横浜流星「命の期限という重いテーマも孕んでいるけれど、悲しい映画ではありません。溢れる涙は、きっとあたたかい涙です」

あの人と本の話 and more

2019/1/7

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、『キセキ ―あの日のソビト―』に続く、GReeeeNの楽曲映画化プロジェクト第2弾『愛唄 ―約束のナクヒト―』で、主人公を演じた横浜流星さん。劇的な運命に直面した“普通の青年”を演じ切った今の心境をお伺いした。

横浜流星さん
横浜流星
よこはま・りゅうせい●1996年、神奈川県生まれ。ドラマ『烈車戦隊トッキュウジャー』で注目を集める。出演作に主演映画『兄友』『虹色デイズ』など多数。2019年は主演映画『チア男子!!』と『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』の公開、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』でのメイン出演が控える。
ヘアメイク:永瀬多壱(VANITES) スタイリング:伊藤省吾(sitor) 衣装クレジット:シャツ3万2000円(ウル/スタジオ ファブワークTEL03-6438-9575)(税別)

 生まれて初めて買ったCDアルバムはGReeeeNだったという。

「時々信じられなくなるんです。ずっと大好きだったGReeeeNさんに、こんなにも携わらせていただけるなんて。そして今回は、GReeeeNさんが脚本制作にも参加してくださり、名曲『愛唄』と同じ想いとメッセージを込めて紡いだ物語を書いてくださった。ストレートでポジティブ、登場人物たちの姿に勇気をもらえる、このストーリーを全力で演じ切りたいと思いました」

 突然、人生のタイムリミットを告げられた横浜さん演じる23歳・会社員のトオル。日常のなかで、ふと自分に降りてきた信じられない現実。それだけ聞くと、設定としてのドラマ性を強く感じてしまうけれど、その方向へは行かないのが、横浜流星という役者の持ち味だろう。

「観てくださる方が自身の感情を乗せられる人とは、どんな人だろうと考えつづけていました。“どこにでもいる人”という、ある意味、普遍性を持つ人を演じることは本当に難しいということを、今回は痛切に感じました」

「人からもらったものをしっかり受け止め、そのときに思った感情を素直に出す」。それが演じるなかで、“トオル”という人の芯にしたこと。そして川村泰祐監督から出たキーワードは“陽寄りの陰”だったという。

「この作品は、暗いテーマも持っています。けれど、そこをあえてポジティブに描きたいというGReeeeNさんの願いがあった。暗さと明るさ、芝居において、そのバランスを取ることは難しいことでしたが、毎シーン、毎シーン、監督と話し合い、つくりあげていきました」

 傷つくことを恐れ、本当の恋をすることもなく、友情を築いてくることもできなかったトオルに訪れた“二つの出逢い”。ストーリーはそこからの変化、成長を丁寧に追っていく。“残りの人生、お前のやり残したこと一つずつやってやろうぜ”という、元バンドマンで旧友の龍也(飯島寛騎)、“生きるって、夢中になることだと思う”とつぶやく、長い入院生活で学校も満足に通ったことのない、詩人の少女・凪(清原果耶)。この二人との出会いが、トオルの人生に奇跡を起こしていく。

「トオル同様、撮影中、ずっとこの二人の仲間を見ていた気がします。寛騎と果耶ちゃんとの芝居からはすごく刺激をもらいました。トオルとして、僕自身として、大事なものを受け取ったような気がしました」

 心に残る数々のシーンが、まるでGReeeeNの歌のサビのように現れてくる。

「演じながら印象に残るシーンが数多ありました。なかでも最も心に残ったのは、初めてトオルが自分の気持ちを伝えるシーンでした。その勇気はもちろん、彼がその境地に到るまで、支えてくれた人々の想い、過程も重なってきて。気持ちを伝えたのはもちろんトオル自身だけれど、彼一人だけではできなかったことなんだ、ということが身に沁みました」

“人はけっして一人じゃない”ということもこの映画は伝えてくる。ストーリーの真ん中に立っているのは若い3人だが、トオルの母(財前直見)や凪の母(富田靖子)など、彼らを見守る大人たちの目線も愛おしい。

「僕らと同世代の方にも、もちろん観ていただきたいですが、大人の方々にもぜひ観ていただきたいです。原作をベースにした映画が多いなか、オリジナルストーリーである本作はひと味違ったものをお届けできると思います。涙は溢れてくるけれど、けっして悲しい映画ではありません。流れる涙はきっとあたたかなものになると思います」

(取材・文:河村道子 撮影:干川 修)

 

映画『愛唄 ─約束のナクヒト─』

映画『愛唄 ─約束のナクヒト─』

監督:川村泰祐 脚本:GReeeeNと清水 匡 出演:横浜流星、清原果耶、飯島寛騎ほか 配給:東映 2019年1月25日(金)より全国公開
●恋する勇気を持てないまま大人になったトオル。命の期限を告げられた彼の前に現れたのは、旧友・龍也と運命を変える少女・凪。彼女の詩と言葉に生きる意味を教えられるトオルだが、凪にはある秘密があり……。
(c)2018「愛唄」製作委員会