本郷奏多「この舞台を演じ切ることで、役者としての自分が成長できるのではないか、という予感を抱いています」

あの人と本の話 and more

公開日:2019/2/10

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、2月から上演されるTEAM NACS SOLO PROJECT第4弾『MONSTER MATES』に出演する本郷奏多さん。約3年半ぶりとなる舞台への意気込み、そして、春から話題作が次々と公開される2019年の抱負について伺った。

本郷奏多さん
本郷奏多
ほんごう・かなた●1990年、宮城県生まれ。2002年、映画『リターナー』でデビュー。05年『HINOKIO』映画初主演。主な出演作に、映画『テニスの王子様』『GANTZ』『進撃の巨人』『鋼の錬金術師』『いぬやしき』、ドラマ『アカギ』『ラブホの上野さん』など多数。公開待機作に映画『凛-りん-』『キングダム』。
ヘアメイク:松原美穂(Nestation) スタイリング:川地大介 衣装協力:ニット2万8000円(ザ ナーディーズ/ビン TEL03-6416-0634)、パンツ3万2000円 (イキジ/イキジTEL03-3634-6431)

「コミックスを読んで連載に追いつき、ハマりにハマって、小学校5、6年のときは、学校の囲碁クラブに入りました。これを読むと、自分が強くなった気になってしまうんですけど(笑)、実際は難しかったなぁ」

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 連載中、全国の小・中学生の間で一大囲碁ブームを巻き起こした『ヒカルの碁』。本郷さんもそのうちのひとりであったという。

「囲碁の初心者である主人公・ヒカルに平安時代の囲碁名人・藤原佐為の霊が取り憑いて。けれどストーリーの中盤で、佐為がいなくなっちゃうんです。佐為がいなくなったのは、自分のせいだとふさぎ込み、ヒカルはいったん囲碁から離れてしまうのですが、久しぶりに打った碁から自分の打ち筋のなかに佐為を見つけるシーンが僕はめちゃくちゃ好きなんです」

 今も心を震わせてくれるという小学生の頃から自身のなかに刻まれてきた場面。そして、そんな頃から、本郷さんが夢中になっていたのが、ガンプラ。その入魂ぶりは、テレビ番組でも紹介されるほど。

「どうやらガンダムがお好きらしい、という噂を聞いて。そういう話をして、仲良くなれたらいいなと勝手に思っているんです(笑)」

 仲良くなりたい、そのお相手とは、2月から上演される舞台TEAM NACS SOLO PROJECT第4弾『MONSTER MATES』の作・演出、そして共演をする戸次重幸さん。前回2014年の一人舞台『ONE』では、12000人の動員を記録。5年ぶりとなる本舞台では、4人のキャストを迎え、5人芝居のサスペンスコメディで作・演出・出演に挑戦する。

「今まで一瞬しかお会いしたことがなかったので、お話をいただき、びっくりしました。以前から、たいへんな才能をお持ちの方だと感じていましたので、本当にうれしかったですね」

 出演が決まり、戸次さんと話をしたときも「さらにびっくりした」という。

「ものすごく柔らかい印象で、半分、冗談なんでしょうけれど、“作・演出者として、皆さまがまったくストレスを抱かない現場をつくりあげていきます!”ということを終始、おっしゃっていらして。僕はいつも新しい現場に行くとき、“ご一緒するのは、どんな方たちなんだろう?”と緊張してしまうので、そうした気持ちを取っ払ってくださり、本当にありがたかったんです。人の気持ちを慮り、一瞬で惹きつけることのできる素敵な方だなと思いました」

 青柳翔、前野朋哉、吉沢悠と、他のキャストも濃い面々だ。

「前野さん以外はご一緒することは初めて。個性の強い役者さんばかりで、戸次さんのもと、どんな舞台が生まれていくのか、すごく楽しみなんです」

 舞台は約3年半ぶり。近年、映像作品での活躍が注目されていた本郷さんにとって、“舞台”とはどんな場所なのだろう。

「経験が少ないので、ドキドキしながら演じる場所。映像作品と違って、やり直しがきかないというところが難しさであり、面白さだと思います。継続的な集中力が求められるというところに挑戦する愉しさを見出しています。『MONSTER MATES』は10分に一度くらいストーリーが展開していく。後半からは、何が正しいのか、誰が本当のことを言っているのかわからなくなってくる、という緻密なサスペンスコメディ。この舞台を演じ切ることで、役者としての自分が成長できるのではないかと思っています」

 2019年は本舞台の上演、主演映画『凛-りん-』の公開、そして“成蟜役の本郷奏多、ヤバイ!”とはまりすぎのビジュアルに原作ファンを熱狂させている『キングダム』の公開が続く。そうした新たな年への抱負とは?

「普段から、大きな野望があるわけではないので、今年も変わらず、一生懸命にお仕事をしていきたいということだけですね。バラエティ番組などで、ついエッジのきいたことを言ってしまい、変人扱いされてしまうので、役者として王道の生き方はできないし、そういう発言も僕はできない(笑)。ただ28歳になったので、そろそろちゃんとした社会人役を演じてみたいなとは思っています。実は演じた役のなかで、まともに働いたことがないんです(笑)。年相応の役を演じたい、というのが、2019年の抱負ですね」

(取材・文:河村道子 写真:鈴木慶子)

 

舞台「TEAM NACS SOLO PROJECT 戸次重幸『MONSTER MATES』」

舞台「TEAM NACS SOLO PROJECT 戸次重幸『MONSTER MATES』」

作・演出:戸次重幸 出演:本郷奏多、青柳 翔、前野朋哉、戸次重幸、吉沢 悠 2月8日(金)〜3月3日(日)東京、福岡、札幌、大阪にて公演
●精神科医の坂上、居候の三波、坂上の元患者・今野、今野の借金を取り立てに来たヤクザの桐谷。様々な事情で4人が会したとき、謎の男Qが現れ、三波に告げる。「あなたは不老不死になりました」。そこから彼らの日常は崩れ始め……。5人芝居のサスペンスコメディ。