんです。身体から汗をかいて、毛穴を綺麗にし、血行を良くする効果もあります。また、代謝が良くなるので、結果としてダイエットに結びついたりもしますからね」

「今後のサウナは、ヨガのように女性や若年層の間にもっと広まっていくと思います。ヨガは、ブーム以前は“修行”というイメージが強かったですが、今や女性に人気のフィットネスですよね。本気でヨガを修行としてやっている人からしたら、『フィットネスじゃねーよ』って感じでしょうけれども(笑)。言葉のイメージとはそうやって変わっていくものなので、今後サウナも同様に普及していくと思います」

 実は、日本におけるサウナの客層は、すでに多様化し始めているのだという。

「ここ数年で女性も利用できるサウナ施設は着実に増えています。施設によっては、女性用のメイクルームを新設するなどの企業努力も見られます。これからは女性も、疲労回復や美容の道具として、サウナを活用できるようになると思います」

■サウナは友達同士、カップルや夫婦でも楽しめる!

 サウナに慣れるまでの間は暑く苦しく感じることもあるので、誰かと一緒に始めてみるのも良い手だとタナカさん。

「友達と一緒に行っても楽しいと思いますよ。サウナは基本的には1人で楽しむものではあるけど、サウナの後にリラックスした状態でおしゃべりをすると楽しいですし、ご飯も普段以上に美味しく感じられると思いますよ」

「カップルや夫婦でサウナデートっていうのもいいですね。2人で行っても男女別行動にはなりますが、サウナの感覚はともに楽しめますからね。他のエンタメは、楽しみながらも実は疲れがたまってしまうこともありますし、それで帰り道に空気が悪くなったり…。その点、サウナは疲労回復イベントなので、もしかしたら唯一の“疲れないデート”かもしれませんね(笑)」

■サウナは「暇」だがそれが良い。そのワケは?

 サウナに慣れていない人の意見として、「暑いのは我慢できても、暇で仕方ない」という声も多い。この「サウナ暇問題」についてタナカさんは次のように語る。

タナカカツキさん

「暇…、よくわかります(笑)。特に若いうちは、エンタメやレジャーなど、外の世界に刺激を求めがちだと思うんです。なので、無意識のうちにも気持ちは“賑わい”に行くんですよね。でも、色々な刺激を知っていくと感覚が麻痺してしまいます。世界を開拓していくと、知らない刺激が出てきますよね。音楽では、ロックやパンクの次は環境音楽とか電子音楽で、“怒涛の静けさを楽しむ”といった精神の過程があります。サウナには、“開いていない神経を育て、それを楽しむ”という醍醐味がありますよ」

「具体的に、サウナに慣れてくるまで、どうやって暇を乗り切るかという問題に言及するならば、『サウナの楽しみは必ず後で来る』ことを知っておくのが大切ですね。『後で気持ち良くなるらしいからとりあえずやってみよう』と割り切って過ごすことが、重要なポイントです。だって、暑いサウナ室や冷たい水風呂が初めから楽しいわけがないじゃないですか(笑)。徐々に慣れてきたら、その暇さえ楽しくなってきますよ。料理が出てくるのをワクワクしながら待つときのような気持ちになります」

■固定観念にとらわれず、まずは気持ち良くなろう

 どうやら、「サウナは我慢するもの」というイメージを払拭できるかどうかがカギになりそうだ。

「サウナという言葉からくる先入観、『汗をかいて我慢するしんどいもの。水風呂は冷たくて我慢ならない』といった感覚にはとらわれないようにしてほしいなと思います。本来、サウナはあんまり無理するものではないんです。できれば水風呂にも入ったほうが良いですが、自分のペースとやり方を見つけて徐々に慣れていけば良いので。そんなにつらいものじゃないですよ。本当は楽しいもの。それを知っておいていただきたい。慣れてきて気持ち良さがやってきたら、『ああ、これのこと言っていたんだ』『もっと早く言ってよ!』と思うはずです。そうなってくると、人生の楽しみがまたひとつ増えますね」

「もうひとつ、サウナに対する間違ったイメージの話をすると、本来のサウナは『冷却ありき』なんです。ほとんどの皆さんは『サウナ=サウナ室』をイメージされますよね? 報道でも、『炎天下のグラウンドはサウナ状態』『満員電車はサウナのようで』とたとえますが、実は厳密にいえば違うんです。僕なりにいうと『サウナ状態』とは、『いちばん清々しい状態』ですよ。サウナと水風呂を繰り返した後に、風を感じ、五感が回復し、爽やかな気分に浸る瞬間なんです。だからあの表現は『サウナ“室”状態』に正すべきですね。そうしないと、サウナのイメージが誤解されてしまうので…。これからサウナを始めようという方には、『キレイになる場所』『爽やかで気持ち良くて楽しくなる場所』と、イメージを切り替えていただきたいなと思います」