生徒会キャスト4人が集合!『かぐや様』の魅力を語りまくる――メインキャスト座談会

マンガ

公開日:2019/3/30

 マンガもアニメも面白すぎ!な『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のTVアニメは、3月30日放送の第12話が最終回……と書いているだけで、もうすでにちょっと切ない。かぐや様の用意周到だけどどこか抜けているかわいさとか、白銀会長のいろいろ考えてるけどやっぱり根がめっちゃいいヤツなところとか、すべてをかっさらってみせた藤原書記の最高すぎるラップとか、まだあまり顕在化していない石上の熱い一面を、もっともっと観たい。どうしてこんなに寂しいのか? 4人のキャストが織り成す秀知院学園生徒会の日常が強烈な引力を放っていて、離れがたいからだ。ということで、ダ・ヴィンチニュース『かぐや様は告らせたい』特集のラストは、全12話を通して僕たちを楽しませてくれた、生徒会キャスト4人の座談会をお届け。気合いが入った「あのシーン」の舞台裏や、密かに推してる「あのキャラクター」のことなど、賑やかに語り合ってもらった。

早坂が荒ぶってると、幸せな気持ちになる(笑)(古川)

――最終話まで収録お疲れ様でした。まずは、気合いが入ったセリフやシーンについて聞きたいです。

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古川慎(白銀御行役):石上はけっこうありそうな感じする。6話の「臭い…赤ちゃんの臭い」のところとか(笑)。

小原好美(藤原千花役):(笑)強調の仕方がすごく上手なんですよ。きれいに入れてくるから。

古賀葵(四宮かぐや役):原作に忠実で、太字になってるところをしっかりとやって。

鈴木崚汰(石上優役):確かに、ついつい太字はやりたくなっちゃって。いかに気持ち悪くするかっていう。

小原:小原でいるときは「ははは」って笑えるんですけど、藤原としてマイク前にいるときは、石上を見ていて本当に腹が立つんです(笑)。

鈴木:藤原がイカサマをしてるときに石上がめちゃくちゃ煽るんですけど、その収録の最中にこっちを睨んでくるんですよ(笑)。「怖っ!」と思って。

小原:憑依してたから(笑)。

鈴木:小原さんって、わりかし感覚が同化しますよね。

古川:そういうところ、すごいよなあ。

小原:藤原は、やっぱり4話のラップのシーンですね。それまではずっとお花がまわりに咲いてるふわふわした感じの女の子で、「ちょっとヤバい子なのかなあ」って匂わせつつ、4話で「あっ、この子相当ヤバいぞ」っていう。オーディションを受ける前に原作を読んだときに印象に残ったのも、そこのシーンでした。収録の前も、それぞれの尺の秒数を測って、その秒数に合うリズムが取れるように練習して――家で練習して自分の中で自信をつけるのはいいけど、それを現場に持っていって誰ひとり笑ってくれなかったときのことを考えると……実際には、みんな優しくて、笑ってくれたんですよ。、でも、本当に怖かった。今までに経験したアフレコ現場の中で、一番吐きそうでした(笑)。

――(笑)あの「ドーンだYO!!」の名シーンは、緊張に苛まれていた、と。

小原:もう、緊張のピークを超えたときの感じは今でも忘れられないです。「やるしかない、転んでもいいや」っていうスイッチが入ったら、怖くなくなって。あと、横目で見たら音響監督さんがニコニコしながら頷いてくれていて安心したのと、後ろで花守ゆみりさん(早坂愛役)とナレーションの青山穣さんが笑ってくださったのが救いでした。生徒会の方は、マイク前にいるから笑っちゃいけないし――。

古川:いや、ニヤニヤしてました(笑)。

小原:ありがたや、ありがたや。

鈴木:ついつい笑って、セリフが言えなくなることもありました。

古川:うん。3話のエンディングから4話のラップのシーンにかけて、藤原無双だったよね。

小原:歌(3話のエンディング曲“チカっとチカ千花っ♡”)も流れるまで怖かったなあ。

鈴木:400万ですか?(“チカっとチカ千花っ♡”のYouTubeでの再生回数。現在700万を突破)

小原:行きましたよね! すごい! でもあれは、本当に映像がすごいですから。まだまだ伸び続けているので、伝説を作りましょう。

古川:歌い方、すごくかわいかったですね。僕は白銀を演じるにあたって意識していたことがあって、かぐや様と掛け合いをするときに、「ここは(かぐや様と白銀の)意思疎通ができてないな」っていうときは、古賀さんが見てる画面とは違う画面を見てました。で、「ここは一緒の方向を向いてるな」って思ったら、一緒の画面を見るようにしていて。古賀さんはいかがですか?

古賀:わたしは、毎回気合いっていう感じでした(笑)。フランス語や、ペスの話をするシーンとか……あと、会長のお父様が出てきたシーンは、お父様の役が子安武人さんで、すごくオーラが感じられたので、「負けない」っていう気合いと、しっかり返して相乗効果を生み出したい、という気持ちで……。

小原:思い出しながらオロオロしてる(笑)。

全員:(笑)。

古川:子安さんが、テストのときに思いっきり声を張っていらっしゃいましたから。「わたしは! 御行の父で~す!!」って。それは「負けんように」ってなるところはあるよ(笑)。

小原:皆さん、原作を読んでいたときの印象以上のお芝居を持ってくるんですよ。会長だったら、普通のセリフのときはサラッと言ってるけど、モノローグはけっこう激しくて。自分ののどを守ることもせず、ひたすら「白銀御行になるんだ!」っていう感じで叫ばれてる姿を見てると、本気で役と向き合ってる姿勢がお芝居から伝わってきて、その相乗効果で藤原もかぐやさんも持っていってくださった感じはありました。

古賀:うんうん。

小原:で、途中参戦の石上くんも、ずっと一緒にいたかのような勢いで乗っかってくるから、さらにエンジンがかかってヤバいところに持っていかれる、誰がコントロールしてくれるんだと思っているところに、コントロールしてくれるはずの青山さんもぶっ込むので(笑)、毎回戦場でした。

――実際、石上が出てきた6話から、映像全体にブーストがかかった感じはありましたね。

鈴木:起爆剤になれたら、と思ってました。6話で言うと、わりと会長との掛け合いが多くて、僕の聞き取りづらい声にも会長はしっかり反応してくれて――。

古川:そんなことない(笑)。

鈴木:(笑)会長にも支えてもらってるし、皆さんの芝居にも支えてもらって、僕もやりやすいようにできてました。古川さん、ほんとに声がデカいんですよ。僕が言うのも変ですけど、「この人にはかなわないなあ」って思いました。

小原:どのお芝居も本気なのが伝わってきますよね。

鈴木:愛がすごい。

小原:それがアニメを観てくださっている方にも伝わっていたら幸せです。

――『かぐや様』って、登場人物全員のキャラが立ちまくってるじゃないですか。皆さんがそれぞれ密かに推してるキャラクターは?

小原:ふたりいます。ひとりは早坂で、生徒会メンバーではないですけど、なくてはならない存在で、かぐやさんを一番フォローして支えているので、早坂がいないと“かぐや様”は“かぐや様”で居続けられないと思います。あとはやっぱり、ナレーションはすごく大事でした。青山さんは現場でも引っ張ってくださってましたし、ある意味で軸を担ってくださってるのは青山さんでしたから、「N」(ナレーションは台本上でNと表記)はすごく大事な存在でしたね。

古川:僕もそのふたりを推してますね。早坂が荒ぶってると、幸せな気持ちになるんですよ(笑)。

小原:そうそう(笑)。

古川:冷静な顔して、とんでもないことを言うじゃないですか、「ああ~、楽しそ~っ」と思いながら観ていて。かぐや様に仕えるものとしての立ち振る舞いにちょっと姉妹感があるから、すごくかわいらしいし、和みますね。青山さんに関しては、もう第一声でこの『かぐや様』の作品の雰囲気がガッと広がったところがあるので、本当に感謝してもしきれないくらいです。さらに推すなら、白銀の父と白銀圭ちゃんですね。

鈴木:あとは、柏木カップルかなあ。

小原:フランス語の回に登場した校長と、ベツィーも。

古賀:ベツィーさん、すごかったです。フランス語で罵倒するシーンがすごくたくさんあるんですけど、ほんとにきれいで。演じられていたご本人は、とても礼儀正しくて素敵な方でした。

古川:ラーメン四天王も気になるんだよなあ。

小原:そう、それ! 忘れちゃダメですよね。

「大好きだな」って思える現場に出会えた(古賀)

――1日だけ秀知院の生徒になれるとしたら、誰になって何をしたいですか? ご自身が演じてるキャラクターでもOKです。

小原:ぜひ藤原になってみたいです。役を演じるときに自由奔放にやらせてもらいましたけど、プライベートで藤原になれって言われると、ちょっと自信がないので(笑)。だから、藤原になって自由奔放にわ~いって暴れてみたいです。

古賀:わたしは……う~~ん。

小原:たぶん、かぐや様にはなれないよ(笑)。

古川:急に辛辣(笑)。

古賀:(笑)わたし、会長になってみたくて。すごく頭がいいじゃないですか。努力の天才で、かぐやにも尊敬されるような会長として、1日過ごしてみたい。難しい会議もぶわーっとこなして(笑)、カッコいい自分を味わいたいというか。すごく憧れます。

古川:俺は絶対に白銀にはなりたくないです。だって、あんなのこなせないもん(笑)。

鈴木:(笑)睡眠時間がすごいですからね。

古賀:10夜漬け?

古川:それでもやるんか?(笑)。

古賀:(笑)1日だけ、天才にも勝るくらいの努力をしてる感じを味わって、日々の生活に戻って、「すごい人がいる」って思いたいです。

古川:僕は、四宮家に勤める使用人がやりたいですね。早坂でもいいし、わりとかぐや様に対して気軽に接することができる位置にいたいです。かぐや様はお家事情とかで肩が凝ってる感じもあると思うので、甘やかしてあげたいですね。昨今流行りのものを買ってきたり、とか。

小原:そういうところ、会長だあ。

鈴木:僕は、早坂にはいろんな顔があるので、それを切り替えてる早坂ってどんな感じなんだろうって、すごく気になりますね。

古川:ああ~、そうだ、ギャル語使いたい! やっぱり早坂になる(笑)。

全員:(笑)。

鈴木:僕も早坂がいい。もう、とにかく早坂。

小原:一緒に早坂(笑)。

古賀:いいですね。そうかあ、じゃあわたしも早坂にしよっかな。

小原:あれ? さっき、あんなに熱く会長を語ってたのに(笑)。

古賀:カッコいいところしか見えてなかったから(笑)。

――(笑)藤原は何を考えているか実はよくわからないので、なってみたら面白そうですね。

小原:楽しそうですよね。彼女に関してはモノローグがないので、心の内もよくわからないんですよ。NGワードゲームのときにちょっとだけシュンとしてる彼女の姿を見たりもしましたが、あれはただのIQ3の藤原書記ではないと思うんです。バレーボール回で会長と真剣に向き合ってるところはお笑いなしで、超スパルタだったから、本当の藤原千花をすごく知りたいです。

鈴木:確かに、原作でも触れられてないんですよね。

小原:そう。意外と普通の子なのかなあ、とも思いつつ、まわりがピリピリしてるときに、自分から明るく徹しようとするところは、わたし自身も非常に共感できる部分だったりするので、だからこそ藤原になってみたいなって思います。

――同じ作品で12話分の収録をやってきて、お互いに対して「この人、こういう人だったんだ?」って驚いたエピソードがあれば教えてください。

小原:序盤から、「このチームでよかったなあ」って感じてました。みんな優しい! ただひとりだけ挙げるとしたら、古賀葵ちゃんは衝撃的でした。はじめましてだったので、どんな子なのか知らなかったんですけど、1話で現場に入ってきたときに――かぐや様と一緒で、キリッとしてる人なのかなあって思っていて、会ったらキリッとしてなくて(笑)。

全員:(笑)。

古賀:してますよ?(笑)。

小原:(笑)とてもやわらかい女の子だったから、もうビックリして。基本的に、ふわふわしたかわいい子なんですよ。でも、マイク前に行ってかぐや様に切り替わるそのギャップを見て、たぶんわたしだけじゃなくてみんなが「すごい!」って感じたと思います。その後でWebラジオの現場とか、かぐや様関連のお仕事をしたときに彼女の本来の姿を見て、「この子は役者だあ!」と思って。衝撃ナンバー1です。

古賀:ありがとうございます(笑)。わたしはけっこう人見知りをするタイプなんですけど、皆さんには現場でほんとに助けていただいて。古川さんも小原さんも現場を作り上げる上でのやりやすさをいろいろ考えてくださったりして、『かぐや様』の現場はそういう気遣いが自然とできる方たちが多くて、ブースの中でみんなでしゃべって笑って、「よし、行こう」みたいな空気を作ってくださってる感じが伝わってきました。で、そこに鈴木さんがすごく面白い感じで入ってきてくれて(笑)。

鈴木:(笑)そんなに面白い感じで入ったことありましたっけ?

古賀:お辞儀の角度がすごくきれいなんです。

小原:そう、ガソリンスタンドの店員さん並の(笑)。お辞儀が終わって上がるときも、すごい勢いなんですよ。

古賀:そう、キレがすごい。礼儀正しい方だなあって思って。

古川:そんなふうに見たことなかった(笑)。

鈴木:僕は、小原さんの距離の詰め方はさすがだなって思いました。引き込む力、仲間の内に入れる力みがあって。古川さんも、ひとつのものに対する追求するところだったり、入り込みを見ていて、芝居に向き合う姿が本当に勉強になりました。

古川:いやいやいや(笑)。こっちはこっちで、もう必死でしたね。古賀さんは、めちゃくちゃ惹きつけるお芝居をされるんですよ。かわいいところはめちゃくちゃかわいく魅了してくれるし、内面に迫ってくるようなお芝居で四宮かぐやが持つ切ない感じを表現するところが、ほんとにすごいなあって思って。

 で、小原さんは度胸がすさまじいんですよ!! 「ラップのときに吐きそうになりました」って言ってたけど、出してるものは確実に正解なんです。どう考えてもストライクで、紛れもなく小原さんが作り上げたものだし、みんなが欲していたものがそこにあるわけです。それをテストからズバンと射貫いてくるところが、藤原と近しいところがあると思いますし、自分から率先していろんな人とコミュニケーションを取りにいこうとするところにも助けられました。この現場で一番しっかりしていたのは小原さんだと思います。

 あと、石上って実は熱血漢なんですけど、鈴木くんも熱血漢で。鈴木くんの内面的な何かが、どこか石上の「ただのダウナーな男じゃないんだぜ」っていう部分とすごくリンクしていて。生徒会の男性メンツとしてすごく心強かったし、歳は離れてるはずなのに、同じ目線に立ってくれるところが、僕的にはすごく助かりました。

――収録を終えてみて、収録する前には気づいてなかった、あるいは収録を経てより強く感じるようになった『かぐや様』の魅力とは?

小原:ラブコメと言われていて、原作を読んで現場に臨んだはずが、みんなが全速力で駆け抜けていったから、途中で恋愛ものであることを忘れて、最終話で改めて「あっ、これ恋愛ものだった」って改めて思い出して(笑)。どの作品も、1クールかけてそれぞれ絆ができてくると思うんですけれども、かぐやチームの絆はとても強くなったなって感じてます。スタッフさんも積極的に話してきてくださるので壁がなくなって、かぐやチームの絆はすごく強くなってるので、この流れで行ったらもう無敵です(笑)。

古賀:(笑)うん。しかもみんな歳が近いからフットワークの軽さがあって、「やろうよ」って言ったときにみんなでわ~ってなれる感じが、すごくよかった作品だと思います。現場に行きたい、もっとずっといたいって思う現場だったなって思えるのはすごく幸せなことだし、「大好きだな」って思える現場に出会えて本当によかったです。

鈴木:赤坂先生が書くキャラクターたちの個性がぶつかり合うことで相乗効果や、さり気ない表情の変化を改めてアニメ化で観て、より明確に魅力を感じました。古賀さんと古川さんのセリフ量は、掛け合いの中ですごく多かったりしますけど、本当にテンポがよくて、二十数分のアニメが3分、5分に感じられるくらい、中身の詰まった作品になってると思います。掛け合いも楽しくて、1クール通してすごく楽しい芝居をしたなあって感じてます。

古川:いろんなバックボーンを背負った、個性豊かなキャラクターたちが作品の世界に息づいているところがひとつの魅力だな、と感じています。「かぐや様が幸せになればいいな」と、前よりも強く思うようになりました。かぐや様が幸せになることによって、作品の中の登場人物はもちろん、原作を読んでいらっしゃる方、アニメを観てくださっている方、そして僕たちキャスト・スタッフ含め、作品に関わるみんなが幸せになるといいな、と思います。

TVアニメ『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』公式サイト

取材・文=清水大輔