生理前恒例のイライラや不調…喉元過ぎれば、とやり過ごしていませんか? 対処法まとめ

健康・美容

公開日:2019/2/21

 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

PMS

 月経前症候群(以下PMS)は、生理の2週間前~直前にかけて、心身のさまざまな不調が出現する状態です。原因ははっきり解明されていませんが、排卵後に急激なホルモンの「波」ができるため、この時増える黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響を受けて心身がホルモンに振り回されるのではないかということが指摘されています。

 PMSの症状を緩和させる方法としては、1))薬物治療、2)生活改善、3)栄養改善、4)カウンセリング、などがあげられます。

 薬物治療として代表的なのが低用量ピルや超低用量ピルです。ピルは排卵を抑えるため、排卵にともなって起きる月経前のホルモンの「波」がなくなります。ピルを服用している間はホルモン量がほぼ一定に保たれるため、大波が小波になるように症状も楽になることが多いのです。最近は、長期間連続投与できる超低用量ピルも発売されていますので、毎月の体調の変動を何とかしたいという場合は婦人科で処方を受けるとよいでしょう。治療目的で処方されるピルは保険適応になりますので、1カ月分が1100~2500円くらいです。

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 ピル以外の薬物治療としては、漢方薬や便秘薬・めまい止め・吐き気止め・抗うつ剤・抗不安薬などの対症療法が中心となります。漢方薬は、症状に合わせて服用時期や種類をいろいろ組み合わせられるので便利です。まずは漢方薬局や漢方専門医に相談してみてもよいでしょう。

 生活改善としては、十分な睡眠をとる・過度の緊張状態が続く状況にしない・生活リズムや仕事の環境などを「自分が主導権を握って」コントロールする、などです。ストレスフルな生活は、PMSを悪化させる要因となります。進学したとたんにPMSの症状が出たり、職場が変わったらPMSが気になり始めたという場合は、まずは自分の生活環境を見直してみるとよいでしょう。

 食事改善では、ビタミンやミネラルを十分にとり、糖質(特に砂糖)を控えることが基本になります。よく、月経前は甘いものが欲しくなると言いますが、この時期に砂糖が含まれているものを摂取するのは逆効果です。砂糖類は血糖値の乱高下を引き起こして、イライラやだるさの原因となります。緑黄色野菜や肉・魚などのたんぱく質をしっかりとり、足りない時はサプリメントで補いましょう。どうしても間食が欲しい場合は、甘いものは控えて、ナッツ類やおつまみ系の乾燥小魚や少量のチーズなどをつまむとよいでしょう。食事をとる時には、野菜→肉や魚→ご飯やパン(主食)という、コース料理を食べる時の順番でとるようにすると、血糖値が安定しやすくなります。

 PMSはホルモンに「振り回されている」状態と説明しましたが、ホルモンだけでなく人生全般において受け身で何かに振り回されるというスタンスでいると、PMSの症状が出やすくなります。また、家庭環境や仕事などで、何らかの「自分の力ではどうにもできない問題」があると信じ込んでいる場合も、結果として主導権を自分以外の何かに明け渡していることになるため、症状が出やすくなります。これらの「生き方のスタンス」に対して、「このままでは嫌です」と本当の自分が訴えかけてきているのがPMSの症状の正体です。この場合は、薬で症状を楽にしつつ、根本原因を改善するためにカウンセリングを受けることをおすすめします。

 PMSは我慢するものではありません。また、PMSだから仕方がないとあきらめるものでもありません。症状を楽にする方法は色々ありますので、ちょっとしんどいなと思ったらまずは婦人科やPMS専門外来で相談してみましょう。