40代ご無沙汰女子が婚活を通して気づいたこと――「ワークライフ“ラブ”バランス」が大事!?

恋愛・結婚

公開日:2019/1/12

 36歳、独身。婚活がうまくいかない。この年齢になると新たな出会いもなく、マッチングアプリで男性とメッセージのやり取りをするも、すぐに途絶えてしまう。恋愛本の類を読みあさってはいるのだが、「そんなにうまくいったら苦労しないよ……」というものばかり。もう一生、独身でいいかと諦めかけていた。

『40代ご無沙汰女子の、ざんねんな婚活』(小学館)の著者・浅見悦子さんも、同じような心境だった。大手出版社のバリキャリ編集長。一生独身だと思って健康とお金の対策をし、孤独死も覚悟していた。しかしあるとき、仕事で婚活記を書くことに。40代で初めて結婚というものと向き合った彼女が、婚活を通して気づいたこととは――?

――わたしは36歳なのですが、本書を読んで目から鱗が落ちました。

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 そのくらいの年齢の方に、一番読んでほしいんですよ。同年代はもちろんなんですけど、転ばぬ先の杖というか、先に知っておくとこういう失敗はしないよっていう。いままでの婚活本って、「わたしはこうして婚活に成功しました」みたいな成功本じゃないですか。この本は成功していないので、よく出版したなと我ながら思います。

――成功しないからこそ、面白かったです。

 ダイエット本に喩えると、まだ痩せていないのに本を出す、みたいな(笑)。ある意味わたしは前代未聞のしくじり先生なんです。反面教師になればいいなと思っています。「これはしちゃダメ」ということだけをお伝えしています。

――とくに共感できたのが、ハイスペックな男「エリートさん」の章で、メールの文体が敬語から突然フランクになったり、いきなり「♪」がついていたりすると、途端に冷めるという。

 1回パーティーで会っただけなのに、アポイントが決まったら急に「オッケー♪」みたいな(笑)。最初からタメ口なら、それはそれでこういう人かと思えるんですけど、急に変わるとちょっとね。

――白髪混じりのダンディなおじさま「ホワイトさん」が、デートに行くこと前提で話を進める感じとかも、イヤだなあと思いました。

 エリートさんもホワイトさんも、相手が違えばうまくいく男性なんだと思うんですよ。リードされたいとか、俺様っぽい人が好きっていう女性もいますよね。わたしはそういうタイプではないので、うまくいかなかったのかなと思います。

――どういうタイプの男性がお好きなんですか?

 婚活を始めたときは、好きなタイプがなかったんですよ。「○○じゃない人」っていうNGの条件ばっかりで。なので、好きなタイプを聞かれても、どういう人かというより、「こうじゃない人」と答えていたんです。けど、それじゃダメなんですよね。どういう人を紹介すればいいか、周りもわからないし。

――婚活を通して、タイプの男性は見えてきましたか?

「仕事の面で尊敬できる」「言葉づかいが穏やかで優しい」「レディーファーストで紳士的」「一緒にいて居心地がいい」「安心できる誠実な男性」という5つのタイプに辿り着きました。好きなタイプがわからない人は、自分の恋愛経験を書き出してみるといいですよ。イヤなことってすぐ気づくんですけど、書き出していくうちに自分がされて嬉しいことも見えてくると思います。

――Amazonのレビューに「男性が読んだほうがいい」というコメントがありますね。

 女心がわかるようになるかもしれないですね。男性たちに言いたいのは、もっと女性を褒めてください、と(笑)。でもそれって、女性もしなきゃいけないことですよね。わたしは男性から褒められて嬉しかったので、自分も褒めるようになりました。恋愛だけじゃなくて、仕事でも。婚活をする中で得たことの一つですね。イタリア人じゃないですけど、褒める文化って大事だと思います。

――浅見さんは美人だし、お話も面白いし、若く見えるし、どうしてまだ結婚に至っていないのか、不思議でしかたがないです。

 美人だとは思わないですけど(笑)。一つには、婚活を始めるまでまったく結婚する気がなかったからですね。仕事で一人前になりたい気持ちが強くて、編集長になるという目標を達成するまでは、それ以外のことをやりたいと思っていなかった。中には編集長になって、結婚も出産もして、っていう人もいるんですけど、そういう人は器用だと思うんです。わたしはバランスを取るのが得意ではなくて、一つのことしかできないんですよね。あとは30代のときに付き合った人に本当にあっさりフラれて、男性を信じられなくなったのも大きかったです。

――言い寄られたりはしなかったんですか?

 ないです、ないです! わたし、鉄壁なガードをするんだと思います。知人に「フレンドリーなんだけど、絶対に男性に入らせない空気がある」と言われました。相当空気が読めない人か、それ以上にわたしと話したいと思ってくれる人じゃないと誘われない。となると、だれも誘ってこない(笑)。

――隙がある人がモテますよね。

 結局、そうなんです。隙がない人は、自分が隙がないということに気づかないんですよ。マッサージの先生に言われたんですけど、本当に痛いときは、痛いことすらわからないことがあるらしいんです。わたしは腰痛持ちなんですが、先生に「固すぎて岩みたいになっている」と言われるまで気づかなかったんですよ。恋愛もそれと近いものがあって、壁を作ることが当たり前になると気づかないんですよね。だれからも言い寄られないと思っている女性は、自分が見えない壁を作っているということを意識するといいと思います。わたしに言われても説得力がないかもしれないですが(笑)。

――いえいえ、参考になります! 他に婚活をしてみて気づいたことはありますか?

「スカートをはくべき」ってよく言われますが、本当にそうだと思う。男性はデートではスカートをはいてきてほしい生き物みたいです。ボディにフィットしたデニムはありだと思いますが、ワイドパンツは絶対にダメ。わたしも婚活をして、スカート率が上がりましたよ。あとはカラーも大事ですよね。仕事でお付き合いのあるファッションプロデューサーの植松晃士さんには、黒やグレーを着ていると「男色を着てたらダメ~。おブス~」って言われます(笑)。

――婚活をすることに迷いが生じている人もいるかと思いますが、婚活はしたほうがいいでしょうか?

 すぐ恋人ができる人だったら、わざわざしなくてもいいと思うんですよ。常に恋愛というものに接していることが大事で。「ワークライフバランス」とよく言われますが、「ワークライフ“ラブ”バランス」を考えて生きたほうがいいです。ラブの時間を常にどこかに作るんです。ラブから離れていると、恋愛の仕方がわからないし、わたしはもっと重症で、恋愛がいいとも思わなくなっていたんです。アプリをやるのもいいし、興味のない人ともデートをしてみるのでもいいし、恋愛小説を読むとかでもいいと思うんですよ。そうすると、男性を見る目が変わると思います。

 ジェントルさん(※)に「女性らしい」と言われたとき、驚いたし、嬉しかったんですよね。そのとき、わたしは女性らしいと思われることが嬉しいんだ、ということに気づいたんです。それまでは、「こうすればモテるよ」と言われると、「べつに男にモテたいわけじゃないし!」と思っていたんですけど(笑)。自分がなんて言われたら嬉しいかということに気づいたら、その言葉のような自分になっていけばいい。モテ服は自分で作っていくものだと思います。なんて言われたら嬉しいか、書き出してみるのもいいですね。仕事でも婚活でも、楽しんでやることが一番ですよ。

――ありがとうございました。

 婚活のゴールはもちろん、結婚すること。しかし、浅見さんは婚活を楽しむことでたくさんのことを学び、人生を面白く、豊かなものにしていると感じた。自分を高めるための婚活――どうせするなら、そんな婚活がしたい。「なんで婚活しているんだろう。そもそも結婚がしたいのかどうかもわからない……」と迷子になっている女性は、ぜひ手に取ってほしい一冊だ。

取材・文=尾崎ムギ子

(※)OTONA SALONE連載コラムに登場する男性(49歳・バツイチ・子持ち・ゲイ疑惑あり)