佐々木蔵之介「水木しげるさんから考えた幸福論。造り酒屋に生まれてよかったと思いました。」

あの人と本の話 and more

2019/5/13

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『空母いぶき』の公開を控える佐々木蔵之介さん。撮影の舞台裏や選んでくれた本『人生をいじくり回してはいけない』についてさらにお話を聞いた。

佐々木蔵之介さん
佐々木蔵之介
ささき・くらのすけ●1968年、京都府生まれ。大学在学中から劇団「惑星ピスタチオ」で活躍。2006年に『間宮兄弟』で映画初主演。14年公開『超高速!参勤交代』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞。19年は映画『居眠り磐音』『WE ARE LITTLE ZOMBIES』に出演。20年には『嘘八百 続編』が公開予定。
ヘアメイク:西岡達也(Leinwand) スタイリング: 勝見宜人(Koa Hole inc.) 衣装協力:スーツ9万8000円( LATORRE/CORONET TEL03-5216-6521)、シャツ3万5000円(BOGLIOLI/BOGLIOLI Tokyo TEL03-6256-0297)、ネクタイ1万4000円(BREUER/CORONET TEL03-5216-6521)(すべて税別)

 映画『空母いぶき』では佐々木さんの役所は、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦「いぶき」の副長・新波。西島秀俊さん演じる艦長・秋津とともに、日本を襲った未曾有の危機に立ち向かう。撮影は、「いぶき」のセットに籠りきりだった。

「文字通り籠りっきり。昼と夕の休憩以外、一切セットを出ることがなかったですね。もうご飯だけが楽しみでね(笑)。演者同士はやはり気軽に会話という感じではなくて、つねに緊張感がありました。だから本当の護衛艦に近い状態だったかもしれませんね」

 一方映画の中では、佐々木さんや西島さんをはじめとした“海の男たち”のかっこよさももちろん堪能できる。

「海上自衛隊の白い制服を着るシーンがあるんですが、かっこいいと思いましたね。あと、〈面舵いっぱーい〉っていうセリフを言わせていただいて、そこも気持ちよかった。実は一応僕、一級船舶免許持ってるんですよ。船は持ってないので、全然使う機会がないんですけど(笑)。海の男は厳しい世界に生きているからこそ、かっこいいんでしょうね」

 選んでくれた本、水木しげるさんの名エッセイ『人生をいじくり回してはいけない』についてもさらにお話を聞いた。

「読んでめっちゃ笑った。癒されますよね。ラバウルの話とか、何度読んでも面白い。ラバウルの現地の人たちには“幸せ”という言葉がない。なぜなら日常生活の中に幸せが自然に組み込まれているから。これはすごくいいですよね」

 水木さんの語る幸福論にはとくに惹かれた、と佐々木さんは言う。

「“努力は人を裏切る”ってはっきり書いているんですよ。これってすごくないですか。努力をしても、必ずしも報われるわけではない。でも続く言葉がいい。『それでも、好きなことに情熱を傾けている間は、きっと幸せの空気が漂っているものです』。漂っているっていうのがいいですよね。好きなことに情熱を注ぎ切って、人生を生きる。そこなんでしょうね」

 では、佐々木さんが情熱を注いでいるものは何なのか?

「『嘘八百 続編』のロケで、先日1カ月ほど京都にいたんです。東京に出てきて20年ほど、そんなに長期間戻ったの初めてだったんですよ。いやあ、京都ええなぁと思いましたね。ちょうど実家の造り酒屋では、新酒ができてくる時期だったんです。毎日、お酒が上がってくるんですよ、搾りたてが。酒屋に生まれてよかったなあって、心から思いました。ずっと飲んできたし、飲まずにはおれないし。撮影の合間に皆さんも、酒蔵をご案内したりしてね。自分の体は日本酒でできてるんだなあと思いました」

(取材・文:松井美緒 写真:干川 修)

 

映画『空母いぶき』

映画『空母いぶき』

原作・監修:かわぐちかいじ『空母いぶき』(小学館『ビッグコミック』連載中 協力:惠谷 治) 監督:若松節朗 企画:福井晴敏 出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田 翼、玉木 宏、中井貴一、佐藤浩市 配給:キノフィルムズ 5月24日(金)全国ロードショー
●20XX年、沖ノ鳥島西方の島が占領され、護衛艦「いぶき」は戦後日本が経験したことのない24時間を戦い抜く。
(c)かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ