『アイドルマスターシンデレラガールズ』7年の軌跡⑤(城ヶ崎莉嘉編):山本希望インタビュー

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2018/11/8

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『アイドルマスターシンデレラガールズ』のプロジェクトが2011年にスタートして、今年で7周年。11月と12月にメットライフドーム&ナゴヤドームでの6thライブを控える『シンデレラガールズ』は、7年間で大きく成長を遂げ、多くのプロデューサー(=ファン)に愛されてきた。今回の特集記事では、2014年の1stライブ(舞浜アンフィシアター)に出演したキャスト6人の言葉から、『シンデレラガールズ』の軌跡をたどってみたい。彼女たちは、自身が演じるアイドルとどう向き合い、楽曲にどんな想いを託してきたのか――第5回は、城ヶ崎莉嘉役・山本希望のインタビューをお届けする。

莉嘉は、しっかり相手のことを考えて受け入れる、すごくいい子

――11月28日で7周年になる『アイドルマスターシンデレラガールズ』に関わってきて、このプロジェクトについて感じていることについて教えてください。

山本:私が声を担当させていただくことが決まったときには、ソロCDを1枚出すこととゲームがあっただけなので、こんなにさまざまな活動ができていることに驚いています。しかもひとつひとつが、それまでよりもさらに大きなステージにステップアップしていて。なので、常に進化し続けている感じはありますね。私はすごく心配性なので、進化し続けてるコンテンツとアイドルに対して「大丈夫かなあ?」っていう気持ちと、「心配しているだけじゃダメだから、ちゃんと一緒に進んでいかなきゃ」っていう気持ちがあって、わりと何かが発表されるたびに焦っています。それこそ、ドームでのライブが発表されたときも「ええ~~!?」って、会場にいたPくんたちと同じような反応をしてました(笑)。「頑張らないと」っていう気持ちは常にありますね。

――山本さん自身、進化に追いつくためにどんな努力をしているんですか?

山本:私、もともと声優になってこんなに歌って踊ることなんてないと思ってたんです(笑)。だから、最初は正直すごくつらくて。覚悟がなかったんでしょうね。レッスンも、6時間くらい踊り続けたりするのですごく大変で、挫けそうになったときが何度もあって。でもそういうときに、(諸星きらり役の)松嵜麗ちゃんが「今、きっと悩んでるよね」って言ってくれて。「私は全然ダンスが上手くないし、歌うことも得意じゃないから、どうやって前向きにレッスンに挑んでいいかがわからない」って相談したら、「私も歌って踊るのはあまり得意じゃないけど、演じる気持ちでステージに立てたら受け入れられるんじゃない?」って言われて。

 やっぱり演じることが好きなので、そのアドバイスをもらってからは考え方が変わりました。私がやってる城ヶ崎莉嘉ちゃんは12歳で、何に対してもすごく前向きだし、楽しんで取り組む子だから、そういう性格も意識したら、すんなりとレッスンを楽しめるようになって。麗ちゃんのひと言でガラッと考え方が変わって、どんどん成長したい、上手くなりたいって思うようになりました。なので、今でもすごく感謝してます。慣れないことをすることに対して努力をしていたけど、それがだんだん努力じゃなくなってきたというか、楽しく成長できるようになってきました。私はそれを「キャラクターと一緒に手をつないで歩いてる」って表現してるんですけど、そう思えるようになりましたね。

――自分にできると思っていなかったことを、楽しんで取り組めるようになった7年間である、と。

山本:そうですね。最初は自分の状況がイマイチ飲み込めず不安が先行していて、舞台のセットを説明されてもポカーンとしてました(笑)。だけど実際にステージを重ねて、応援してくれる方々の優しさや、間違ったとしても笑顔で「次、頑張ろうよ」って言ってくれる仲間に助けられて、一歩一歩進めてるなって感じてます。

――城ヶ崎莉嘉と出会ってからもうすぐ7年になるじゃないですか。さっき「常に前向きである」っていう莉嘉のパーソナリティを話してくれましたけど、最初の印象と今とで印象はどう変わりましたか。

山本:やっぱり莉嘉の場合は城ヶ崎美嘉っていうお姉ちゃんの存在が大きいと感じていて、美嘉の影響を受けてる莉嘉のことばかり考えていたんですけど、演じていくうちにだんだん「莉嘉にとってのお姉ちゃんって、美嘉だけじゃないんだなあ」って思うようになった出来事に直面しまして。『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』で“BEYOND THE STARLIGHT”っていう曲のコミュがあったんですけど。そこに登場する子が全員莉嘉より年上だったんですよ。その中に一緒にレッスンをして、その後スイーツを食べに行ったりするお話があったんですけど、みんなが莉嘉のことを妹のように面倒を見てくれていて、莉嘉も「これって、もう私のお姉ちゃんじゃん」みたいな感じのことを言っていたんですね。そこで「莉嘉はまだ12歳だし、いろんな可能性を秘めているから、きっといろんな子の影響を受けて、これから自分なりのアイドルになっていくんだなあ」ってすごく感じたんです。そこから、変わった気がします。自分だって12歳のときにはまだ何も決まってなかったなって思うと、私の中での莉嘉の演じ方の幅が広がったし、莉嘉という存在に奥行きが出てきた気がします。

――最初はパーソナリティがそんなに詳しく描かれているわけではないのに、いつしかどんどん血が通っていって、最終的には「こういう子である」っていう認識が、演じ手やプロデューサーさんに広がっていくところが、『アイドルマスター』のすごいところだなあ、と思います。

山本:ほんとにそう思います。私も声優をやらせてもらって7年以上経つんですけど、これだけ長く関わらせてもらってるのは莉嘉くらいで。ほんとにビックリすることがあるんですけど、最初は自分とは全然違う子だなあ、と思っていたのに、だんだんお互いに似てきたりする部分もあって。

――山本さん自身が莉嘉のパーソナリティに影響を受けて、「自分のここが変わったなあ」と思ったり、「自分にはこんな一面があったんだな」って気づいたことはありますか。

山本:それこそ前向きなところとか、ちょっとやそっとじゃ挫けないところ、あとは莉嘉ってなんでもいったん受け入れるんですよ。「これ嫌い、ポイッ」じゃなくて、「そういういいところがあるんだあ。なるほどね。だから○○ちゃんは好きなんだね」「確かにかわいいかも」とか、自分の好みに合わなくてもしっかり相手のことを考えて受け入れる、すごくいい子なんです。そういうところは「なるほどなあ」って思ったりして(笑)。私もこうなれたら素敵な人間になれるのかなって、莉嘉をお手本にしたりしています。

――莉嘉という子は、天性の存在感を持ってる気がしますね。すごく華やかな感じがするというか。

山本:そうですね。本人がキラキラ輝いてるからまわりを明るくできるし、すごく前に行こうとするのに人に嫌われない子でもあって。相手が大人でも子どもでも、同じ目線に立って話せるよくできた子だなあって思います。

――『シンデレラガールズ』の姉妹といえば城ヶ崎姉妹で、美嘉役の佳村はるかさんにも話を聞いたんですけど、山本さん側から見た姉妹役の関係性について話してもらえますか。

山本:最初の出会いは、養成所の頃だったんですよ。その頃に、話したこともなかったのに「山本希望さんだよね。メアド教えて」って急に言われて――なんか怖いじゃないですか(笑)。その後で私が莉嘉に決まって、しばらくして美嘉の声がついて、そのときに「いろいろあって、姉になることになりました。よろしくお願いします」みたいなメールが来ました。最初、名前がはるかだからまわりのみんなが「るる」って呼んでいて、だけど私はなぜか「るる」って呼ぶのがシックリこなかったんです。そんな日々が続きながら、やっぱり姉妹アイドルだから何かを一緒にやらせてもらう機会も多くなって、彼女はすごく話しかけてくれる人だから、どんどん距離が縮まっていって。で、何かの話のときに「私はすごく力が強い」って彼女が言い始めたので、「私も力強いよ」という会話の流れで、じゃあ比べようかってジャイアントスイングをかけ合うことになったんですけど(笑)、「この人、ほんとに面白いなあ」って思って。そこから、私の心の壁が徐々に解けていった感じがしましたね。安心してふざけ合うことができる仲になりました。

 それで、あるときライブに私の親が観に来てくれてたことがあったんですけど、ライブの感想の中で「お姉ちゃんがさあ」って普通に言ったんですよ(笑)。まるで、ほんとに私のお姉ちゃんであるかのように。そのときに、「そう、お姉ちゃんね」って私も言ってて、そこで「お姉ちゃんってめっちゃシックリくるな」と思って。いろんな段階を踏まえて、「姉み」を感じてたというか(笑)。そこで認識が固まって、それからはずっと「お姉ちゃん」って呼んでます。

みんなの力を持ってステージに立ったら、きっとビックリするようなステージができる

――これまで参加した楽曲の中で、個人的に思い入れの強い楽曲とその理由を教えてください。

山本:いっぱいあるなあ~。『シンデレラガールズ』の曲は、歌詞の内容が自分にリンクすることが多くて、歌いながら泣きそうになることがあるんですけど――(最初のソロ曲の)“DOKIDOKIリズム”は莉嘉の主観の曲だと思っていて、《こっち 見てる!?》とか「どうしよう、どうしよう」ってなってるけど、その莉嘉が“SUPERLOVE”っていう2曲目のソロをもらって、そこでは「みんなが幸せなら私も幸せ」みたいな曲を歌ってるのが、私の中ですごくエモーショナルでした。「またひとつ、こいつは曲の中でも成長したぜ」みたいな(笑)。それと“BEYOND THE STARLIGHT”は莉嘉がセンターで歌わせてもらうことになるとは考えていなくて、めちゃめちゃ嬉しかったですね。《誰よりも光れ!》っていう歌詞があって――みんなが違ってみんないい、それはもちろん大前提だけど、その中でも個人的な野心はアイドルとして持ってないといけないものだな、と思うので、そういうアイドルに大切な気持ちが前面に出てる曲を莉嘉が歌わせてもらえるのは、すごく嬉しかったです。

 あとは、“Twilight Sky”っていう、ほんとは多田李衣菜のソロ曲なんですけど、『SS3A』(『「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS SS3A Live Sound Booth♪」』)のライブで歌わせてもらって。もともとは李衣菜色の強い歌詞で、私は個人的に“Twilight Sky”がすごく好きなんです。「間違ってもいいんだ、今の気持ちも痛みも全部パワーに変えていくんだ」みたいな歌詞が好きで。“Twilight Sky”の莉嘉ミックスをいただいたときに、オリジナルと比べて大きく変わった印象をあまり受けませんでした。なので「もうちょっと莉嘉っぽさが欲しいよね」っていう話になって、そのときに《間違ったっていいんだ》っていう歌詞に着目しよう、と思って。12歳だし、間違ってもいいし、それすらも力に変えていく莉嘉になってほしいと思ったので、《悪口雑言 気にしない》っていう歌詞は全部訓読みに変えちゃったり、「賛否両論」って言えなくて「さんぴりょうりょん」になっちゃってたりするんですけど、「莉嘉を残せた」っていう気持ちが強かったですし、莉嘉と一緒に作った感じがして、すごく思い入れが深い曲になりました。

――一気に3曲出ましたね(笑)。

山本:まだまだ全然あります(笑)。“私色ギフト”もすごくいい曲で、アニメのお話にもハマっていて素晴らしいですよね。ほんとに、全部が全部思い入れはあるんですけど、莉嘉の成長に着目すると、パッと思いついたのがその3曲でした。

――莉嘉の活躍の場所としては、ユニットの凸レーションもありますよね。

山本:凸レーションは、ユニットをアニメの中で組みますよってなったときに、「この3人です」って言われて全然違和感がありませんでした。だけど、前向きな感じでひたすら進んでいくユニットなのかな、と思ってたら、みんな悩みを抱えていたり。でも想像と違ったのは、最後にはデコボコだからこそお互いを支え合えてるんだなあって、安心しました。もちろん、麗ちゃんもともよちゃん(黒沢ともよ/赤城みりあ役)も、一緒にいて安心するメンバーです。麗ちゃんは大人としての意見を持っている子なので、相談してアドバイスをもらったりします。ともよちゃんは、自分の役に対してストイックに向き合ってるところをよく見かけるので、リスペクトを込めつつ、役柄的に近くにいてもらえる心強さに安心感があります。

――山本さんにとって、ファンであるプロデューサー、莉嘉が言うところのPくんってどういう存在なんでしょう。冒頭で、極めてナチュラルに「Pくん」って発言してましたけど。

山本:莉嘉が「Pくん」って呼ぶので、私も使っちゃいますね。なんだろう、「温かく見守ってくれてるから伸び伸びと育ってます」というか(笑)。皆さんが莉嘉のことを任せてくれる感じがしていて。お手紙をもらったりするときに「莉嘉の声がのじょさん(=山本)でよかったです」と書いてくれる人がいて、最初はその言葉に対してプレッシャーを感じていたんです。「私が莉嘉にしてあげられてることなんてそんなにないし、むしろ制限してるんじゃないかなあ、莉嘉はもっとできる子だし」って感じていて。だけど、莉嘉と一緒に歩んでいくうちに、自分が莉嘉にしてあげられることもわかってきたし、負けないようにしようっていう気持ちがあるからこそ、ちょっと自信を持てるようになってきたんですよね。それからはファンレターの言葉もすんなり受け入れられるようになって、今はもうめちゃめちゃ嬉しいですし、頑張ろうっていう気持ちになれますね。むしろ、その言葉がないと力が出ないかも。だから、信頼関係があるんだと思います。皆さんのひと言ひと言は、何よりのプレゼントですね。私自身も頑張ってステージに立ってたりするので、「ありがとう」って言ってもらえると、「いやいや、私こそありがとう」という気持ちになる。そういう関係だなって思います。

――そんな彼らと次に会うのは、11月の6thライブですね。「こういうライブにしたいなあ」っていう今の気持ちを聞かせてもらえますか。

山本:『シンデレラガールズ』単体でのドームはこれが初めてなんですけど、765プロダクションの10thライブで一度ドームには立たせてもらっていて、そのときに「すごく引っ張ってもらってるなあ」っていう先輩への感謝があったんですね。さらに、先輩たちのパフォーマンスや舞台裏での頑張りを見ていて、自分たちは全然足りないな、と感じたし、悔しい思いや情けない思いも正直してたんですよ。先輩って偉大だなあって感じたライブだったんですけど、「みんなの力で作るってこういうことなんだ」って思って。『シンデレラガールズ』もどんどんキャストが多くなっていっているので、しっかりみんなで頑張って、いいものを作り上げて、Pくんたちにとっても自分たちにとっても最高の思い出になって次につながる、素敵なライブにしたいですね。最近入ってきてくれる子たちはほんとにみんなしっかりしていて、私も頼っちゃってるくらいなので(笑)、心配は全然ないです。このみんなの力を持ってステージに立ったら、きっとビックリするようなステージができるんじゃないかなって思います。

――他の方に話を聞くと、前回の5thツアーでよりひとつになれたっていう話がよく出てますね。

山本:そうですね。確かに、5thのときに結束した感じはありますけど、私から見ると最初からみんな結束してると思っていて。『シンデレラガールズ』ってすごいなって、常々思うんですよ。正直、学生のときは、みんなでやることに対して、「みんなが決めたことならそれでいいよ」みたいなポジションだったんですけど、『シンデレラガールズ』では莉嘉に対して何かしたい気持ちがすごく強いんですよ。学生のときの自分のスタンスが嘘みたいな気持ちになることは多いですね。それが、結束につながってるんじゃないかなって感じます。メンバー的にも、学校生活でクラスの中心で何かをやるタイプの子はそんなに多くないと思うんですけど、『シンデレラガールズ』に対してみんなが率先して動けるのは、やっぱり愛ゆえなんだろうなあって感じますね。

――素晴らしいですね。では最後に、これまでの時間をともに過ごしてきた莉嘉に今かけてあげたい言葉を教えてください。

山本:なんだろう? う~ん、やっぱり「これからもよろしくね」っていう気持ちが強いかな。今、ふたりで歩けてることがすごく幸せなんです。だから今後もお互いに支え合いながら、いろんな可能性を見つけていきたいなって。これからもそのまま魅力いっぱいの莉嘉でいてもらって、変わらずに変わる――いいところは変わらずに、一緒に成長していこうねっていう気持ちです。

取材・文=清水大輔