毛皮のマリーズ 志磨遼平「これ読んだ翌日に夜行バスに乗って東京に出てきたんです」

あの人と本の話 and more

2011/9/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、昨年4月のメジャーデビュー以来、破竹の快進撃を続ける毛皮のマリーズ・志磨遼平さん。3rdアルバム『毛皮のマリーズのハロー! ロンドン(仮)』のリリースを前に、人生を変えた1冊を語ってくれた。

本誌では早川義夫の『ぼくは本屋のおやじさん』を紹介してくれた志磨さん。ここではもう1冊、上京する時、背中を押してくれた本、美輪明宏の『紫の履歴書(新装版)』の話を。

「これを読んで、もう東京に行くしかないって、次の日に夜行バスに乗って出てきたんです。美輪さんの信念を持ってやってきたドラマチックな半生を読んで、ハートに火をつけられまして。行くなら計画的にとかじゃなく、ポーンと飛び出したほうがドラマ感が増すわけで、その時にやっていたバンドのメンバーにも“ごめん。東京行くわ、明日”とお別れして」

バンド名の由来となった戯曲『毛皮のマリー』は寺山修司が美輪明宏のために書き下ろした作品でもある。

「『紫の履歴書』に、なるべく美しいものを身のまわりに置くように、と書いてあって、そういうものは古いものが多い。だから古い本を読み、古い映画を見て、古い服を着て、古いレコードを聴き、それと比べても遜色のないものをつくりたいと思ってましたね」

まさに原点と言える1冊だ。



紫の履歴書(新装版)/美輪明宏/水書房/2100円

(取材・文=瀧 晴巳/写真=森 栄喜)

志磨遼平

しま・りょうへい●1982年和歌山県生まれ。2003年「毛皮のマリーズ」を結成。ヴォーカル、作詞・作曲を担当。インディーズで3枚のアルバムを発表した後、10年アルバム『毛皮のマリーズ』でメジャーデビュー。今夏はロックフェス12本に出演。その勢いの中、10月から始まる全国ツアーのファイナルは日本武道館。

 

紙『就職しないで生きるには(1) ぼくは本屋のおやじさん』

早川義夫/晶文社 1470円

著者は18歳から21歳まで伝説のバンド「ジャックス」のリーダーとして歌を歌っていた。23歳で引退、早くおじいさんになりたいと25歳で本屋に転身。はたで見てるほど本屋稼業は楽じゃない。どこまでも不器用で真摯な生き方が伝わってくるエッセイ。続編『たましいの場所』では本当のおじいさんになろうとする頃、本屋をやめ、再び歌手に戻ったことが語られている。

※志磨遼平さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ10月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

アルバム『毛皮のマリーズのハロー! ロンドン(仮)』毛皮のマリーズ

日本コロムビア/初回盤(CD+DVD)3200円 通常盤(CD)2800円/9月7日発売予定 ※写真はCDジャケットとは異なります。
前作『ティン・パン・アレイ』の多幸感のまま突っ走るかと思いきや裏腹のダークサイドを吐露した傑作。「前作が完成したら今度は23歳の僕が首をもたげてきて。ここでまた“イエーイ!ハッピー”と言うようじゃ、僕も終わりだと思っちゃったんです。もう一度哀しみだったり、絶望だったりを歌って愛の強度を試そうと」。敬愛するビートルズゆかりのアビーロード・スタジオでのレコーディングも敢行。再び原点に立ち返った3rdアルバム。